魔獣軍師ジェネラルリオン 第1話

第1話 深夜の顎力/6(LAST)

『~<=~←~・|乁⊂¥★゜´☆〃』
もはや俺では判断できない、これが悪魔の叫びなのか?

「獅子神宿伍、よくやったね、サレオスは……ほら」
俺の剣で刺されたサレオスは、元の上谷徹に戻っていた

「あぁ……ありがとうございました…ありがとう…」
そういうと上谷の体から光の粒が徐々に…徐々に増えて、まるで天国へと登るかの様だった

「おい…しっかりしろ…」
「大丈夫ですよ、探偵さん……これを牧子とあやかに…」
胸ポケットから2枚の手紙を取り出し、獅子神に握らせた

「本当は…あなたへの手紙と一緒に渡すつもりでした。代わりに、お願いします…僕はもう……」
と言いかけ、手紙と服を遺して、上谷は消えていった
「これは驚いた……彼、ちゃんと浄化されたみたいだ……」

「そうか……」俺は天を見上げ、後ろで叫び声をあげる紫の血に塗れた獣を倒そうと振り返った

「貴様ァ………俺の腕おおお!!よくもおおおお!!!」
涙、涎、血……醜い悪魔がさらに醜悪に見える
ただの獣、それがこちらへ走ってきていた

こいつは上谷みたいな人間じゃ、さらさらねぇや……
体も、心も、魂の欠片まですべて悪魔だ

「おめぇみてぇなボケはな……俺が…生かしちゃおくかってんだ!!」
走ってくるバアルを前に、剣を構え、大きく深呼吸した
すると剣が黒いモヤを出し、雄叫びをあげた

「獅子神宿伍!魔力が溜まった!御札を剣に貼れ!」
言われた通り、御札を剣に貼った

剣を上段に構え、息を吐き、魂が燃え尽きてもいいくらいに俺は叫んだ
怒り、悲しみ、イライラする自分に対してぶつけるように

一歩踏み出す

剣を降る

音が消えた

汚い叫びをあげるバアルを一刀両断していた

「人間を…………舐めるな」


音が戻ると、ドチャっという音が響いただけだった
すべてが終わった音がした

変身が解けたあと、体に無理をさせたせいか倒れてしまった

「君なら……或いは…『あと2人』揃ったら……ふふ…」

数日後、上谷からの手紙と遺された物を奥さんと娘さんに届けた。奥さんは気丈に、娘さんは少し取り乱してしまった……落ち着いてきたところで、お暇した


『不慮の事故』
としか伝えられない今回の出来事は…誰にも語られることもないだろう


「はぁ………なんて長い依頼だったんだ……くったくただ」
いつになく、大事の人を亡くした家族の涙が心に刺さった…
もうこんな涙は見たくねぇんだがな……

事務所に帰ると、何やら中が騒がしい
「ただいま………え?」
今まで騒がしかった事務所が一気に冷える感じがした
心無しか皆……睨んでないか?

「え?何…?」
困惑していると、おやっさんが俺と肩を組みながら
「宿伍よぉ…だめだよぉ…避妊はしないとぉ……」

ひにっ!!え!?と狼狽えるも、ソファに見覚えのあるシルエットが
「あ、おかえりなさい、『おとうさん』!」
目が飛び出でるとはこの事だろう……お、おとうさん?って言ったか?この悪魔風情は!?

「お……お前!どういう!」
スっと俺に抱きついて来たアスモデウスは耳元で

「この方が一緒にいるのが楽と聞いてね…ふふふ」
あんぐりと口が開いたままになってしまった俺に次々と

「種馬」
辛辣ぅ!?濡れ衣なのにぃ!

「所長がそないな人やったなんて…幻滅どす!?」
うっさい、チャラ男

「私とは……出来なかったから……い”い”ん”じゃ”な”い”か…」
やめて皐月、1番心が軋むやつ、それ……

「ま!父親代わりとして嬉しいぞ!うんうん…俺はおじいちゃまって呼んで…いだぁっ!!?」
流石に手が出てしまった…

「てめぇら好き勝手いいやがって!!俺はほんとにやってないんだってばぁぁ!!」

この出来事が、俺と俺の周りも人生を狂わすことになる始まりだった

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