何もなくてもとりあえず綴る

何故かずっと続いている習慣や趣味が飽きっぽい私にもいくつかある。

頻度順で言うと、
ゼンタングル
読書
映画鑑賞
日記

ゼンタングルはインスピレーションを受けて、構想を考えて、手につけるまでが長いから、たまーにやる程度。
読書は気が向かないと読めない(飽き性だから)。
映画は週末必ず一本は見る。今週はfight Clubの予定。
日記は毎日綴ってる。

ちょっと前に内向的な性格が急に嫌になって、本を借りてこの性格でもいいよって背中押してもらって、そのまま自分に言い聞かせるように、英語の時間にプレゼンした。

その時英語の先生は「君が内向的とはびっくりした。」と。曰く、普段の態度からすると、全く逆に見えるらしい。

でも多分、それは「英語」っていうツール使ってるからだと思う。英語喋る時は声が低くなるみたいな。

話逸れたけど、何もなくてもこうやって出来事を綴るっていう習慣、意外に自分の気持ちの整理になって落ち着く。ほんとにたまにだけど、整理しきれない時はそのまま軽い文章(小説をイメージ)に起こしたり…。(下に掲載したのは昔書いたうちの一つ、我ながらよくできてる。と思う)

読み返してみて、昔の自分の気持ちを客観的に見て、さらに自分を知る。意外にいい習慣。

このnoteも、毎回朝に書こうかなぁって。こういうのを朝日記っていって、本当はその日の予定とかを日誌みたいな感じで書くんだと思うけど。まぁいっか。

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疑惑
午後3時の風に撫でられて彼女はゆっくり目を覚ました。
「だいぶ寝てたね」
「ありがとう、ほんと不思議なくらい寝れるわ」
それでもまだ目の下にはっきりとついた青い影をそっと撫でて私にうつればいいのにと心の中で呟く。わたしは先ほどまで畳んでいた洗濯物の山に手をかける。
「手伝おうか」
「いいよ、まだ眠いでしょ?寝てたら?」
「もうすぐ来るから起きてる。」
春の訪れは瞬く間に過ぎ去ったと思えばほんのりと後ろ姿を私たちに見せ、存外時の流れがゆっくりであることを思い出させる。もとより、彼女との空間がなんとなくそうさせている気もしなくないとも思わなくないが。それでもまた、今日のように私の隣で寝ている彼女を見れればそれでもいいと思う自分もいてしまう。
「もうどれくらい?割とたったでしょ?」
「言ったって数ヶ月。そこまでだよ」
「もう私いなくても平気?」
「ぎこちないけどまぁ」
私の、彼女の、あの人の。私の、彼女の、あの人の。私の、彼女の。分別される洗濯物はとくにされるがままに分けられる。そこまではっきりと私に従うそれってなんだか不思議な気がする。
「しまうよ、せめて自分のくらい。」
「ぐちゃぐちゃにするから嫌。いっつも言われてるでしょ?」
「子供みたいな言い方されるの気に食わないなぁ」
「実際、子供みたいだと思うよ」
「ママみたい。ふふふ、じゃああの人はパパ?」
「それなら私が子供であんたら両親。立場が変でしょ」
「うん、変だし。嫌」
3人それぞれのクローゼットをパタリパタリと開けていく。あの人のクローゼットはいつも開きづらい。シャツはかけとく、スーツは閉まっとく。ネクタイは丸くして、下着は1番下。彼女のクローゼットはいつも綺麗。私が片付けているから、下着は真ん中、ズボンは左。手際良く片付ける私の前に靴下が一つポロリと落ちた。あの人のだった。あの人の靴下だった。
「…靴下間違って入ってるよ。」
「え?あ、ごめん。この前適当に入れたんだっけ」
「あんたが入れたの?」
「ううん。あの人だよ。でも夜だったから見えてなかったんじゃない?」
「そう」
「ねぇ、それより私の下着知らない?お気に入りのやつ!知ってるでしょ?」
「知ってるけど知らない。間違えて入ってるんじゃない?」
「えー、わかった。あとで聞いとく」
「頭痛くない?」
「大丈夫、そういえば香水変えた?」
「変えた。ラベンダー」
「へぇ、でも前のレモンの方が好き」
「そう。でも、割といい匂いじゃない?ほら」
「うん。それはそう思うよ。」
「多分、好きかなぁって思ったけど違ったか」
「好きだけどちょっと違う。」
「好み変わったね。前はレモンなんてあんまり好きじゃなかったじゃん」
「そう?それならあの人のせいじゃない?レモン好きだもん」
レモンといえば昔私が飲んでたなぁ。その時はあんまりキツい匂い好きじゃないって言われたのに。少しだけ腹が立って、ラベンダーの香水がつけられた手をそっと彼女の髪に通す。あの人、ラベンダー好きだっけ。多分嫌いだった気がする。申し訳ない気がするけどしょうがないよね。ラベンダーもいい匂いなのに。よく寝れるって言ったのも香水変えてからだよ?頭が痛くなるって言ったのもそれからだけど
「ねぇ、」
「なに?」
「いつまで撫でてるの?」
「嫌い?」
「そうじゃないけど、もうあの人来るよ。」
「ならいいじゃん。あとでレモンほんとに好きか聞いとくからさ」
「信じてないの?」
「信じてるよ。でもそういうことじゃない」
髪の毛にトリートメントをつけるみたいにサラサラサラサラ一つ一つ指を通す。これでラベンダー嫌いだったらほんと笑い者。誰の?とか聞いたりして。
「ねぇ、」
「なに?」
「もうちょっと、撫でてて」
「来るんじゃなかったの?」
「そうだけど、嬉しそうだから。いいよ」
「優しいね。ありがとう」
「ねぇ」
「今度はなに?」
「あのさ、勘違いだったら悪いんだけどね」
「うん」
「やっぱり、あの人のこと嫌いでしょ?それに、私のこと」
「ラベンダーの匂いを嗅いで。落ち着いた?」
「待って、私別に嫌いじゃないよ。嫌いにならないよ」
「そう、じゃあクローゼット開けてみて。それが答え。下着も多分そこ」
ラベンダーってそういえば鬱にもいいとか言ってたなぁ。確かにあんな表情見たら、真っ青なあの人より真っ赤な彼女より、よくわからない私の方が良かったのかもね。

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