好きだから。


時が止まったままのSNS。

今日も更新されないと痛いほど分かっていながらも
心のどこかで期待してしまう。

当たり前のように
「おはよう」「大好きだよ」「おやすみ」
と、彼とのダイレクトメッセージを開く。


いつしか私のルーティーンには彼が必要不可欠だった。

まるで彼が隣にいるかのように私は生きてきた。

学校に行きたくない気持ちと必死に闘う朝、
睡魔に襲われる5限目、
友達とくだらない事で笑いあった放課後、
気になるあの子と話せたあの日、
バイトに向かう重い足取り、
親と喧嘩してしまった夕方、
孤独感に襲われるどうしようもない夜も、

どの瞬間をどう切り取っても私には彼がいた。

全部彼がいたから、いてくれたから。
彼がいないと私はきっと生きていけない。


だけど彼が居なくなった今、私は生きている。


「 私、多分もう生きていけない 」

呼吸さえ忘れて、嗚咽するほど泣きながら
冷たい涙で滲む画面を前に 親友に打った私の言葉。

本気で生きていけないと思った。
今すぐ消えてなくなりたいと思ってしまった。

体中の力が一気に抜け、
立っていられないほど足に力が入らない。
携帯を持つ手が震えて、心拍数がどんどん上がる。
自然と涙が溢れた。

あの瞬間を一秒たりとも忘れたことは無かった。
いや、忘れたくても忘れられずにいる。

「生きていけない」というより
「生きていたくない」の方が正しかったかもしれない。

彼のいない世界でなんて生きていたくなかった。



それなのに今、私はちゃんと生きている。

その事実が、胸が張り裂けそうなくらい私を苦しめた。


彼がいなくても生きていけると知ってしまったから。




じゃあ、私にとって彼の存在意義は何?

そう考えた時、私の答えはシンプルで簡単だった。
















「 好きだから 」













彼が好きだから。

どうしようもないくらい、狂いそうなくらい好き。
ただそれだけ。

「好き」に意味を求めすぎていたのかもしれない。

何をしていても、何処にいても、誰といても、
私は結局彼のことで頭がいっぱいだ。


きっともうそこには「好き」以上の理由なんてないよ。

ここまで来てしまったのだから。
もう私は一生貴方の虜だし、なんなら貴方以外の誰かに
同じ感情を抱きたくない。















脱ぎ捨てた制服、絡まったイヤホンを取り出し、
窓から差し込む夕日を後目に
流れてくる貴方の声を、愛おしいと思う毎日。















貴方が教えてくれた愛は花言葉に。
貴方との約束は丁寧に。















きっと彼は、淡いピンクとブルーを混ぜて
私に赤を教えてくれた。

















どうか幸せでいて、なんて言えるほど
強くなくてごめんね。


エイジくん、好きだよ。