魔獣軍師ジェネラルリオン 第1話
第1話 深夜の顎力/3
ホームレス大量殺人から三日、収穫もなく、ただ過ぎてしまった
あれだけのことをやっておきながら、一向に上谷の行方が掴めない…
「おーい、有香ちゃぁん?あの現場周りの防犯カメラとかどうなってるぅ?」
ソファに横になってる俺の腹に角からタブレットを落としてくる
「調べはできてます、気持ち悪い声でちゃん付けしないでください」
「ご…ごめん……的確にみぞおち狙うのやめてよ……」
「とりあえず、周辺の防犯カメラ、Nシステムからなにからなにまで漁りましたけど……1個だけ変な奴があっただけですね」
スクリーミング配信の画像から普通じゃ入れないところの画像までありとあらゆるデータがタブレットには入っていた
紅有香、彼女は元凄腕のハッカーで、1度皐月に捕まっている
未成年だったことで保護観察がつき、おやっさんが引き取り、俺の助手としてここにいるわけだ
タブレットを見ると、現場からだいぶ離れた商店街のハズレにあるペットショップが写る画像が映された
そこには上谷と見られる男がペットショップに入るところだった、時間は事件前……
「なんだよぉ、あるなら言ってよぉ…もう。よし、明日このペットショップ行こう」
「あ、あした病院なんで…あと、これ」
差し出されたのはペットショップの概要だった
店主は映川満、ペットショップとアニマルセラピーのセラピストでもあるらしい
犬猫から爬虫類や熱帯魚などかなり手広い店で繁盛してるみたいだな
「ここ、何かあるかもな……なんとなくだけど」
「さぁ、ゆっくりと深呼吸しましょう、上谷さん」
小型のワニを膝に乗せて、背中を撫でる、少し興奮した顔の上谷を宥めている
「俺は…俺はどうしたら……」
ワナワナと震える手はすでにワニの手となっていた
「大丈夫、この間ホームレスで練習したでしょ?同じように無防備な深夜に…貴方をバカにして辞めさせた人間に復讐したらいいんですよ」
ゆっくりと語りかける映川の姿が猫の怪物に変わっていた
「大丈夫、貴方ならできますよ…くくく…今日はもう休んだほうがいい」
奥の部屋に上谷を連れていき、映川は鏡の前に立った
「バルバトス様、そろそろ完全に悪魔の種が人間に馴染む頃です」
鏡に写るのは猫の怪物ではなく、バルバトスと呼ばれたドクロの仮面の狩人風の男であった
「わかった、首尾よく人間共を殺すのだ…こちらは少々厄介な事になった、あとは考えろ」
「厄介なことですか、何がありました?」
ため息をついたバルバトス
「アスモデウス、フォルネウス、アンドラスが逃げた。人間に近づくかもしれん、警戒しろ…やつらは人間の味方だからな」
「くっ……かしこまりました……」
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