2020. 09. 19. ゆくえしれずつれづれ Overdestrudo Tour 群馬 前橋DYVER ライブレポ

どうも

ようやく最近涼しくなってきましたが、みなさまお元気ですか

「だつりょく系・げきじょう系」こと「ゆくえしれずつれづれ」は、先月から新たなアルバム『paradox soar』をひっさげて、7月末から10月末にかけて全国を駆け抜ける『Overdestrudo Tour』の真っ最中。

ツアーもいよいよ後半戦へと差し掛かっています。

今回の投稿は、先日9/19(土)に行われた群馬・前橋DYVER公演のライブレポです!!

まずセトリはこちらです。

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2020. 09. 19. ゆくえしれずつれづれ 『Overdestrudo Tour』@前橋DYVER

1. 九落叫

2. 行方不知ズ徒然

3. Ideology

4. Phantom Kiss

5. MISS SINS

6. 白と黒と嘘

MC

7. Grotesque promise and I really hate me

8. ssixth

9. VERITAS

10. REDERA

11. ニーチェとの戯曲

12. Psycho-Hi

13. 逝キ死ニ概論

14. Paradise Lost

15. Wish/

16. Still Roaring

17. Loud Asymmetry

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リリースイベントとは違って本ツアーはワンマン尺ということで大ボリュームの17曲です!

ですが体感時間はすごくあっという間でした...

さて、ライブ全体の感想ですが、

「神は細部に宿る」という言葉が有るように、ワンフレーズや踊りの一瞬一瞬に突き刺すような緊張感を感じるパフォーマンスでした。そうした瞬間には、観客である自分にさえも気の緩みや余裕が許されず、ただただ拳を握って向き合うしかできなかった...そんな印象が強く残っています。

このご時世によって、ライブ観賞での声出し等は規制中。静止での観賞に加えて、ステージの前には透明のシートが張られていました

これ、最初は一見邪魔に見えたのですが、そう悪いことばかりでもなかったんです。

透明ではあるものの、やはり遮られている感じがするのはご想像の通りです。

それに加えて、今までも他の公演で使われてきたからでしょう、このシートには細かな傷や凹みがあって、それによって、観る場所によってはその向こうの視界が少し隠れたり淡く歪んだりするんです。

そう言うとシートが余計に邪魔そうに感じられるかもしれませんが、

その様子は、彼女たちのパフォーマンスや世界観も相まって、なんだかすごく神々しく、現に目の前に存在しているということすらどこか曖昧に感じさせるような、そんな風に感じる場面がすごく多かったんです。

この点で特に印象的だったのが个喆のスクリーム。彼女のスクリームする様子や音質は、ラウドロックやハードコア、メタルなどの「凶悪」なものとはまた違った、どこか優しさや包み込むような雰囲気をまとっています。个喆らしくあると共に、ゆくえしれずつれづれだからこそフィットするこの雰囲気が、まさにこの「神々しさ」を強く押し出しているように感じました。

また、今回はセトリの組み方も工夫されていたように感じます。

セトリの流れとしては、序盤は(激しいながらも)綺麗な曲や聴かせる曲で少しずつ引き込み、中だるみを許さないかのように中盤へ向かって徐々に激しさを増した曲で畳みかけ、終盤は繊細さを前面に出しながら幕を閉じる...といった印象。

普段なら、序盤で一気に激しい曲で盛り上げ、中盤には優しい曲も織り交ぜつつ、最後に再びフロアを激しく燃やし切る...といった王道の流れです。

あとでまたお話ししますが、今はライブ観賞の規制があるからこそ、いつもとは違う聴かせ方やライブ作りをしているように感じられます。ライブ規制のなか開催された本ツアーや配信ライブなど、ここ最近の公演は特にそういった意図を持って毎回セトリを組み替えているような印象があります。

それでは、本編についてセトリ順で書いて行こうと思います。

まずは序盤。

幕開けの一曲は「九落叫(Ninth Fall Roar)」。

(旧バージョンである「六落叫(Six Fall Roar)」はMVが公開されていますが、こちら『BrightDark』収録の「九落叫」は、現体制になり歌詞やレコーディング・ミキシング・マスタリングの再編を経たものとなっています。旧バージョンとは違った仕上がりになっているのでぜひ聴いてみてください!)

