久しぶりに

久しぶりにノートを開いた。特に理由もない。留学が開始してから一年が経ったことを東京の肌寒さが思い出させてくれる。日本も寒さを感じ始めた去年の今頃、あのコペンハーゲンでの生活が始まったのだ。

あの頃はとても辛かった。なにが辛かったのか、たくさん思い当たる節はあるが、理由としては、「自分が日本にいない間、日本で様々に成長し学習し先に進んで行く友人らに焦りを感じていた」ということなのではないか、とつよく今でも思う。

実際日本にいて成長できたのかすらわからない。

もしかしたら日本にいたら新しい出会いがあったかもしれない。
もしかしたらなにかしらの資格を取るための勉強を早々にしていたかもしれない。
もしかしたら周りに流されて就活をしていたかもしれない。

わからない。しかし今言えることはどうせ日本にいても悩んでいたし、留学に行った友人らを羨望の目で見て、自己の判断を後悔し、一生その苦を背負っていたのだろう。

簡単な言葉になるが、今となっては留学は、行ってよかったこととしてとても安心している。それと同時にほろ苦い思い出でもある。

ほろ苦いを超えて相当ビターだったかもしれない。それはなぜか。

主に二つある。

一つはもちろんシンプルに新しい真っ新な環境に置かれることが久しぶりで辛かったという今まで感じてきた辛さがある。

二つ目は、そのように感じてしまった留学を始めから楽しめなかったことだ。

多分自分は弱い人間なのだろう。

辛い時はあまり堪える事をせず、人に不安や不満を共有してしまう。ただなんだかんだやり遂げる。
始めからそんな口を叩かずに黙ってやっていればいいものの。

始めから留学とはこういうものだ、と理解していたら、どれだけ楽しく悔いのないものだったのか。おそらく自分は弱い人間なのだろう。しかしその辛さを知った今、以降の人生におけるそのような機会に準備ができている。

コペンハーゲン

酸っぱさや甘さ、苦さを感じてきた追懐の街。

様々な記憶や人々、経験や味に溢れたこの街との邂逅の時を心の底から楽しみにしている。


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