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新たな都市モデル、ビジネスモデルをつくる

今、「都市」という存在に、かつてないほど注目が集まっている。

おそらく、きっかけとなったのは、この15年くらいの「都市再生」という名のもとの都心での大規模な都市開発が連続していること、また人口減少の煽りを受けた「地方創生」の文脈がメディアを通してよく耳にしたことが大きいように感じる。
そして個人的には、それらに加え、「テクノロジー」と「災害」、そして「人間らしさ」という観点が、注目されている要因の中でも本質的に意味あるものとして大きいのではないかと考えている。

「テクノロジー」は、googleのトロントの都市開発を契機としたスマートシティブームの再来はさることながら、インターネットの世界がリアルな世界の踏み出した結果、UBER、whim、ドローンなど、新たなモビリティの概念やシステムが実装されはじめたことが起因しており、主に、国内では他の成長機会に乏しい産業分野から大きな注目を集めている。

「災害」には「都市災害」という言葉があるほど人間が作った都市の、ある種の欠陥により多くの犠牲者が出ている。集中豪雨、都市河川の洪水、猛暑、地震、風害、、人を守るはずの都市が理由で、我々は一年中何かしらの危険と隣合わせにいる。ここ数年での夏の雨と暑さの異常化が、より身近な問題として感じるようになってきた。

「人間らしさ」は、働き方、子育て、健康寿命、、、などの昨今話題の社会課題を考えた時、そこにはだいたい都市に住んでいるが故に生じる要因がある。これらの課題を突き詰めて考えていくと、最終的には「自分らしく生きるとは?」また、「人間らしい生活とは何か?」という問いに行き着かざるを得ない。

そして、私たちは自分が思っているより住んでる環境から影響を受けている。自分で選択してると思っていることの大半は選択させられている。どこに住むかが人生を変えると言われるが、事実、私を含む多くの人が、あまり生産的とは言えない通勤時間に人生の多くの時間を費やしている。

それらを都市というものと紐づけて考えられている人は必ずしも多くないが、世の中で感度の高い層は、都市は「ある面」において非効率で非合理的だと気づき始めている。

都市の持続可能性

上記の3つの観点のほか、環境意識の高まりからくるエネルギー、環境問題や、人口減少・自治体財政の厳しさなどをきっかけとした地域自治・地域コミュニティのあり方、など「都市」という存在に注目せざるを得ないトピックは数多く存在しており、これまで自分ごとにする機会が少なかった「都市」があらゆる人にとって意識せざるをない状況になっていると考えられる。

そうした幅広い観点から注目を集めるようになった都市という存在について、主にヨーロッパ諸国のトレンドとして「持続可能性」の議論が活発化している。

ひとつのモデルとして、ベルリンやアムステルダムなど「循環型社会」という概念が普及し始めている。環境配慮型◯◯という古くからある概念に加え、シェアリングエコノミーや個人のクリエイティビティなど、ライフスタイル、経済循環、テクノロジーなどを含む社会のあり方として、非常に魅力的なものと感じる。

そうした動きは、世界的に見れば人口の多くが都市に集中するという大きな流れが背景としてあるが、上述のように「都市」が今までと同じように生活を支えてくれる保証がない(可能性がある)ということが、より身近に感じるようになってきたからではないかと思う。

「都市」とは何なのか?

以上のように注目を集める「都市」という存在だが、私の印象だと、世の中の都市に対する理解は断片的なものばかりで、総合的に捉えた言説を見たことがない。

その理由は、「都市」という存在の多面性からくるものだが、しかし、これからの都市のあり方を考えていく上では、何とか総合的に捉えてみれないものか、というのが個人的に考え続けていることである。

都市がなぜできて、なぜここまで短期間で急拡大して、今何が課題で、本来目指すべき姿は?

また、どのような手段を取る必要があるのか?

誰が何を解決(創造)できるのか?

トップダウンかボトムアップか、といったレベルの議論を通り越して、各主体が何をし得るのか?

「複雑なもの」として割り切って都市をみる

一つはっきりしているのは、「都市」は、人間がコントロールできないくらい複雑化しているという事実である。

上述しているように「合理的」に作っていたはずの都市は、時代の変化やその複雑さによって、いくつかの面で「非合理的」な存在になりつつある。

都市の目に見えている課題を解決していくことが、構造的な課題の解決につながるのか?

そのような状態をどのように改善していくのか?

そのためには、以下の取り組みが必要になると考えている。
①都市の状態を何かしらの指標によって評価すること
②あるべき都市の状態を、詳細に具体的にイメージすること
③あらゆる分野の知恵と資源と技術を結集して解決にあたること

どのような都市が望ましい都市か?

私が知る限り、都市の持続可能性を評価する指標は、世界でバルセロナしか知らない。

日本の「都市計画」は、その土木・建築の技術系バックグラウドという成り立ちや、その実働する立場の行政の多層構造により、時代の変化についていけず、未だに思考回路の基礎は100年以上前の産業革命の時に生まれた近代都市計画から脱却できていないように見える。(偉そうに言ってすみません)

少なくとも、日本の都市計画家が新しい実装可能な都市モデルと実現手法を提示しているとは言いづらい。

都市を変えることは実はかなり難しい

都市の持つもう一つの特徴は、形を容易に変えられないことである。道路や建物などの物理的インフラの形を変えるのが難しいのはもちろんのこと、実は、物理的ではない社会の仕組みもあらゆる法律や、地域慣習、近隣問題、その他により縛られている。

もはや一度できた都市は、大きな変化は難しい。

しかし、小さい変化をたくさん産むことで、結果的に大きな変化に変えられるのではないかと考えている。

新たな都市づくりを目指して

複雑化した都市を読み解くヒントは、「そもそも論」ではないか。
・そもそも、なぜ人は集まるのか?
・そもそも、人間には何が必要なのか?
・そもそも、生物はなぜ生き残るのか?

そして、複雑化したものを読み解く技術こそデータサイエンスであり、また、総合的な視点から判断する意思決定の技術が必要になると考えている。

これからの都市づくりのキーワードは、都市経営、生態学、循環型社会、都市情報だと感じている。

都市の本質を理解することで、スマートシティ、〇〇シティといったレベルから脱却した新たな都市モデル、そして企業人である以上、ビジネスモデルを見つけていきたいと思う。

また定期的に発信していきたいと思います。



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