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出来ないこと自慢

子供の頃、大人は何でも出来ると思っていた。

映像業界で12年、教育業界で14年、社会人歴は25年以上。これだけ社会人をやっていても、私には出来ない事がとてもとても多い。

普通とされる事さえもちゃんと出来ないのだ。

なのに一般的に「デキル人」「ちゃんとした人」と思われることが9割。

何故か。

見た目がキリッとしていて、しっかり者に見えてしまうという理由も大いにある。

あと、話し方。
あと、服装。
あと、ピンヒール。

とにかく外側、ガワがしっかり者っぽいのだ。

子供の頃からそうだった。
体が大きくて顔立ちが大人っぽいという見た目で「じゅんちゃんはしっかりしていてるわね〜」と言われた。

学校の先生からは頼りにされた。
学級委員や生徒会役員とか、何かしらの役割をずーっとやっていた。

お勉強は全科目満遍なくとても良く出来たし、作文や習字や絵ではいつも賞状を貰っていたけど、それ以外はポンコツ極まりなかった。

忘れ物が多く、体操着や水着や給食着、上履きを忘れるのは日常茶飯事だったし、健康診断の検尿やギョウ虫検査のシールみたいなやつも忘れるし、ランドセルを忘れて家に帰った事もある。
机の中にはいつのか分からないパンが入っていて夏休み前に発掘されてうへぇ…となっていたし、学校から貰ったプリントはずっとランドセルに入れっぱなしにして皺くちゃになっていた。

なのに、誰も私を「心配な子ねー」とは言わず、妙に落ち着いた見た目とテストの点や大人びた文章をを見て「しっかりした優秀な子」と認識した。
もちろんその人達が悪いわけではなく、こんなまわりの反応から私が勝手に「しっかり者設定」を自分に施したわけだ。

私はしっかり者、、みんなの期待に応えよう!
そして、お父さんお母さんに喜んで貰おう。

ポンコツなのにしっかり者の振りをするのは、とても大変だ。
ポンコツを隠すために血の滲むような努力を子供の私は自分に課した。

上っ面だけの、なんちゃってしっかり者の出来上がりである。

著者近影…ほら!しっかり者っぽい



「デキル人」と思われるのは、まぁ良い。

でも、「ちゃんとした人」とか「しっかり者」と思われるのは最近ほとほとキツくなってきた。

だって私は全然ちゃんとしていないのだから。


ちゃんと出来ないのにちゃんとした人と思われてしまうと、長年の「しっかり者設定」が発動し、ご期待に応えようと無意識&自動的に頑張ってしまう。

人には機嫌良く笑っていてほしい。
私の頑張りで誰かが笑うのは嬉しい。
でも私自身も笑っていないと意味がない。


私はもう人の期待に応えるためだけに、時間と手間と能力を割きたくないのだ。


実は結構前から公私でポンコツ宣言はしているのだけど、夫以外みんな信じてくれない(笑)
(因みに夫も私と同じ性質)

きっと私がポンコツ宣言しながらも、どこかで「デキル人と思われたい」という、カッコつけのスケベ心があるからなのだろう。

今私が見ている景色は、自分の頭の中が現実に現れているだけなのだ。

「しっかり者設定」とスケベ心を捨てよう。
私は一般的な社会常識から見たらダメな大人だ。

何も予定が無い日は、家事ほったらかしで寝起きのままの格好にボサボサ頭でソファに寝そべりながらお菓子をむさぼり、鼻をホジホジしながらずーっとyoutubeをみて1日を終えるような人間だ。
玄関のチャイムが鳴っても面倒臭くて出ない時もある。

朝が弱いので、正職員なのに始業時間に職場にいる事は年に2回くらいの遅刻魔で、都内の快適なラウンジやカフェを見つけては勝手にそこで仕事をしている。
自分の授業は楽しいからすっぽかした事は無いけど、時間を消費するだけのつまらない会議は色んな理由をつけてちょくちょくバックれたり、出席を忘れる。

整理整頓が出来ないから、いつも物を探している。
デスク上は綺麗だけど(そうじゃ無いと仕事する気になれない)その代わり引き出しはカオスだ。
なんの法則性もなくとりあえず突っ込むので、いつも必要なものがすぐに出せない。
部下が承認印を求めにきてもすぐ判子が出せないし、学生の履歴書添削のための赤ペンがしょっちゅう無くなるし、書類はあっという間に山になるし、パソコンのデスクトップはアイコンでいっぱいで訳わからなくなっている。(家も同じ)

物理的にタスクが多いのも要因のひとつだが、ダブルブッキングや日時の間違いも多い。
面倒くさがりのクセに好奇心だけは人の7倍位あるので、とりあえず何でもやってみたくなるのだ。

更に事務作業が死ぬほど嫌いだし、単純作業をコツコツするのも「うぎゃー!!」ってなるから嫌い。
Excelに学生の成績入力や出欠入力をするなんていう作業は間違いを起こす可能性しかないので、人に頼んでいる。
興味のない提出物に関しては、どんな重要書類でも期限を守れない。

そそっかしくて、怪我も多いし忘れ物や失くしものもしょっちゅうだ。
フィジカルもメンタルも瞬発力はめちゃくちゃあるけど、持久力は無い。

あと、虫が凄く苦手。(これは関係ない)

こんなにナイナイ尽くしでよく生きてきた。

よくぞご無事で。

でもね、こんな私でも結婚して仕事して、それなりのお給料を貰って、大好きな海外旅行にも結構行ってるし、贅沢なレストランやホテルにも頻繁に行けている。
世の常識からするとまともじゃ無いのに、世の常識から見て割と良い生活を送っている。

そんなものなのだ。
そして、これからは世間から見て良い生活を送るのではなく、自分が生きたいように生きるのが本当に自由で幸せな事なのだ。

今の時代、何がちゃんとしてるか、何を持ってデキルと言うか、そんなの人それぞれだ。

時代によって、国によって、地域によって、人によって、その時の気分によって、常識も評価も全く変わる。

だから私は私のままで、言い訳も小細工もなしに堂々としていれば良いのだ。

凹みがが大きければ大きいほど、その分でっぱり部分も大きいんじゃないかなぁ。

だから出来ない事を披露することは、恥ずかしい事でも自虐でもなく自慢だ。
凹みを隠すなんてもったいない。

私こんなに出来ないの!すごいでしょ?


よし、出来ない事を自慢したから次は逆に出来る事自慢をしよう、謙遜なしにドヤ顔でガンガン自慢しよう。

謙遜なんて人目を気にしたカッコつけだ。
そんなカッコ悪いことはもうしない。

いいか…カッコつけんじゃねーぞ、わたし!

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