現場のリスク管理と災害未然防止のための 「不安全行動(リスクテイキング)の防止対策」 を読んだ

ソフトウェアエンジニアの目線でもぜんぜん納得できる本ですね。よかったです。

この本の中では不安全行動のうち本人の意図したものでないものを「エラー」、意図的に行ったものを「リスクテイキング」としていて、後者のリスクテイキングがどのように行われるか/どのように防ぐかを取り扱っています。

特にいいなと思ったのが「運び込まれなければいけない重い部品が不足してきたとき、ラインリーダーがラインを止めたくない一心で無資格でフォークリフトを運転して部品を運んでしまう」事例で、ラインリーダーに対して無資格運転を咎めても、結局重い機材を手で運ぶなど別の方法でのリスクを取ってしまうので不安全行為そのものを咎めても自体は直接改善せず、「ラインを止めたくない」の方を解決しなければならないとしている点ですね。
事例中では一旦ラインは止めてもいいとしつつ、最終的にはワークフローを改善して部品が不足するシチュエーションをなくそうという判断になっていました。

作中では一貫してリスクテイキング自体は改善活動と表裏一体だと評価していて、「日々の活動の中で頑張りすぎていることはないか」と改善への意欲を削ぐことなくメンバーにヒアリングしていくのがとっても上手いなと感じました。

ソフトウェア開発でもまあまあ「いつもなんとかなってるから今回も大丈夫だろう」はあって、とはいえ日々の業務の中でどこに潜在的なリスクがあるかはパッとは判断がつかないことが多く、なんとなくや、薄く手元に残る不安感が残りつつもそのまま作業を続けてしまうこと、あると思います。
よーーっぽど熟練していれば外からでもわかるかもしれませんがこれらのリスクを発見するのは外からでは難しく、だからこそ手順書や相互レビュー、事前の検証作業でリスクを排除しているはずです。
この本で扱っている内容は、そのうまくまだ言語化されていない、本人の主観でのみ検知できている潜在的なリスクを拾い上げるための工学全般に共有できる知見なのかなと思います。バイナウ!


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