弁証法と私

僕は普段、自分が帰国子女であることをあまり言いません。外国語をメインとした生活が中学校卒業後の4年だけ+非英語圏と言う微妙なレベル感であることに加え、「帰国子女」と言うラベリングは日本社会においては必ずしも有利にならないと思っていたからです。

帰国子女は(少なくとも僕が帰国した当時は)「日本的な空気を読むと言う感覚がなく自分勝手」「英語はできるだけで賢いわけではない」など揶揄されることも珍しくなく、自分としては「特に帰国子女であることは関係なく普通に認められるよう頑張ればいい」と考えていました。

しかし、そんな郷に入っては郷に従え的な気持ちで帰国子女感を押し出す気がサラサラない僕には、いまだに直らない傾向があります。それは「日常生活での会話に弁証法的やりとりを求めてしまう」ことです。

※弁証法って?と言う方向けに記載しますと、一つの考え方(テーゼA)に対して異なる考え方(テーゼB)がぶつかりあうことで新しい考え方(テーゼC)が生まれ、知的進化を遂げると言う考え方です。ちなみにこのテーゼの対立は止揚「アウフヘーベン」と呼ばれ、かの小池百合子氏が発した謎の言葉として一時期Twitterを駆け巡りました。

弁証法という考え方は欧米における「信念を持つ」ことを重視する価値観と相性が良いらしく、日常的に様々なトピックについて議論が交わされるのは一般的、とのこと。対して日本文化は「相手への尊敬」を重視するため対立が良しとされず、弁証法的な対立は日常的には好まれないとのこと。詳しくは以下の記事に書かれております、長めですが面白いです。

http://piano-tree.hatenablog.com/entry/2016/02/01/212558

で、これを前提において何が起きるかというと。誰かがテーゼAを持ち出した時に日本的な価値観での正解は「分かるー、そうだよね」なのに対して、僕は「それってこういうことなんじゃないの?(テーゼB)」と割と無意識に返してしまうのです。それが高校時代は当たり前でしたし、自分の意見がない人は認めてもらえない世界でした。そのような環境下では自分は主張が弱い扱いでしたが、日本に来てしまえば相対的に主張が強い人と言われてしまうのはある意味自明かと思います。

それでも相手によっては「でもそれってこういうこともあるんじゃない?」と更なる議論に発展して会話が弾むこともあるのですが、時には「えっ?」みたいなリアクションをされて会話が止まってしまうことがあります。恐らく僕が相手に対して敵意を持って否定的な意見をぶつけてきたと受け取られるのでしょう。そういう時もないわけではないですが笑、結構な頻度で無意識かつニュートラルなことが多いです。

大学の時はその辺りの価値観が合う人と仲良くしていたのかあまり会話で困ることはなかったのですが、社会に出て様々な人と話すようになってから、そういうケースがちらほら出てくるようになりました。

あとありがちなケースとして、相手が返してきたネガティブな感情を自分も受け取ってしまい、結果としてこちらの返しもネガティヴな感情を伴ったものになっていくという負のスパイラルに陥いることがあります。これに気付いたのは割と最近です。

あと、相手の返しが理屈的に全然成り立ってない場合に「え?」とイライラしてしまうこともままあります汗


こうなってくると、解決策は限られます。

1. そもそも弁証法を日常会話に持ち込まない
→無理です…僕はそういう会話が好きなので。

2. そういう会話ができない人とは仲良くしない、深い会話をしない。
→賢明です。むしろそれしかありません。

3. 相手にも弁証法で話すことを求める。
→意味不明です、警察を呼びますよ?


相手が実際どのような話し方を好む人なのかは実際に話している中でしかわからないので、推し測るしかないのですが…相手が弁証法派ではないとわかってからはもう取り戻せないことが多いです。(=あちらは既にこちらのテーゼBを悪意と受け取っている+そのような会話形式に恐らく慣れていないので、「いや今のはあなたを否定したわけではなくて…」と言い訳したところで心から信じてはもらえず、逆撫でするだけの結果になる) 世知辛い世の中です。

弁証法が優れているとかそういう主張では全くなく、僕自身はそれに慣れているし好きだからそうしたいというだけです。その一方で「自分への反論は悪意に基づく個人的攻撃/マウンティングである」と受け取る方が(意識的か無意識かはあるとして)少なからずいるため、決してそのようなケースばかりではないのですよ…ということはお伝えしておきたいな、と思った次第です。

いや、そういう場合もあるんですけどね?

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好きな範囲が広すぎるため適当に描きます