ニューヨーク州弁護士登録手続について(2024年4月、弁護士、日本から登録)

noteでも、その他のブログでも、先達のありがたい情報に大変助けられましたので、私も、ということで、忘れないうちに、当職が先日手続きした際のニューヨーク州弁護士登録手続について共有しておきます。なお、ほかの方々が既に詳しく書かれているように感じたところは簡略化しています。なお、当職は、ロースクールがプロボノ免除時代だったのでその点は記載していません。

必要書類

1.Notice of Certification

必要な試験をすべて完了すると、BOLEのウェブサイトでログインした先のマイドキュメントのページでCertificateがダウンロードできるようになります。
このCertificateに書いてあるURLのページで、提出のためのフォーム(下記)とインストラクションを入手できます。

2.書類B:Questionaire

(Bから始まっていますが書類Aはインストラクションだけが記載されているもので、提出不要の書類です。)
質問事項、もらさず書きます。
違法な薬物を今使ってますか?とかいう、アメリカらしい質問もあり。

3.書類C:Good Moral Character(2通)

ロースクールの先生や現在の職場の人、親族などはダメとのこと。
当職は、高校の時の友人の会計士と、先にNY州弁護士として登録済みの仲良しの弁護士にお願いしました。感慨深い。公証は不要。

4.書類D:Law Related Employment

法律関係の雇用先について、これまでの全てまたは10年以内の全ての関係者から取得。
当職の場合、前事務所、OPTでの勤務先事務所、前出向先(条約を作っていたのでLaw Relatedということで)、現在の事務所について、書類を準備。前出向先の担当官が心のこもった推薦文を書いてくださり、とてもありがたかったです。公証は不要。

5.書類E:Law School Certificate

ひな形(Law School Certificate)に自分で記載すべき事項を記載の上、各所にハードコピーまたは電磁的方法により送付。これらも公証は不要。各所から直接Admission Officeに電子メールで送ってもらうように手配します。
(1)司法研修所
司法研修所に電話して、「英文(終了・成績)証明書交付願」用紙をFAXで送っていただきました。書類に必要事項を記載の上で、研修所に郵送。
郵送前提でひな形が作られているのですが、「送付先住所」の欄に電子メールアドレスを記載してここにメールしてほしいと記載し、念のため下記のURLページのハードコピーを付けました。電話口からは、いつもやっている手続、という感じの印象を受けました。
少し時間がかかるかもと言われていましたが、研修所への書類発送後、5日から1週間後くらいにはAdmission Officeに提出してくださったようで、わりとすぐAdmission Officeから受取完了のメールが来ました。特に費用はかかりませんでした。
(2)大学(法学部の場合)
これも念のためあらかじめ大学に問い合わせをして具体的な方法を聞きましたが、当職の出身大学では、ウェブサイト上ですべて手続ができました。これも備考欄等に電子メールでAdmission Officeに書類を送信してほしい旨を記載しておき、問題なく対応していただけました。適宜費用等を決済。こちらについても、手続をお願いした翌日~翌々日にはAdmission Officeから受取完了のメールが来ました。
なお、当職はロースクールの時代の人ではないので(旧石器時代の人)、ロースクールからは取得せず。
(3)米国ロースクール
ロースクールの学生課宛てに電子メールで連絡して、フォーマットを添付して電子メール送付を依頼。ロースクールの事務の方から、さっき出したよ!という連絡をいただき、そのすぐ後にAdmission Officeからも受取完了のメールを受領。アメリカっぽいやりとりが懐かしい。これも1日から2日で完了。費用はかからず。

6.その他
(1)日弁連

「登録等証明書交付願」という書類を弁護士会の窓口に提出しました。数日後、郵送で原本が事務所に送られてきました。費用は1050円。
(2)弁護士会
当職は東弁なのですが、東弁では事前にメールで会員課の方と連絡を取り合い、内容調整して確認が取れた後、窓口に行き、英文証明書の発行依頼書を紙で提出、そこで会長の署名入りの証明書原本を受領する、という流れ。なお、職務上の氏名を使用している場合には、通常のフォーマットと違うのであらかじめ申し出よということでした。費用は550円。
(3)パスポートの写し
いちおうIDを同送しておけとどこかで読んだ気がしたので、写真のページを添付しました。