サウンドや歌詞、世界観、定番さ、などなど、多くの面で「ゆくえしれずつれづれ」を表すには切っても切れないこちらの一曲ですが...普段はライブの終盤に披露されることが多く、そのエモーショナルな世界観でフロア全体を一つに包み込みます。

しかし今回は、珍しくこれが一曲目。

いろいろな曲順のセトリが模索されている今、最初に何が来るのか全く想像がつかなかったので「そうきたか!」と。

セトリはここから「行方不知ズ徒然」、「Ideology」「Phantom Kiss」「MISS SINS」と続きます。

どれも激しさの目立つ曲なのですが、シリアスな世界観も持ち合わせていて、「聴かせる展開」を序盤から披露してくれました。

特に、自身の名を冠した代名詞的一曲「行方不知ズ徒然」の演奏は、曲展開が進むにつれてスクリームのかっこよさや感情の乗り方がどんどん際立っていく様子が特に記憶に残っています!中でも音源2:54〜メイユイメイの「永久」が一番かっこいいです

(今気づいたんですが、最初の2曲は『BrightDark』と同じ曲順ですね。一瞬でフロアを温める、という趣ではないかもしれませんが、彼女たちのコンセプチュアルな世界観を魅せるにはすごく良い曲順だなぁと改めて思いました。)

そしてMCの区切りを目前に披露されたのは「白と黒と嘘」。

メタリックな歌心を備えたギターリフを主体として、中盤の疾走パートとブレイクダウンへ向かって一気に駆け抜けます。

スクリームと激しいサウンドの応酬、その合間を流れるようなクリーンパートと振り付け...モッシュ等が規制されているなかでの静かに心を熱くさせるパフォーマンスに、拳を握り締めながら釘付けになりました。

閑話休題..

前述の通り、今回は中盤に激しい曲が多く盛り込まれていました。

普段であれば中盤にエモーショナルな曲を持ってきて、徐々に世界観へと没入させる、というライブ作りです。

今回のセトリではそうした没入感はあまりなかったですが、そのかわりに普段と違っていろいろなところに注目した見方をしていました。

特に印象的だったのが、「白と黒と嘘」とMCの直後に披露された「Grotesque promise and I really hate me」。

最新アルバム『paradox soar』収録の新曲です。こちら先日の配信ライブでも聴いたのですが、ライブハウスで観るのは今日が初めてでした。

この曲、何がすごいって振り付けや歌の世界観です。ライブでこそ、この曲の本当の凄さがわかると思います。

特に覚えているのは、イントロの静止した状態から、メンバーが一人ずつ動き出す振り付け。その様子はまるで命が身体に吹き込まれて躍動する様子が表現されているようで、周りのメンバーの静止状態とも対比されて、すごく生命感の伝わってくるパフォーマンスでした。冒頭にお話しした「緊張感」というのはまさにこれをもとに感じたことです。特に、楽曲ほぼ全ての振り付けを手掛けるまれ・A・小町のダンスの表現力には、この曲はもちろん、どの場面でも圧倒させられるばかりでした。

そして歌ですが、今までの楽曲は、歌を代わる代わる重ねたり、掛け合いを入れたり、ユニゾンしたり...と、複数いるボーカルを活かした歌い分けが多かったです。

しかしこの楽曲は、一人一人が長いフレーズを単独で歌うことが多いのが特徴的です(特にサビ)。その分周りのメンバーの踊りの幅も広がっていて、新たな一面が見えたように思います。

このあたりはまた別の機会に掘り下げてレビューしたいですね。

あ、あと

「ssixth」の後に披露された新曲「VERITAS」も、いざライブで初めて聴いてみると、配信や音源とは全然迫力が違いました。

何より凄かったのが、音源1:33〜のブレイクダウンです。

ここに差し掛かった瞬間の、今回随一の凄まじい低音。その上に重なる凶悪なスクリームとパフォーマンス。凄すぎてもはや笑える...というか、普通に声出して笑ってました。爆音の中。
(箱やPAの違いによるものなのか、今回の開演直後の音響の第一印象として、どの曲も低音が回ったりぶつかったりする感覚がいつもより薄く、わりとスッキリと聴こえたのが記憶に残っています。しかし、当該箇所のブレイクダウン部分は他の瞬間より明らかに低音感が強かったように思います。)

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(ここから該当部分の説明になります。「VERITAS」から一瞬離れてちょっと専門的な話も含むので興味なければスルーしてもらっていいです)

以前「VERITAS」の作曲者でもあるsyvaさんが、今度出す曲に「ダブルドロップDを導入した」とツイート。

本文にある通り、ギターのチューニングが通常のE(ミ)から1音下のD(レ)...ではなく1オクターブと1音下のD(レ)まで下がった状態です。

ゆくえしれつれづれなど激しめな音楽性のギターサウンドを取り入れた音楽には、しばしば凶悪さや低音感、表現の拡張などを狙ってギターのチューニングを下げることが多いです。

