おばぁちゃんの昔話

「藤本さーん!」
来た。いつも話しかけてくる。


「昼休憩だよ。行こう。」
「わかった。今行くー!」
軍事工場で奉仕活動を始めて、私もだいぶ慣れてきた。

「お疲れ」
「お疲れ様です。お待たせしました。」


「俺さ、出征。来週に決まったんだ。」
「……………。」

「隅田川、行ったことある?」
「ありません。」
「近くなんだけど、俺も行ったことはないんだ。明後日、散歩しに行ってみない?」

初めて見た隅田川は、それよりも、人の多さに驚いた。この中でどこにいるんだろう。

「藤本さん」
「あ、お待たせしました!」

何を話したらいいのか。
「……………。」
「……………。」

なんだか身体が熱い。
ただ、歩いてるだけなのに。

「ところてん食べようか。」
「はい。」

「はるちゃん。俺明日行くけど、待っててくれる?」
「……はい。」

「本当?」
「うん。待ってる。」

酔っ払ったおばぁちゃんが話してくれた、おそらくこれはデート?の話。
きっと私に話したことは覚えてないだろうな、、

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