公証(Notary)

書類Bについてだけ、公証(Notary)が必要。
日本からだと、当職の知る限り、日本の公証役場で英語対応してくれるところ(丸の内公証役場など)、在日米国大使館、オンラインノータリーという選択肢があるようです。もっとも手ごろなオンラインノータリーにしました。Notarize.comというところで、全部で35ドル。
簡単な登録手続と、個人を特定する質問(なんでこんなことわかるんだろうという、ちょう個人的な質問が5個ほどあり(アメリカでの住所や、乗っていた車の車種など)、それで本人確認をするようです。…なんでわかるの…こわい…)の後、オンラインで公証人(当職の場合はフロリダの方でした。仕事が来たから真夜中だけど急遽パーカー羽織って画面に映っているという感じ。とても感じの良い方でした、ありがとう)とやり取りして、宣誓(右手挙げて”I swear.”というアレ)。その場で自分もオンラインで署名し、公証人にも必要事項の記載をしてもらい、すぐに完了しました。書面済みの書類をダウンロード。

以上のプロセスを経て、公証済みの1~4と6の書類をすべて一つのPDFにして、以下のとおり、電子メールで提出しました。(余談ですが、こういうときにいつも、書類の原本性というか、真正性の捉え方というか、が、日本と違うなと感じます。)

書類の提出方法

Third Judicial Departmentは、電子メールでの提出です(下記)。

https://www.nycourts.gov/ad3/admissions/alerts/pdf-submission.pdf

提出してほっとしておりましたところ、翌日すぐに、経歴のところに不足があるので追記せよという連絡があり(出向中の際の記載が欠けているとの指摘)、そのページだけを書き直して提出しました。改めての公証手続などは不要。その後、Admission Officeから、書類は全て受け取った、追加でインタビューなど必要なら宣誓式の少し前に連絡が来るから心づもりしておけ等々との旨のメールが送られてきて、ひと段落しました。
今現在は、一応宣誓式の日を仮予定として告げられている状態です。

宣誓式にインパーソンで行けるかなと思っていたのですが(早めの夏休みを取ろうかなとか)、Admission Officeに問い合わせてみたところ、もう今年はインパーソンの宣誓式はないぞえというお返事が即刻返ってきました。(それにしてもAdmission Officeはフットワークが軽く、すぐに連絡をくれるのがありがたかったです。)
残念ながらアルバニーでの宣誓式がインパーソンで行われるのは毎年1月のみらしい。7月の試験の人が多いから、そこから適宜手続きしていったら1月がちょうどいい時期なんでしょうかね。
2025年1月登録まで待つか…?と一瞬考えましたが、だいぶ先だし、冬のアルバニーはとてもとても寒いだろうし、まあ……仕方ないか、ということで、6月末のオンラインのバーチャル宣誓式に出席する予定(仮)となっています。

色々な先達からの有用な情報に大変助けられ、ようやくここまで漕ぎつけることができました。のんびりのんびり、ほんとうにのんびりと進めていきましたが、それでもなんとか漕ぎつけられてよかったです。

力を貸してくださった皆様に、心から感謝します。

具体的なAdmission Officeへの提出方法や、弁護士会や研修所の書類の集め方などは、ほかの方々があまり書かれていない部分だったかと思うので(調べればわかるしおそらくきっと横や縦のつながりがあって情報に不足がないことが多いのだろうと思いますが)、そこの部分を補足することで、多少なりともお役に立てることができればと思い、ここにしたためた次第です。

2024.8追記: おかげさまで6月末に無事登録ができました。何か有用に使うことができればよいのですが、しばらくは、英語が一応はできることと、英米法的な考え方との翻訳的な仕事(=双方の考え方の相違を言語化して伝えること)ができることの裏付けくらいでしょうか。

次は、しばらく温めていたトピックで何か書こうと思っています。
では、また。

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