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家族が匂いを認知するまでの過程

例の匂いについて。

まず先に、匂いがする人を責めていません。
まさかそんな事になるなんて
ご本人が1番心外かつショックなはずです。

「思いやりのためだったのに、
シェがあるとか臭うとか差別するのか!」
と書いている人を見かけた事があります。

違います。
人ではなくて、匂いに疲弊しています。
差別ではないことを、どうしてもご理解いただきたい部分です。

例えば、友人が結核に罹患したと考えてください。
結核だからと友人のことを嫌いになったり
差別したりしません。
嫌うどころか、心から心配します。
ですが、結核が感染るから距離を取ります。
病院でも隔離されます。
それと全く同じなのです。
差別どころか、どうか良くなるようにと
祈る思いです。

正直、今はもう、打ってない人からも匂っています。

他から発せられた匂い(物質)を吸収してしまうんですね。
いわゆる「シェのシェ」は確実にあります。

こう書くと、すごく神経質だと思われるかと思いますが、
私は神経質とは程遠く、四角い物も丸く掃くという表現がピッタリな
テキトーを良しとして生きているような人間です。

私が最初に匂いを知ったのは、
親戚の1人が1回目を打ったあとでした。

その親戚がとてつもなく甘いニオイを放っていて、この異様な匂いは一体なんだ?と。

その前に営業職の友人から、
「年配者が1回目を終えた地域は、
会う人会う人、みんな同じ変なニオイがする」と言っていたことがあり、
へぇ〜、そういうこともあるんだなぁ‥‥と。
そのぐらいの他人事の認識でした。
その友人は、非常に匂いに敏感な子なので
「そのせいで通常は気づかない匂いも犬並みに気づいてしまうんだなぁ〜。それも不便だろうなぁ」と思っていたぐらいで、
気にもしていませんでした。

‥‥が、
うちに来た親戚のおっちゃんから気分が悪くなるほど甘い匂いが出ていて、
「もしかしてこれか?」と。
紛うことない強く甘い匂いは「なんとなく匂う」のレベルではありません。
その人は身なりなんて気にせずの人で、
柔軟剤も使わない人です。
二日酔いの匂いでもない。
ムスクの芳香ビーズでも食べてしまったのか?というほどキツいパウダリーな匂い。

もしかして打ったの?と聞くと、打ったよと。
あんなにダメだと伝えたのに‥‥。
その人が帰ってからも
部屋がずーっと甘臭く、空間の匂いはもちろんですが、匂いを辿っていくと彼が座っていたダイニングの椅子が猛臭を放っていました。

その時は、ただただ甘いニオイが臭くて不快というだけでした。
しかし塩素を椅子に吹きかけて拭き取っても、匂いが消えない。
塩素の濃度を濃くしてガシガシ拭き取っても延々と甘い。

一体なんなんだ‥‥と思いながら
疲れてソファーに座ったら
とてつもない睡魔に襲われ、そのまま30分ほど気絶するように眠ってしまいました。
おかしいほどの気絶寝です。
目が覚めたら水下痢。
頭は重く、体は怠く、熱のないインフルエンザのようでした。

でもこの時はまだ、匂いで体調不良になるとは分かっていませんでした。

他の部屋に行ってから、ダイニングに戻ると
やはりまだ匂いが残っていて、
全ての窓を開けて換気していたら
外からまた同じ甘い強烈な匂い。
驚いて外を見ると
お向かいの家のご家族が外でボール投げをしていました。

あのときの不穏を超えた感覚、
これは只事ではないんじゃないか‥‥と。
全て、あの時からでした。

家族に話しても、家族には全然わかりません。
こんなにくさいのに分からないなんて‥‥
「匂いなんてした?気づかなかったよ?
柔軟剤じゃないの?それかシャンプーじゃない?」と取り合ってもらえませんでした。

