終遠のヴィルシュ ErroR:salvation ねたばれ感想1

何にも配慮してません。正直にここは好きじゃないとか、この人は無理とかそういうことも書いてあります。突然別のゲームの話題を出すこともあるよ!すべて個人の感想です。※わたしはBLたしなむ人間。だけどこのゲーム内でCPができてほしいとは思ってないという立場で書いています。
久々に感想を書き散らしたくなるゲームに出会えてうれしいな~という気持ちです。ひとつまえにプレイした死神と少女は最高すぎたけど、頭がいい考察がネットの海には漂っていたので、わたしが書くことは現状ないなあって思っています。

攻略順はマティス→リュカ→シアン→イヴ→アドルフ/アンクゥだったんだけど、この順でできてほんとによかった。

マティス
何人もの記憶というか人格をもっているという彼の秘密がじわじわプレイヤーにわかるようになってるのは恐れ入った。わたし、ジャンが狂ってて、イマジナリーなガールフレンド作り出してんのかなって思ってたんだけど、狂ってるってところしかあってなかったね。
マティスとセレスが互いに惹かれあった理由は伝わってきたし、納得できるものでしたね。
親に虐待されてきた(と思ってる)マティスにとってのセレスは唯一家族以外で初めて自分を肯定してくれた、寄り添ってくれた女の子。生まれて一年のベイビーなマティスが幼稚園の先生に初恋を捧げるような純真さでセレスを特別に思うのはもはや必然だったでしょう。セレスにとっては、マティスはかつての自分を彷彿させる引っ込み思案な男の子。でもその子が、段々と勇気ある青年に姿を変えてゆくさまは眩しくうつる。しかもマティスはその勇気はセレスが与えたものだと言う。人を不幸にする術しか知りえなかった死神の少女にとって、こんなにうれしいことはないわけだよね。そしてセレスはこたえてあげたいと願う人間なので、マティスの恋に応えるかたちで、彼の恋に引っ張られて、でもたしかにマティスに恋をした。
マティスルートは世界五分前仮説を久々に思い出すなどしました。一年前に生まれたってのが一番びっくりしたかな。
絶望エンドは、マティスが自分をカミーユであると思い込み、カミーユとなったマティスはセレスをロザリーと思い込んで愛を捧ぐ。あなたの名前はもう呼べないエンド。また今度気力あればFDの感想書くから、その時に細かく書くつもりだけど、このアフターストーリーは倫理観なさすぎるが、ヴィルシュは本当に倫理観ないキャラクターがてんこもりなフィクションなのでこれに驚いてたらきりがないね。
救済はリライバーとなったマティスがセレスと再会するエンド。なんだかほほえましいが、アルペシェールの闇は消え去っていないため、あくまでもマティスの救済エンドだなあと思いました。
マティスルートで一番印象に残っているのは、彼が書いた小説が、クロード夫人の書いた小説と全く同じだったエピソード。自分で考えていたと思った話が他人の思考であり、書こうと思った意思すら他人の記憶の再現にすぎなかったっていうのは切なすぎる。
あとは死んだと思ったブロー(死刑執行人)が生きてたってわかるシーン。これほんと残酷ですね。かたき討ちのために生きてきて、自分で仇うちできずに相手が死んで、それでも前を向こうとすれば、相手が死んでなかった。これはしんどいよ。
DVシーンはうへ~となりましたが、マティスはキュートでたいへんよろしかったです。あと、ヴィルシュというゲームがセンターオブジアースみたいなゲームだということがよくわかりました。センターオブジアース、外の景色(光がさすの)一瞬だよねってね、それだけです。

