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財務報告の流儀 Vol.013

 文豪ゲーテが開示責任者なら、財務報告の流儀を求めたことでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのだから。

 そこで、KAM(監査上の主要な検討事項)を早期適用した事例から、財務報告のあり方について考えていく連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回は、次の事例を取り上げていきます。

(1)事例

証券コード 5713

会社名 住友金属鉱山㈱

業種 非鉄金属

開示書類 有価証券報告書

決算日 2020年3月31日

監査法人 有限責任あずさ監査法人

会計方式 IFRS基準


(2)早期適用によるKAM

連結財務諸表に対するKAM

・Sierra Gorda S.C.M.への貸付金に対する貸倒引当金の見積り

・Quebrada Blanca Holdings SpAの持分取得に関連する鉱業権(Reserve)の公正価値の見積り

個別財務諸表に対するKAM

・SMMQB Holding SpA株式の減損処理の要否に関する判断(ただし、連結KAMの2点目に関連の高い項目を扱っている)


 この事例から学ぶべきポイントは、次の3点です。

・将来のKAM候補を予想する方法

・内部統制の評価手続から企業のレベル感が透けて見える

・評価が高まるに違いない、この注記


 同社の有価証券報告書をご準備いただき、実際の開示を確認しながら、財務報告のあり方を学んでいきましょう。いかに財務報告を良くしていくかに真摯に向き合っている人だけ、この先にお進みください。
 


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