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お通し

『いらっしゃいませー』

○:いらっしゃいませ〜

○:奥のテーブルの席にどうぞ〜

・・・・

○:生ビール2つです〜!どうぞ〜

○:こちら焼き鳥2つと枝豆です〜!

"すみませーん"

○:は〜い!

華金なのか今日は飲み屋街がすごく混雑しており、自分がバイトしている居酒屋にも17時を過ぎたあたりからサラリーマンやら酔っ払いのおじちゃんやらが大量に入ってきた

だがしばらくするとピークは過ぎ、客も少なくなってくる

自分は後30分でバイトを上がる

実は、今日のシフトは前々から計算して入れた日である

毎週金曜日に来る常連のおじさんが今日来るとにらみ、お年玉を貰おうと入れたのだ

見事に狙い通り、1万円を手にした

我ながら素晴らしいシフト管理だと思う

このまま客が入ってこずにゆっくりTVをみて残りの時間を過ごせたら今日は最高の1日だ

チリンチリーン

そんなことを思っていたが客がきた

楽をしたいと思った時に限って大体叶わない

『いらっしゃいませ〜』

○:いらっしゃいませ〜

?:1人ですけど大丈夫ですか…?

○:大丈夫ですよ、こちらの個室でもよろしいでしょうか?

?:はい!ありがとうございます!ニコッ

○:い、いえ、ご注文決まりましたらそちらの卓上ベルを2回鳴らしてください

○:それでは失礼します

マスク越しでわかる可愛さやっば。

TV見るよりも良かったかも、、


店長:〇〇くん、さっきのお客さんだいぶ若く見えたからお酒頼んだら年齢確認お願いね

○: 了解です

確かに高校生くらいに見えなくもないけど…

チーンチーン


○:はーい、いまお伺いしまーす!

店長:お願いね〜

・・・・


○:ご注文お伺い致します

?:唐揚げとおつまみチャーシュー1つずつお願いします!

○:お飲み物はいかがなさいますか?

?:あ、えっと、ん〜どうしよ〜💧

?:じゃあこれで!👆

○:カルーアミルクですね、了解致しました

○:年齢確認のできる物はお持ちでしょうか?

?:え?私20歳超えてますよ?

○:すみません、当店ではお若いなと思ったお客様全員に年齢確認をお願いしてまして。

○:ご協力お願いします🙏 

?:そうなんですね!分かりました!

?:マイナンバーカードで大丈夫ですか?

○:大丈夫です!

?:はい!どうぞ!

○:たにぐちあい…

○すみません、お名前教えていただいてもよろしいですか?

愛:あいりってよみます!以後お見知り置きを!

○:あいりさんですね!覚えました!

○:年齢確認のご協力ありがとうございました

○:今お飲み物お持ちいたしますので少々お待ちください

愛:はーい!

・・・・

○:店長、年齢確認しましたが大丈夫でした👌

店長:そっかそっか!ありがとね!

○:あと唐揚げとおつまみチャーシュー1つずつお願いします!

店長:はいよぉー!

相変わらず元気のいい人だな

谷口愛季さんか

可愛い人だったな

マスクなしの方可愛いって最強だろ

お見知り置きをって言われたし

女優さんか何かになったらファン第一号だってみんなに自慢しよう

そんなしょうもない妄想を片脳で考えながらカルーアミルクを作る


店長:これお通しね、お通しとお酒運んだら上がっていいよ!お疲れ様ね!

○:了解です!お疲れ様です!いってきまーす

店長:はいよー

・・・・

○:失礼します

○:お待たせしました、カルーアミルクです。

愛:わー!ありがとうございまーす!

座敷式の個室な為、しゃがんで品を渡す

○:こちらお通しになります

愛:うわ!美味しそー!

○:それでは失礼しm、うおっ!

しゃがんでいる時に体勢を崩してしまい、そのままハグのように覆い被さる

谷口愛季さんと見つめ合う形になる

綺麗な顔立ちだな

しっかりした涙ぼくろだ、口元もきゅっとしてて可愛い

○:はっ!?!?

