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 そのトンネルは、猛々しくそびえる山にぼつりと鉛筆を挿して穴を開けたような、突拍子の無い存在に見えた。
 最後に対向車とすれ違ったのは二十分以上前だ。
 眠気もあいまって、トンネルに吸い込まれたらそのまま崖の向こうに放り出されるんじゃないかというぼんやりとした妄想が――要するに眠たいわけだ。

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