急にNT札幌2020に呼ばれたので

こんにちは。Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN) お知らせ担当をやっているじゅんです。年末です。もちを焼いています。
札幌開催2回目となるNT札幌2020でお話してくれと突然お誘いがあり、DoMCNのコミュニティ活動についてお話してきました。パネルセッション「札幌とものづくり」という枠に登壇して、20分の活動紹介と壇上Q&Aでした。

講演部分。


質問と回答のときの自分

Q(SIAFラボ小町谷さん→全員):コミュニティの作り方の考察に感心した。我々の活動 テクニカル部分だけじゃなく芸術・表現に活用していこうというところで仲間を増やしたいと思っているがどこにアプローチして発信していけばいいか分からない 登山家とかにデータロガー?とかキャンパー?とか探したりはしているけど広く知られるところに至っていない。
どうやって該当するコミュニティに繋げていくか?

A(自分):わかんないw 基本戦略は「騒いでる」だけ 関心ある人の目に触れそうな場でクローズドにならない雰囲気を出しながら騒いでいる事を地道に続けて待ってる これはHoloMeetupの時にやっていた。
 もし今の知識でやるとしたら、「ガジェット好きな人はキャンプも好きだったりする」性質を見越してキャンプ好きミートアップみたいな場に協力をしつつLTでも喋ってみるなど方法があるかも。具体的に該当者も思い浮かぶ。

Q(司会ゆむらさん→登壇者全員) 札幌、北海道全体のモノづくり文化とかコミュニティぶっちゃけ盛り上がってますか?(会場アンケート実施→まぁまぁが半分くらい)

A(自分):わかんないw 測定不能という点で判らない。コロナで出歩けないのはもちろんのこと企業での企画が個人に届かない状況なので判らない 目に見える形で一杯やってるのがわかるポータルみたいなのがあるといいのかもしれないのだけどNoMaps側の課題と思う そしてたぶんやってるのだと思うけどVR関連事例は情報が少ないので自分側からNoMapsに日常的にアクセスする動機が無いのでなおさらわからない。

 他に準備されていた質問は、「北海道ならではのアート・ものづくりとは?」「10年後の札幌はどうなっている?どうしたい?」などでした。SIAFラボ小町谷さんグループ、NoMaps服部さんのお話も面白かったです。


言いたかった事

①コミュニティイベントについては「やる」と言ってちゃんとやった後、記録や記憶・感情をちゃんとパッケージに残して資源にすることで次の協力者を得るサイクルを回す。小さい規模で構わず、継続が信頼を産んで続けることが出来る。実例がDoMCNの2019年までの流れ。

②コミュニティの機能を維持するためには、発信側に回った参加者が一定の価値を得る仕組みを持つことが重要で、運営側で常に工夫をしている。コロナ以前は体験会などが出来たので集まる価値はあったけど今はそれが無いので、オンライン上に痕跡が残る事を価値の起点に出来るように模索中。

③運営側がアウトプットを出すことの意味は参加者満足度の調整の他に、志向を示してコミュ間コラボレーションの可能性をふやすこと。参加者側がアウトプットを出すことの効能は、個人レベルの仲間が増えるきっかけになること。参加の時はなんでもいいからつぶやくだけで一定の効果がある。

④参加してつぶやいていくうちに、つぶやきの傾向に合わせたフォロアーができてくるので、個人のクチコミネットワークが加速するのがオンライン時代。自分がおススメの勉強会の情報を見かけたら参加しないまでもRTとかするだけでも自身の周辺のフォロア―にとっては有益な情報になるし、関心軸の近い参加者を集めたい運営にとってもハッピーな形で回るので、来年はこの形を目指していきたい。

⑤今回のライトニングトークに登壇してくれるxR勢は、自分たちがそうやって関係を作っていったなかでNTの文化にも合いそうと声をかけてみたら興味で来てくれた人達。大阪駆動開発・福岡XR部・DoMCNからそれぞれ来てくれた。


参加の経緯

先月の末に突如開催のアナウンスが出たので見ていました。

去年のNT札幌の時は数か月前からアナウンスが出ていたので、11月に情報が無ければ12月中の開催は無いだろうと思っていたところに、突然12月開催の告知でした。

 当初は視聴者参加だけのつもりでいましたが、12月に入ってパネルセッションの打診が運営サイドからあったので、即決(パネルディスカッションは苦手なので置物になりますと宣言)で引き受けました。
 ちょうど、14日に道総研のセミナーでのコミュニティ紹介スライドが出来る予定もあったので無から作るほどの大変さはないだろうと思っていました。結局、メッセージが違う事で大規模な組み換えを要しました。

そのあと12日の #AR_Fukuoka のLT会、16日の #XRMTG でそれぞれ告知を行ってみて、21日にリハ―サルをもって本番に臨みました。


目的とやってみたこと

今回のメッセージは発信を促すことだったので、本番中もそうなるようにいくつか仕掛けを入れてみました。

①冒頭にエモートを出す練習タイムを入れた。

cluster会場で参加してる感を出すために特有機能を使ってみるスライドを最初に出しました。湯村さんが機転を利かせて道内組か道外組かのアンケートをとる時間にしてくれました。

②タグ付きツイートに直結するQRコードを出してつぶやき練習タイム

エモートタイムが終わった直後にYoutube参加の人がスマホでつぶやく時間を作るために、↑のコードを出したままお茶を飲んでみました。いっぱいつぶやいてねって気持ちはこれで浸透したようです。

