20240618【企業金融】He, W., Hu, M. R., Mi, L., & Yu, J. (2021). How Stable Are Corporate Capital Structures? International Evidence. Journal of Banking & Finance, 126, 106103.

He, W., Hu, M. R., Mi, L., & Yu, J. (2021). How Stable Are Corporate Capital Structures? International Evidence. Journal of Banking & Finance, 126, 106103. https://doi.org/10.1016/j.jbankfin.2021.106103
<要旨>43市場の大規模な企業サンプルを用いて、世界中の企業のレバレッジ比率に大きな時系列変動があることを発見した。また、レバレッジ比率の業界中央値と総レバレッジ比率も時系列で大きく変化している。実際のレバレッジ比率と比較すると、時系列変化する目標モデルから推定される目標レバレッジ比率ははるかに安定している。分散分解によると、レバレッジの不安定性は主にターゲットからの乖離によって引き起こされていることがわかる。多くの企業特性や市場特性が資本構造の不安定性に関連している。また、グローバル市場において、企業がレバレッジ比率を目標値に向けて調整するために資金調達活動を利用していることと一致する証拠を発見した。

<結論>DeAngelo and Roll (2015)は、米国企業のレバレッジ比率の有意な時系列変動を記録している。本研究では、DeAngelo and Roll (2015)のエビデンスを大規模な国際市場のサンプルに拡張する。米国以外では、1988年から2018年までのサンプル期間において、42市場で企業の資本構造に有意な時系列変動を発見した。また、企業固定効果、レバレッジ比率の業界中央値、市場レベルのレバレッジ比率の集計においても有意な時系列変動を発見した。我々のエビデンスはDeAngelo and Roll (2015)の所見と同様のものであり、資本構造の不安定性が世界中で常態化していることを示している。 分散分解アプローチを用いて、実際のレバレッジ比率の変動を、目標レバレッジ比率の変動と目標からの乖離の変動に分解する。 その結果、国内要因と米国要因からのスピルオーバー効果の両方を含む、目標からの乖離の様々な決定要因の可能性を探る。また、これらの決定要因を、時系列のレバレッジ比率の中央値からの乖離によって測定されるレバレッジの不安定性に直接関連付ける。その結果、時系列で変動する企業特性と国内マクロ経済変数の両方が、企業のレバレッジ比率が目標レバレッジ比率や中央値から大きく乖離する確率に関係していることが分かった。企業のレバレッジの不安定性は、投資家保護、市場レベルの情報環境、政府の質など、いくつかの制度的要因にも影響される。さらに、米国の景気サイクルや経済的・政治的不確実性は、非米国市場におけるレバレッジの不安定性に波及効果がある。最後に、企業がレバレッジ比率を目標値に向けて調整するために、外部資金調達活動を利用していることを示すいくつかの証拠を発見した。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?