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虚空

現在、留学が楽しい感じてもおかしくない環境にいる。
他の留学生と比べても、友達は何人かはいて、一人の時間も確保されており、旅行もたくさん行き、加えてインターンをしている。

むしろ周りのしょうもなく浅い交友関係の人と遊んで幸せを感じている人よりはいいのかもしれない。だがしかし恒常的な幸せは感じられない。

周囲によくいるコペンハーゲンの留学生の生活をしたいとは全く思わない。結局浅いことしかしていないようだし、それは自分も同じだからである。しかしながら同じ大学出身で違う国に行った留学生の生活に憧れることは多々ある。学業に励みながら、言語を習得し、遊び・文化を体験する。
ただしここに恐らく、幾分のバイアスがかかっているだろう。同じコペンハーゲンで結局、学習の満足度はどうであれ(また僕に合うかどうかはさておき)他の留学生は楽しめているのだし、それに妬いて上記のように思っているのかもしれない。加えて、そんな状況から目を背け、他の国を選べば良かったという後悔の念とともに、同じ大学からの他の留学生に羨望の目を向けているのかもしれない。

今の気持ちがどこから湧いているのかをずっと考えている。生活には慣れたと言えるのかわからないが、いつも通り、という言葉が使えるほどにはなった。このいつも通りになったデンマークでの生活で欠けていることはなんなのか。いくつも挙げられる。食べ物、東京・大阪で仲の良かった友達、日本語、充実した授業と課題。余暇。

結局は他の人を羨ましがっているのではないのか。浅い交友関係でも人と会わないよりはましだと考えている自分がいるのか。正直これは本当にわからないし、自分でも言葉で説明できない。

今の思いのように考え込ませられるのは、コペンハーゲン大学が授業カリキュラム的にスカスカで、内容も薄く、結果、自分について考える時間が増えたからであろう。実際今受けている授業は日本の大学1年の時に英語で受ける必修科目とほとんど同じである。

以前も述べたが、もともと特別な理由を持たずに留学に来た。強いていうなら、学年を落とすギャップイヤー・遊学のような目的、忙しない生活を離れてゆっくりした生活を送るという目的。

しかしその目的が全く自分に合わなかったのだろう。
毎日何かすることに終われ、時間と身体が満たされた生活に辟易していたと同時に、とても満足していたのだと考えている。

そして、かつての僕を満たしていた全ての要素がないコペンハーゲンは虚空のように感じる。

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