リュカ
共通のときから、なんだかこのひとセレスのこと好きそうだなっていうオーラは感じてた。
ブローが個人でなく団体である、という点は感じてました。あと、早い段階でリュカがブローだって勘ぐったものの、その根拠は、心臓移植が必要な妹のドナーを探してるタイプの殺人鬼だと思っていたため、心臓移植の線が消えた時にリュカのブロー説は違ったか~と騙されていました。わたし、ほんとうに愚か。心臓ドナー探求殺人鬼だと疑っていたころは、いつか、きみの心臓がほしくて近づいたんです♥とか言われたらどーしよ、などと馬鹿なことを考えました。(そして、きみの心臓をたべたいエンドへ)
リュカもセレスも恋に落ちた理由はちゃんとわかるんですよね。リュカは火災から生還した奇跡としてのセレスに信仰心まじりの熱をあげた。ナディアにみせたセレスの優しさにふれて、確かに信仰を恋へと変えた。でも、奇跡の少女を愛したのって、結局兄だから、にすぎないんだよね。ナディアにも奇跡が起きたらいいのに、という気持ちではじまった信仰めいた気持ちが、たまたまセレスと距離が近づいたことで恋に昇華された。これわたしの解釈がひねくれてんのもあるけどさあ、どこまで行ってもセレスへの恋は、ナディアに優しくしてくれる美しい女への気持ちでしかないのかなと思えて、やだった。
セレスのほうは、この独白につきるとおもう。
「(リュカ先生と一緒にいると  自分が罪深い死神であることを、忘れそうになってしまう)」
このふたりは互いに救済を与え合うことで結ばれるカップルなんですよね。
リュカルートは終盤で正気を失った彼の名をセレスが呼ぶシーンが印象的です。ここでリュカが正気に戻らないところ、このゲームの自己紹介でしかないよね!数多の創作で通用した、愛する者の声なら届くだろうってやつ、全然通じませんから。
絶望エンドは、リュカが自分が手にかけたにも関わらずセレスの死を記憶から追いやって、彼女の亡骸(遺骨)の薬指に指輪をおくり、永遠の愛を誓う。恋は盲目エンド。別名魔法にかけられて、です。
救済エンドは、カプシーヌを殺し、苦しむナディアの息の根をとめ、セレスに看取られるリュカ。正しく救済エンドですね。
このルートはあまりに血に溢れすぎてて気が滅入る瞬間が何度もありました。乙女ゲームにおけるグロってバランスがむずかしいよね。ヴィルシュはよくできてるゲームで好きな点のが多いけど、グロのバランスは正直悪いなと思います。これがダンガンロンパみたいなゲームだったら演出で、必要なんだなとか思ったけどね。ちょっといたずらに多い気がしました。わたしは耐性ないってほどじゃないはずなんだけどキツかった。