ダブルドロップDとかドロップlow Dとか呼び方はいろいろあるのですが...程度のすごいダウンチューニング楽曲は数あれど、ここまで突拍子もない下げ方をする人はそうそういないです(笑)。そのため定着するような呼び方すら追いついていないわけですね。

じゃあドロップlow Dってどんなの?というと、この曲なんかがわかりやすいかもしれません。

Issues - Tapping Out

最初の2音です。ゴゥゥンゴゥゥン...と、おおよそ普通のギターからは出てこないような音がしますね。とてもすごいです。ね。

で、話を戻して、「VERITAS」について。前述のツイートが「VERITAS」という曲名を出しての言及ではないので定かではありませんが(当時リリースを控えていたsyvaさん作曲の楽曲は他にもあったので)、

音源聴いたときにここ(1:33〜1:53)かな?って思ったのに加えて、先程書いたようにライブで聴いた感じもあそこだけ低音感が凄まじかったので、ほぼ間違い無いのかな?と思います。多分。

この曲は本当にライブで印象が変わりました。ご興味ある方は、改めて音源・ライブ共に「VERITAS」の1:33〜のブレイクダウンに注目してみてください!

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さて本編セトリに戻りまして

続くは「REDERA」「ニーチェとの戯曲」そして普段あまり頻繁には披露されない「Psycho-Hi」と、ここにきてゴリゴリな楽曲で立て続けに攻めてきます。

規制前とは違った見方を...とここまで散々書いてはきましたが、

流石にこの時ばかりはモッシュできない現状を恨まざるを得ませんでした(笑)。

「ゆくえしれずつれづれ "REDERA"Official MusicVideo」

2020/3/25に、アルバムに先駆けてシングルでリリースされた「REDERA」。シングル音源を引っさげたリリースイベントもオンライン上だったため、この曲のライブ規制解禁状態でのお披露目はいまだにされていません。この激しい曲調が今後ライブでどう化けて行くのか楽しみです。

そしてライブもいよいよ大詰め。

ライブの規制がなかった時は、1曲目に定番曲「Loud Asymmetry」からスタートして一気にボルテージを上げるといった流れが定番ですが、今回はこの曲を締めに披露。

「Loud Asymmetry」は旧体制でのMV+音源が公開されていますが、「九落叫」と同じく、こちらの『BrightDark』に収録されている現体制での再録音源をぜひ聴いてみていただきたいです!

(9/11の配信ライブでも「Loud Asymmetry」が最後に演奏されました。その他今回言及する曲についても書いてます。詳しくはこちら前回の記事へ!)

激しさが目立つ曲ですが、今回のようなセトリの流れがあった上では、楽曲の激しさの裏にある繊細さが前面に押し出されるような印象です。曲単体としても新しい表情が出ていたのに加えて、セトリ全体としてもこれがすごく良い働きをしてくれました。

セトリは先述の「Psycho-Hi」から続き、ゆくえしれずつれづれの中でも特に激情的な世界観を持つ「逝キ死ニ概論」を境に、展開は一変、荘厳な世界観の「Paradise Lost」、激しくも包み込むような「Wish/」「Still Roaring」で感動の渦へ、そして、それを引きずったまま「Loud Asymmetry」の秘めたる流麗さにフロアを浸らせて幕を閉じる、という終盤の流れは、切なくて名残惜しくも満たされた気持ちに包まれる感覚を与えてくれました。


「Loud Asymmetry」しかり、普段のライブと違う曲順による曲ごとの印象の違いは、演じる側である彼女たちにもあったのだと思います。

だからこそ、普段とは違った気持ちでのパフォーマンスや、いつもと違った世界観を生み出し、そこに実際に観客を巻き込む力が生まれていたのかもしれません。

これはモッシュ等が禁止されているからこそできるライブやセトリの組み立て方だったのではないかな、と思います。

今のようなライブでの規制も武器にして、これからもいろんな角度からのアプローチでいろんなライブの組み立て方をしてくれたらいいなあ、と思わせてくれました。

はい

とりあえず

こんなとこでしょうか

これからもライブレポ書いていきたいですね

あと7/25の渋谷CYCLONE公演のライブレポも気が向いたら書こうかな...(時間経って曖昧なとこもあるし時系列もアレなので書くかどうかはアレ)

じゃあまあ

そんな感じで

また次の投稿でお会いしましょ

ありがとうございました〜

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