2秒ほど経った頃正気に戻り自分は今とんでもない事をしていると気付きすぐに離れる

○:ご、ごめんなさい!本当ごめんなさい🙇‍♂️

愛:ぜ、全然大丈夫ですよ///💦

○:こ、これもお通しですよ〜なんて、はははは

何を言ってるんだ俺は!!!

愛:あはは…///

○: ………

愛: ………///

○:す、すみません🙇‍♂️ご、ごゆっくりどうぞ…


やらかしたぁぁぁ

終わった、もうこれはずっと引きずる

○はぁ…帰って大好きまめまめでも見て忘れよ

・・・・

数週間後

今日もバイトだ

最近はミスなく気持ちよく接待できている為か、前の失態もほぼ忘れていた

バイト先には徒歩で行く為その間にVaundyの不可抗力を聴きモチベを上げる

バイト先へ着きスタッフルームと書かれている扉を開ける

すると店長がスマホを眺めながら営業時間になるのを待っていた

いつもの光景だ

だけど今日は何かが違う

何かニヤニヤしている

スマホをみながらニヤニヤしている

怪しいと思い聞いてみる

○:お疲れ様でーす、何ニヤニヤしてるんですか?笑

店長:お!おつかれさん!うちのクチコミ見てたんだけど嬉しいのがあってね〜〜

○:え、どれですか?笑

店長:これなんだけどさ

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山口の右涙ぼくろ
★★★★★
お店の雰囲気も良く料理も美味しくて良かったです!特にお通しが最高でした!
温かくて良い匂いがしてすごく心地よかったです!終始ずっとドキドキしてました笑
絶対またきます!その際もお通しお願いします😉
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お通しにしてはなんか変な感想じゃないか…?

いや、気のせいか

○:へーお通しですか…

○:お通しで何出したんですか?笑

この店は対して手の凝ったものは出してないはずだけど

店長:前におでん出したからそれかなーって思うんだよね

○:おでんすか!確かにそれならあり得ますね!

店長:おでんじゃなくともお通し褒められたことなんてなかったから嬉しくてね〜

店長:よぉーし!今日のお通しも頑張っちゃお!

気分屋過ぎるでしょ

これで今日お通し不評だったら面白いな笑

なんて少し酷な事を考えていると店長に呼ばれた

店長:○○くん、ちょっと酷い事考えてなかった?

なんで分かんだよ、こわいこわい

○:何がですか?笑なんも考えてなかったですよ笑

店長:そう?ならいいけど

店長:あ、そろそろ時間だから開けといて

○:はーい

プレートをOpenの方にひっくり返し、店の鍵を開ける

5分ほどしたら続々と客が入っていき、満席状態になった

その状態が約3時間程続き、ピークを過ぎた頃

見覚えのある1人の女性がお店に顔を出した

『いらっしゃいませー』

○:いらっしゃいm…

前の可愛らしい方だ

確か名前は谷口愛季さん

愛:1人です、大丈夫ですか…?

○:だ、大丈夫ですよ

○:お好きな席にどうぞー

谷口愛季さんは個室の部屋へ入っていった

最後に少しニヤっとした気がするが気のせいだろう

チーンチーン

『はーい』

『〇〇君、俺行くよ』

○:あ、ありがとうございます。

『今お伺いしまーす』

他の従業員の方が個室の方の対応をしてくれるみたいだ

前の失態があった為、正直助かった

と思ったが

『〇〇君、なんか個室お客さん〇〇君に対応してもらいたいみたい』

○:え? なんでですか?

『分かんないけどそう言ってるから、よろしくね!』

○:え、いや、ちょっと、、、

なんだろうか

やっぱり前の事を気にしてて怒られたりするのかな

いや、もしかしたらその事で脅してきたりして…

不安と緊張で逃げ出したい気持ちを抑え、個室に入る

○:し、失礼します

○:ご注文はお決まりでしょうか…?

愛:ピーチウーロンと枝豆お願いします!

愛:あ、あとお通しも忘れずに!

○:かしこまりました。少々お待ちください。

…ふぅ

良かった…何もなかった…

○:店長、枝豆1つお願いします!