シアン
細谷さんのこと好きだけど、細谷さんの乙女ゲームキャラをあんまり好きになったことなかったので、シアンを気に入るとは思ってもみなかったな。
このルートでははじめてセレスの死神の力というファンタジーでしかなかった曖昧な能力に、呪いを早める力であるとの説明がつきます。
アンクゥが画面にいてくれるとわたしのメンタルが安定するんだけどなんでだろと思ってましたが、真相みると納得だよね。すっと見守っててくれたんだもんね。で、そのアンクゥがあからさまな敵意をむける男・シアンとはなわけです。
シアンの人体実験については極悪非道とは思えなかった。長い歴史の中で優れた成功の裏に多大な犠牲があることは道理だしね。そして彼は自らをどちらかといえば悪と言い切る。死刑囚ならまあいいんじゃないかなとかおもちゃったわたしはだめなんかな…。まあでも、好きになりかけてた男が一般論においての悪行に手を染めてたらいやだってのはそうだよね。その通りだよね。でもわたしがセレスの立場だったら、死神の私と悪人のあなた、お似合いかもしれないわ、とか思うかもね。わたしは一ミリもセレスじゃないが。
ただ、シアンがこの国を救済することを決めたのかは謎なんですよね。神様の暇つぶしなんだろうか。でも、生きるには目的が必要だもんね。マティスにとっての復讐しかり。目的はつくってでもひつようだってこと、ニーアオートマタがおしえてくれたじゃん(?)
セレスがシアンをどんどんすきになるところの説得力がすごい。他人の気持ちに忖度しないシアンからの肯定は、セレスの自尊心を育てたし、それによって、人の役に立つ喜びが、このひとの役にたちたい、そばにいたいという恋に発展する。自然すぎる。
シアンはシアンで、だんだんだんだんほだされていき、誰でもいい、が、セレスがいい、にまで変わっていく。
「俺は。最初に恋をするなら、お前がいい」
これは最高すぎた。シアンに急にすきだって言わせないで、このセリフにしてくれてありがとうだよ。テン魔女のティレルルートのときめき思い出すね。
なんか、リュカルートで大罪人のリュカを受け入れるのにかかった時間を思うと、シアンはグレーな悪なのにもかかわらずセレスは彼をなかなか受け入れられない印象でした。リュカルートにおいて、セレスには自分を全肯定してくれる先生への依存があった。でも、シアンは感情が希薄ゆえに、ある意味正しい正当な評価でもって肯定をくれたので、それはセレスの自尊心を育てた。シアンはリュカのように自分への依存を歓迎しないし許さないし、シアンルートのセレスは自尊心が多少あるので、シアンをなかなか受け入れられなかったのかな、と、わたしは思っている。
絶望エンドはセレスを失ったシアンが、自身の体にセレスのデータをダウンロードする二人でひとつ的なプリキュアエンド(違う)。このエンドはメンタル完全には死んでないけど、神を名乗れない状態にはなっている。冷静な判断力を失い、シアンは人になりさがる。恋は人を弱くするエンド。
救済エンドはハッピーエンドですね。救済でありハッピー。シアンが生きていて、ダハトが結果的に死んでいる。この国の未来を考えても憂いがなさそうなハッピーエンドです。シアンってこども欲しいんだね!ちょっとびっくりしました。
シアンルートは、シアンというひとが完成されたリライバーであるせいか、彼自体にブレがなくて、不穏なシーンすらこちらは不安にならないでプレイできてありがたかった。リュカルートで弱ったあとに、また殺伐とされたらしんじゃうとこだった。ただアドルフがしんだことだけはだめです。

