『私の居た場所をあげる』
川べりの町 川崎市多摩区
生まれ育ったのは多摩川のすぐそばの町だった。川には大きな橋が掛かり、東京と川崎を繋いでいた。子供の頃、両親は私の態度が気に入らないと必ず言った。
「おまえは橋の下で拾った子だから。」
子供だった私はそれを言われる度に、何故か納得していた。ここは私の家じゃないのだ。だから居心地が悪いんだ。そして1人になりたい時は、いつも川に行き橋の下でここじゃない何処かを想像してた。時代は高度成長期、全てが高速で進んでいた。
中学入学の時、初めて戸籍を見てガッカリし