まるで1人で異世界に迷い込んだような感覚で、自分の頭がどうかしてしまったのかと本気で思いました。

一度記憶してしまったその匂いは、
会う人、会う人みんなから出ていました。
人だけではなく、
回覧板が来れば、回覧板から同じ匂い。
郵便物も同じ匂い。
洗濯を干せば、洗濯物に匂いが付き
家の中で干すようになりました。
1人で匂いに苛まれて、ノイローゼのようだったと思います。

そんな私を家族は遠巻きに見ていて
私は頭が変になったのかと
本気で自分を疑いました。

しかし、
匂いを感じた後は必ず水下痢になり、
体調不良になる

この現実が
自分の中で唯一の「正気の確証」となっていました。

また、匂いがある人と一緒にいると
娘たちには匂いが分からなくても、
娘たちも体調不良になる。

匂いを覚えさせて避けさせなければと
本能的に思いました。
その頃から、匂いがしたら家族に「このニオイだよ」と毎回嗅いでもらいました。
じっくり嗅ぐと具合悪くなるので、少しだけ。

当時はシェディングなんて認知もされてなく
私1人で(静かに)ノイローゼになっている感じでした。

回覧板も郵便物も、みんな同じ匂いが付いているので嗅いでもらう。
家族がわかるまで、2.3ヶ月かかった気がします。

旦那と大喧嘩になったこともあります。
いい加減にしろ!頭がおかしい!と言われて泣きながら伝えたこともありました。

私を理解してほしいのではなく、
この体調不良を伴う匂いだけは
どうしても知っておいてもらわなければ
家族皆んな身を守れないと。
離婚も覚悟で一生懸命伝えました。
それでもなかなか、伝わりません。
今思うと、よく頑張ったなぁと思います。

その頃、私の体調不良はかなり酷く
胸の痛みや目眩、頭痛、息切れ、耳鳴りなど
満身創痍の状態で、さすがに医者に連れて行かれました。

その病院がまた猛臭の極みでした。
検査などを受けても異常はなく、
ストレスでは?と言われて終わり。
医師からも検査技師からもとんでもなく甘い匂いが出ていて、その現実に気が遠くなりそうでした。

しかし、病院に行ったことで事態が変わりました。

待合室で年配者の団体6.7人が横を歩いて行ったとき、
甘い匂いが更に強烈で、
臭すぎてついマスクの鼻の上をギュッと強く押さえてしまう私の姿を見て、
旦那が急に驚いた顔をして私の耳元へ来て小声で言いました。

「もしかして、これ??この匂い?」と。

「そうだよ‥‥」

「これかー!!よく嗅ぐ匂いだよ!
柔軟剤みたいで気にしてなかったけど、確かに柔軟剤じゃないよ。全員が同じ匂いな訳ないもんな」

‥‥やっと、知ってもらえました。
頑張って、あの手この手で伝え続けた甲斐がありました。

この日を境に、旦那も匂いが分かるようになりました。
娘たちも同じ頃から分かるようになりました。

匂いの後で必ず起きる頭痛や首こり、水下痢。
匂いが分かると、
体調不良が仕事疲れや歳のせいではなかったのだと理解できます。

匂いを浴びた後は、判で押したように必ず体調が悪くなることが、全員実感として分かりました。

たまたま病院へ行ったことで
旦那も匂いが分かるようになったことは
本当によかった。

分からないままだったら
今の生活はありません。

しかし、匂いが分かると同時に、
私たち家族から「出掛ける楽しみ」が消えてしまいました。

どこへ行っても臭い。
匂いだけなら我慢できますが、
体調不良とセットになっていることが
何よりの大問題でした。

うちの娘には大きい持病があり、
数年前から食べ物や栄養を見直し、奇跡的に進行が止まっている状態です。

こんなに食べ物や栄養を気遣っている中で
人間の身体から匂いを伴う何か良からぬ物が出ているという事実。

SFの世界に迷い込んだようなこの事実は
今現在でも信じられないのですが
当時は家族みんなが「匂い疲れ」していました。

その中で、私たちが選択した道のりは、
次の機会に書こうと思います。

※カバー画像はAIです。
犬にマスクつけたりしません汗



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