イヴ
イヴが痛覚失ってるのは切ないよね。育った境遇から自尊心がたりてないのに、痛覚なかったらさらに捨て身になっていくよね。ポケモンだったら捨て身タックルしか覚えてないんじゃないのかなって心配。
共通のときから隠す気ないだろってくらいにヒューゴがイヴのことすきすぎたね。それをわかってのイヴルートはいつヒューゴに怒鳴られるんだろっておびえてたけど、やっぱり怒鳴られるしへたすると殺されるのでしんどかったです。別にわたしとしてはヒューゴがイヴに恋愛感情をもっている点はいいんですけど、イヴのことしか介抱しないとか、俺のって連呼するところはちょっといただけなかったです。なんだろ、わたしびーえる好んでる方だし、片想いとかおいしいって思いそうなのになんでかな。単にいちキャラクターとしてヒューゴが好きじゃないからでしょうかね。多分ジャンがマティスを実は愛している、みたいな展開がきたら、歓迎できたかもしれない。
でもヒューゴのメモリークラッシュはしんどかったですね。いくらメモリーがハッキングとセレスの死神の力で弱っていたとはいえ、引き金は絶対にイヴへの恋がひいたのだから。でも、イヴはなんで?と言う。ヒューゴには恋人も好きな人もいないのに、と。自尊心のないイヴは自分が愛されることをかけらも信じないわけです。そんなイヴだからヒューゴも放っておけなくなっていたのでしょうが。
さておきメモリークラッシュはヴィルシュにおける花吐病だなあと思った。
そして漂流者の末裔はイヴだったのか。わたしもその線はアドルフだろうとおもっていたので、びっくりしました。
イヴルートの終盤は、いいセリフのオンパレードすぎました。
「この国すべての命より、俺は彼女の命と愛を取る」
「見ず知らずの他人より 俺はどんなに罪深くても君の命を優先したい」
「世界で唯一、君のことだけを愛するよ」
「すべての国民に恨まれたって構わない」
「共に苦しんでいこう。自分を許せないなら、幸せになんてならなくてもいい」
「俺は君と共に 咎を背負いながら、苦しんででも生きていきたい」
「耐える必要なんてない!ずっと死にたくなりながら生きていきますよ」
このへん、クるセリフすぎるんだよね。世界を敵にまわしても、愛する者の手をとる。レプリカントでニーアが世界と天秤にかけるまでもなく妹ただ一人を選ぶアレ、ほんとうにささるエンドだから…。
シアンルートとの対比がえぐいくらいにイイよね。シアンは感情より効率、ひとりよりその他大勢の男。それに相対するイヴは、今まで掲げてきた博愛をかなぐり捨てて、世界をも捨てて、たったふたり愛するひとと地獄のなかでいきていくことを決めた男。うまい対比すぎる。
あいされたいから、善人になって、いいことをして、あいをふりまいて、そうやっていきてきた。でも、彼はずっとほんとうは、自分だけの特別なひとから、その人の特別を明け渡される、そういう恋が、愛がほしくて、でも醜い自分には今生では得られまいとあきらめてきた。だからリライバーになりたいわけだけど、でも仮にリライブした場合、イヴを好きだという人が現れたとき彼は思うんだろうな。きみはおれに醜い痕があったとして、それでも好きだと言うだろうかって。
絶望エンドはイヴの死を前に狂ってしまったセレスのお化けはしなないエンド。
救済エンドは残されたときを最期まで、な、死もふたりを別つことはできまいエンド。ハッピーエンドにしてほしかった気持ちがないとは言えない。けど、イヴというキャラクター性を引き出すエンドとしてこんな秀逸なものは他にないからこれが最高なんだよなとも思っている。イヴとセレスは一緒にいけるなら地獄でもいいふたりだもんな。リコリスの花束をささげるイヴ。アンクゥも報われたおもいが多少はあったかな?
死んでも愛してる。命がけの恋をした。愛し愛されて、イヴは救われた。
「でも、本当は。この傷ごとあいしてるって誰かに言ってほしかった」
このイヴの本懐は果たされた。ありのままであいされたい、それを叶えたのはなんの因果か傷の原因たる少女。かなしくうつくしいストーリーをありがという気持ち。ヴィルシュを象徴するキャラクターはやっぱりイヴで、パッケージイラストも納得だよね。
ただ、炎にトラウマあってしかるべきなイヴを、なんども燃やしすぎじゃないですか。ちょっと酷すぎませんかと思います。
蛇足ですけど、
「お弁当を作ってさ。あのリコリス・ノワージュの花畑で一緒に食べてみたい」
このいつかを夢見るセリフめちゃくちゃオートマタの9S思い出した。平和になったら一緒に買い物に行きましょうよ。2Bにお似合いのTシャツとか買ってあげます。これね。号泣ものだよ。
そしてイヴの姓でもあるノワージュはノワールネージュの略だろうと思います。黒い雪。の意味です。作中でリコリスの花弁が舞うさまがなんども雪に例えられていたので、あってると思うよ。わたしこれに気づいたの朔間のおたくやってたおかげだよ。


わたしはアドルフ/アンクゥとイヴが乙女ゲームの男としてだいすきですが、それとはべつにシアンがすきだなという気持ちがあります。わたしがばかだから、頭のいい男のこと隣の芝生のように愛してしまう。

続きは気力わいたらまたのせますね。

さいごに偏見によりおすすめゲームを発表します。
マティスが好きな人
:死神と少女(日生);どこまでが幻想なのか
リュカが好きな人
:ソムニウム ファイル(NI);宗教と遺伝子がもつれている。過去にネタバレ記事書いてるよ!さいこうなゲーム
シアンが好きな人
:テンペスト魔女(ティレル);頭がいいキャラクターをあいするきみへ
イヴが好きな人
:ニーアオートマタ;これ以上のストーリーは存在しないとわたしは思うよ
アドルフが好きな人:ポケモンSV(DLC);普通な自分からの脱却にモエをかんじるきみへ
アンクゥが好きな人:死神と少女(遠夜);きみを肯定し、いつでも見守ってくれる男と会えるよ!

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