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記憶を辿る旅

祖母だと思っていた人が祖母ではなかったと知った時から私は自分の血筋というものを考えるようになった。
私の祖母はどんな人だったのだろう?
父が12歳のときに亡くなった。
父自身も母親と過ごした記憶はあまりないという。
祖父と祖母は夏の間は出稼ぎで釧路へ働きに出ていた。
故に私の父親の記憶の中の母親との思い出は釧路にある。
母親が元気だった頃の楽しい記憶。
父にとって釧路が思い出の土地。
幣舞橋から車を走らせて少し坂を上ったところ、今は駐車場になっているところ、それが祖父がいた番屋の跡地だ。
父もまた光夫さんにここに連れてきてもらったと聞いた。
そう、父もまた自分の記憶を辿る旅をして、そして私は祖父と父の記憶を辿る旅に出る。
それは自分の故郷というものが何処にあるのか、由縁の地に自由に赴くことができない私たちにとっては必然の行為だった。

私は何処から来て何処へ消えていくのだろう?

海の向こう、私たちの血を育んでくれた島がある。
それは未だ足を踏み入れたことのない土地。
北方領土と呼ばれている島々の、歯舞群島の中の一番大きな島、志発島。

私は祖父のことが知りたかった。
会ったことのない祖母のことも知りたかった。
漠然とした想い。
自分のルーツを知りたい。
それが漠然とした記憶を辿る旅に出るきっかけとなった。

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