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玉音放送[終戦の詔勅]を現代文で読んでみよう

[原文]
大東亞戰爭終結ノ詔書
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9D%B1%E4%BA%9E%E6%88%B0%E7%88%AD%E7%B5%82%E7%B5%90%E3%83%8E%E8%A9%94%E6%9B%B8

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大東亞戰爭終結ノ詔書

[現代語文]

 私は、深く世界の情勢と日本の現状について考え、非常の措置によって今の局面を収拾しようと思い、ここに忠義で善良なあなたがた国民に伝える。

 私は、帝国政府に、アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4国に対して、それらの共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告させた。

 そもそも、日本国民の平穏無事を確保し、全ての国々の繁栄の喜びを分かち合うことは、歴代天皇が大切にしてきた教えであり、私が常々心中、強く抱き続けているものである。

 先に、アメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、まさに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の主権を排除して領土を侵すような事は、もとより私の本意ではない。

 しかしながら、交戦状態も既に4年を経過し、我が陸海将兵の勇敢な戦い、我が全官僚たちの懸命な働き、我が1億国民の身を捧げての尽力も、それぞれ最善を尽くしてくれたにも関わらず、戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もまた我が国に有利とは言えない。

 それどころか、敵国は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使い、むやみに罪のない人々を殺傷し、その悲惨な被害が及ぶ範囲は、まったく計り知れないまでに至っている。

 それなのに、なお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、さらには人類の文明をも破滅させるに違いない。

 そのようなことになれば、私はいかなる手段で、我が子とも言える国民を守り、歴代天皇の御霊(みたま)に詫びることができようか。

 これこそが、私が日本政府に共同宣言を受諾させるに至った理由である。

 私は、日本と共に終始、東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない。

 日本国民であって戦場で没し、職責の為に亡くなり、戦災で命を失った人々と、その遺族に思いをはせれば、我が身が引き裂かれる思いである。

 さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産を失った人々の生活の再建について、私は深く心を痛めている。

 考えて見れば、今後、日本の受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵のものではない。

 あなたがた国民の本当の気持ちも、私はよく分かっている。

 しかし、私は、時の巡り合わせに従い、堪え難くまた忍び難い思いを堪え忍び、永遠に続く未来の為に平和な世を切り開こうと思う。

 私は、ここにこうして、この国の形を維持することができ、忠義で善良なあなたがた国民の真心を信頼し、常にあなたがた国民と共に過ごす事ができる。

 感情の高ぶりから節度なく争いごとを繰り返したり、あるいは仲間を陥れたりして、互いに世情を混乱させ、そのために、人としての道を踏み誤り、世界中から信用を失ったりするような事態は、私が最も強く戒める所である。

 まさに、国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、総力を将来の建設のために傾け、踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って、必ず、国のあるべき姿の真価を広く示し、進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を決めなければならない。

 あなたがた国民は、これら私の意をよく理解して行動して欲しい。

御名御璽

昭和二十年八月十四日

玉音放送の全文 現代語訳及び英文
Imperial Rescript on Surrender


[引用元]

玉音放送の全文 現代語訳及び英文
Imperial Rescript on Surrender
by 加藤 恕(ひろし)
https://ameblo.jp/ameba25292/entry-12061876130.html


[参考]
ウィキペディア『玉音放送』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E9%9F%B3%E6%94%BE%E9%80%81


*十樂註

 締めくくりの一段落は、まさに、この現代(ひとつ間違えれば世の終わり)を生きる私たちにこそ向けられている昭和天皇からのメッセージではないかと、私は感じ入りました。

 まさに、国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、総力を将来の建設のために傾け、踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って、必ず、国のあるべき姿の真価を広く示し、進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を決めなければならない。


宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ

終戦の詔勅 抜粋