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「聡明な方々」のご尽力

朗報です!

日本企業の撤退が心配されていた北極域の液化天然ガス開発事業「アルクチクLNG2」、プーチン大統領は先日「日本にはまだ聡明な方々がいるので」エネルギー関連で協力関係を続けていると発言しましたが、これに呼応する形で、武藤駐ロシア大使は、「最後までプロジェクトに残る」とロシア産業企業家同盟(ロシア版経団連)に請け負ったようです。

以下、昨年12月20日にXに上げた記事です。

日本のエネルギー安全保障を脅かす米国発の対ロ制裁に国益を捨て追随せざるを得ない日本政府。プーチン大統領は、「日本は拒否せず、仕入れていますよ。是非仕入れて下さい。今後もご自由にどうぞ。こちらは異議なしです。」と述べた。相変わらず甘々です。(年末恒例の国民との質疑応答にて)

米国財務省は新たな対ロ制裁を発動、今度は北極域における液化天然ガス開発事業「アルクチクLNG2」を対象にすると通告した(アルクチクは北極の意)。これはロシアの天然ガス大手ノヴァテク社が手掛けるプロジェクトで、日本では2019年に石油天然ガス・金属鉱物資源機構と三井物産のコンソーシアムが10%の権益を取得している(その他、中国が20%、フランス10%)。

地質的、地理的に恵まれたロシアの北極域は、石油ガスを合わせた可採埋蔵量でサウジアラビアを上回る可能性があると言われている。ノヴァク・エネルギー大臣(2020年当時)は「ロシアは世界の液化天然ガス市場の4分の1を獲得しようとしている。我々はすでに最大のガス生産の可能性と強力で高度な輸出インフラを持っている。」と豪州、カタール、米国に次いで4位の液化天然ガス生産量を誇るロシアのエネルギー戦略について語っていた。

このロシアのポテンシャルに危機感を抱いた米国は、住民投票による正当なクリミアのロシア編入にかこつけて、早くも2014年からジワジワとロシアの北極域開発をターゲットに制裁をかけてきた。2021年の時点では北極海と石油の開発は禁止されたものの、陸上と天然ガスは対象外だった。今回はさらに難易度を上げ、自国の権益保持のためライバルを締め出したいという思惑のようだ。

また、今回の制裁は日本のエネルギー安全保障を脅かすことになるだろう、とブルームバーグは報じている。 日本政府は現在石炭の輸入を禁止しており、天然ガスは主要燃料の一つ。 資源を持たない地方自治体は、昨年のエネルギー危機を教訓に液化天然ガスへ軸足を移す取り組みを強化したばかりだった。西村経済産業相は11月7日、「事業への一定程度の影響は避けられない」とやはり悲観的なコメントを残している。

実際、液化天然ガス開発事業「アルクチクLNG2」は、「日本への石油・ガスの供給量において一定のシェアを占め、その存在感が安定しているロシアの投資促進等を通じた経済関係強化が、日本の資源エネルギー源の安定供給及び多角化に資する(JETRO)」ものであり、「日本企業がこのプロジェクトに参加することで日本への液化天然ガスの安定供給と供給源多様化に大いに貢献する(JOGMEC)」というのが経済実業界の共通した見解であったはず。先述の西村経済産業相も「需給の逼迫が続くと見込まれる液化天然ガス市場において、日本のエネルギーの安定供給にとって重要なプロジェクト」と認めるところ。ならば、なぜ主権国家日本は国益を無視して米国のマイルールに追随しなくてはならないのか。

商社を始め、このプロジェクトに携わった方々の苦労が水の泡。現場はとてつもない労力だったに違いなくて、本当に痛み入る。西村経済産業相は「影響の詳細な精査を行い、我が国のエネルギーの安定供給を損なうことがないように総合的に判断し、適切に対応していきたい」とのことですが、ではどうやって?

プーチン大統領の発言(原文)
«Япония не отказывается и берет. Пожалуйста — берет. Ради бога — пускай дальше это делает, мы не против»

二年前のものですが、北極開発について良くまとまっている貴重なプレゼンテーションです。
「北極域における石油天然ガスポテンシャル」
第11回北極海航路に係る産学官連携協議会・独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(2021年7月)
mlit.go.jp/sogoseisaku/oc…

©️ロシア在住です

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