店長:了解ぃ!

ピーチウーロンを作り、お通しと一緒に持っていく

○:失礼します

○:ピーチウーロンとお通しです

転ばないように…転ばないように…

スッ

よし、よかったよかった

愛:あの

部屋から出ようと思った矢先、呼び止められた

○:はい、どうされました?

愛:お通し、いいですか?

○: …はい?

○:えっと、お通しは今渡しましたが

愛:いや、まだなのありますよね!足りてないです!

○:足りてない?基本うちの店ではこのくらいの量で出していまして…

お通しで色々こじつけられそうになり、少しイライラしていたのだが

愛:そういう事じゃなくて!もう!

ギュウウ

いきなりハグされたではないか

○:え???

○:ちょっ、ちょっと、、!!!

○:いきなりなんですか!?

愛:前あなたが言ったじゃないですか!

愛:ハグもお通しだって!

言ってないわ!言ってない!言ってn

〜〜〜
「こ、これもお通しですよ〜なんて、はははは」

…言ったわ。まじ何してんだ俺

○:だ、だからってなんでいきなり抱きつくんですか!

愛:だって、好きなんですもん!

○: …はい???

愛:だから!好きなんです!

○:いや、それは聞こえましたけど…

愛:一目惚れです!

愛:好きな人にハグしちゃダメですか?🥺

っっっっ…///

上目遣いの破壊力やばすぎる

愛:ねぇ、ダメなの?🥺

○:だ、だめです!そもそも僕達は他人の関係じゃないですか!

愛:むぅ、じゃあ付き合ってよ!

○:いやいや、な、何言ってるんですか!

○:無理ですよ!

愛:仕方ない、それならLINEで我慢してあげよう😤

○:いや我慢って、そもそも交換する気ないんですけど…

愛:ここまできて反抗するのかね。○○君

○:そりゃしますよ。いくら可愛くても嫌なものは嫌です

愛:か、可愛い…///

愛:ねね、あいりって可愛い?

○:も、もちろん可愛いですよ。

愛:キャー ヤバイヤバイ スペイベスギルゥゥゥゥゥ

愛:はっ!

愛:そんな事言ったって逃げられませんよ?

愛:今ここでお尻触られたって叫んじゃおうかなー

○:ちょ、ちょっと!やめてください!

愛:それじゃあLINE交換するんですっ!

○:わ、分かりました。

ピコン

愛:へへっ、これで毎夜電話できますね?

○:かけてもいいですけど出ませんからね

愛:キャー!〇〇君におしr モゴモゴモゴ

すぐに手で口を抑える

○:何してるんですか!

愛:〇〇君、君に拒否権はないのだよ👆ビシッ

○: ……

愛:フフン 納得したようだね

愛:まだ仕事あるんでしょ?戻って大丈夫だよ〜

○:は、はい…

愛:また夜電話かけるね〜👋

・・・・

チーンチーン

『はーい』

愛:お会計お願いします!

『はい!こちらになります!』

愛:ご馳走様で〜す😊

『ありがとうございましたー!』

○:ありがとうございました〜

愛:👋フリフリ😉

本当にやめてくれ…

『〇〇君、あの子ともしかして…!』

○:もしかしても何もないです!ただ気に入れられたみたいです

『まじか、いいなぁ。俺なんて可愛い子どころかそんな出会いすらもないよ…』

可哀想だが、僕のはそんな運命的なものじゃないんですよ…

・・・・

店長:〇〇君上がっていいよー

○:はーい、お疲れ様でーす。

ふぅ…

今日は散々な1日だったな

ピコン

○:ん?

愛L:今日は勢いでLINEまで聞いちゃってごめんなさい🙏💦 

愛L:怒らせてしまったかもしれませんが、夜電話できたら嬉しいな…?

愛L:そして、バイトお疲れ様です。

愛L:癒しのクマです🧸

○:ふふ、実は意外と良い人なのかもな笑

僕はそこらの酔っ払いよりめんどくさくて、心配性で可愛らしいあの子に好かれたようです。

○:あれ、そういえばどうして僕の名前知ってるんだろ…?

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