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海がきこえる 感想

初めて映画館で観たからなのか私が大人になったからなのか、前に観た時とはまた違う印象を受けたので改めて感想を書き出そうと思います。ネタバレを含みます。

・終始杜崎(主人公)視点だった

本当にずっと主人公の杜崎視点だな〜と感じた。敢えて例えるなら、小説を読んでる感覚に近い気がする。杜崎が見ていないものは私たち観客にも見せてもらえないし杜崎が知らないことは私たちも知らされないまま話が進んでいく感じ。逆に言えば杜崎の考えていることはよくわかるので、自然に杜崎と同じ感情になれてた。杜崎が戸惑っている時は私も戸惑っていたし、杜崎が苛立っている時は私も苛立ちながら観てた。本当の杜崎は私なのかもしれない。

・杜崎と松野の関係性

もう序盤も序盤に「松野は俺の親友だ」みたいな杜崎のモノローグが入るので、杜崎にとっては間違いなく親友なんだけど、でも、松野も杜崎を特別だと思っているのかは結構終盤に差し掛かるまで正直わからなかった。
というか、杜崎が松野のことを好きすぎる。松野と初めて出会った日のことを思い出して「あの日から松野は、俺の心の中で、他の奴らとは違う所にいる(うろ覚え)」とか言い出す。松野に好きな女の子ができた時には「女なんぞにお前の良さは分かりゃせんと」とか言い出すし松野から里伽子の話を聞かされた時なんか「ああいう子が良いんか、松野は…」とか言ってた。可愛い。

里伽子との話を聞かされる杜崎


それなのに、松野は。松野は。里伽子に一目惚れしてからというもの、里伽子の話しかしない。里伽子に夢中。

で、松野は里伽子に、杜崎と仲良くなった日のこととか全部教えてしまう。別に隠すようなことじゃないけれどそれを聞いて「そんなことまで話したのかよ…」と言った杜崎がどこか寂しそうで私も寂しい気持ちになった。杜崎はあの日を大事にしてたんだろうなと思った。

杜崎と松野の関係性は終盤に差し掛かるまでずっとこんな感じだから、松野にとっては杜崎はさほど特別じゃないのかな〜とか、松野にとっては恋愛の方が優先順位が高いのかな〜とか思ってた。なにせ私たちは杜崎なので松野の考えてることは正直わからない。

でも、いま私がだらだら書き連ねたモヤモヤ達を松野は終盤に一瞬で吹き飛ばしてくれる。グーパンで。本当にグーパンで吹き飛ばされる。杜崎が。私が何をしたって言うんだよ。(杜崎気分の人)

吹き飛ばされる私(杜崎)

松野もまだまだ子供だな〜〜〜!!!とニヤニヤした。色んな感情が込み上げてきて、気づいたら殴ってたんだろうな。でもこれはよくよく考えてみたら杜崎にも落ち度はあったと思う。要は
杜崎:自分のせいで親友が傷つくなら、自分が少しだけ我慢すれば良い。
松野:気を遣われたことに腹が立った(というより杜崎に気を遣わせた自分にも苛立ってそうだけど、これは本当に私の憶測)。
こんな感じだったんじゃないかな、と思います。2人共悪くないけど、落ち度はあった、みたいな…
上手く言葉にできないけど、このシーンのおかげで松野の中で杜崎と里伽子に優先順位なんて無かったんだなと感じられて嬉しかった。ちゃんと親友だった。

でもさ〜〜〜結局この後仲直りできないまま各々実家を出て他県に進学していくのは正直苦しい。恋愛が憎い。
でも里伽子が転校して来なかったら、松野が誰かを好きになった時に杜崎が感じた苛立ちも、松野の友情パンチも起こり得なかったわけで、杜崎と松野の関係が深まるきっかけでもあったんだなと思う。悔しい。

そういえばこのnoteの最初に書いた通り、終始杜崎視点で話が進んでいくんだけど、松野と初めて出会った日の回想は杜崎視点で見てもかなり些細な出来事だったのでなんでこの日から松野が特別なの…?という疑問は残った。私はその日の出来事を杜崎視点で見たとはいえ結局私の感性で受け止めることしかできないので、理解できなかった。基本的にどのシーンでも杜崎の感情が自然に理解できたけど、松野を特別に思う理由だけはわからなかった。度胸がある所、先を見据えてる所、松野の良い所はたくさんあるけど何が杜崎に刺さったんだろう。
たぶんこればっかりは杜崎の感性を持ち合わせてないとわからないんだろうな。唯一無二は素敵だよ。

・里伽子

可愛い。憎い。生意気。図々しい。超可愛い。悔しい。

・総括

悔しい。



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