③発表内容はまさに #アウトプットファースト を説く内容

現場の写真やツイートを使うときに当日も居る人のものも混入させました。いなさそうな人のものを使うスライド部分は事前に使用確認を取ったうえで配置してます。

④つぶやき用QRコードは最後にも出る

ただし前半で時間を使いすぎたので、QRコードの意味を説明し忘れました('ω')
こっちのコードは #NT札幌#DoMCN の2つが自動で付くハッシュタグツイートURLなのですが、確認したところタグ両方ついてるツイートは無く、普通に複数名の参加者の方がスクショツイートを上げてくれていました。いうまでもなくつぶやいてもらえる、という状態になっていたという事です。

結果

 前のセッションで特につぶやいてなかったのに新たに呟いてくれる方々が増えていました。(DoMCNの勉強会で見たことあるアカウントはゆるく除いて↓のような感じで、全部出すとスクショツイート込みで下の5倍くらいの分量)

会が終わった後でも触れてくれる方もいました。

本番中はcluster内のコメント欄を見る余裕が無かったのですが、直接↓のような具体的なコメントを第三者視点で置いてくれるのは嬉しいですね。ササキさんありがとうございます(´ω`)

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そんなこんなで、クチコミネットワークベースでのやる気の高さを示すことができた気がしますので、プレゼン設計としては成功したかなと思います。


余談1 文化づくりの際に切り捨てた要素たち

 最後の方に仕込んでおいたスライドが異様に受けて、数ホップ先まで拡散していったようです。ここは、口コミを介して志向の似た人が集まった先に文化の形成があるというお話がメインメッセージのパートだったのですが、テクニックの一つとして紹介したやらない事のスライドだけが流れて行っているようで、不本意な状況になっています。時間が無かったこともあり説明できなかったことを補足します。

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 まず私のスタンスが好奇心最重視の運営体制で、その次に自由な時間を重んじています。自分も他の人もこれが満たされている状況を目指しています。無理なく楽しめてかつ世界が広がることが重要です。

 そのため、「偉い人に言われたから来ました」みたいな感じの方(無関心マン)は広がる元になる世界がそもそもないことも多く、自分ごとにして頂く段階でかなりの困難があります。なので、この属性の人の参加状況については、2回目以降は来てもらえない可能性が高いようですと他の人に説明したりしてます。私自身も誰かから動員をかけられてイベントに行くのが大嫌いですので、私が個別のお誘いをしてみる際は、とにかく誘う人の興味がイベントの目的に近そうと判断できている時だけお誘いするスタンスです。これが①

 判断しない人というのは、やっぱり組織内の人に多いんですが、自己の行動を決めるのに上の人の承認を得られないとおおっぴらに動けない方を主にさします。この人から何かアイデアを頂いても、実行に移す段階において、なにかしらの遅延がコントロールできない形で発生しやすく、直接の関係者の時間が奪われて行きます。(まさに以前の私がこの状態で、時間を奪ってしまう側でした。)運営が最速・最小タッチ数で動ける形を保つと、運営負担が減るので個々のイベントでの消耗が減ります。

 コミュニティイベントは有志のイベントなので、リソースが全然ない状態で運営しています。そこに本来の目的以外のものを持ち込むと、必要以上の作業を強いられるケースがあります(必要以上に見栄えを気にしなきゃいけないとか)。それ自体が営利のイベントではないので、運営としては協力者に対するやりがい搾取にならないように気を付ける必要があります。また、情報をクローズドで回すと、主宰だけが最終的に得をする構造になりがちなので、そういうのは企業がやってくださいという事です。

 インフルエンサーは単発のイベントに参加者を呼び込むにはとても強力な助けになりますが、その反面、参加者があまりコミュニティに定着しません。インフルエンサーがいい悪いとかでは全くなく、もっと単純に「○○さんが来たから△△に興味ないけど来た」という人の場への影響を考える必要があります。もともと△△に興味あってきてくれた人(真のお客さん)が、インフルエンサーのファンに埋もれてしまい、運営から見つけられる確率が下がります。こちらで真のお客さんをケアできる内容も減ってしまい、△△目当ての参加者離れが起きてコミュニティにとって長期のトータルでマイナスになります。そして、わたし自らが誰かファンを抱えてしまい悪い意味でのインフルエンサー化しても同様のことが起きますので、その要素は徹底的に捨てています。

 DoMCNのメインイベントはHoloLens Meetupと名前がついていますが、これまで展示できるデバイスに制限をかけたことがありません。理由はふたつあり、そもそもコミュニティイベントに持ち込まれるHoloLensが1台とかしかないというネガティブな理由と、意外なデバイスの活用例を自分が見て驚きたいからです。想像が膨らむ場であるというだけで価値があるので、あんまりHoloLensという冠にこだわらずにやってみて、エンジニアの楽しみが多い場であるように運営しています。

 ほかにもやらない事は決めてあるのですが、スライドで並べたことについてはこのような感じです。

 このような意識での継続のもとで、”なんか雑でゆるいんだけど離れた地域の同じ関心をもった人とつながる場”としてのDoMCNの文化が出来ています。

余談2 札幌のものづくり文化ってどうなの? 

 NT札幌の2日後にこの記事が流れてきました。紹介します。ざっくりいうと一般利用客が工作機械を利用できる施設、という判断基準でリストアップされた施設の数の年ごとの推移が示されています。2020年の施設数は全国で122だそうです。経時変化としては、2018年の施設数がピークでその後減少が続き、当時の6割ほどの施設が残って122か所あるようです。現在生き残っているその中での北海道が2か所です。3か所ある四国よりも少ないです。条件に当てはまる施設を私は思いつかなかったので、どこかな?って呟いたところ調査記事の著者の方が教えてくれました。

 さっぽろのものづくりが盛り上がっているのかどうかについては、定点観測できる拠点とかイベントをしばらく見る必要があるのですが、さっぽろにおいてはNT札幌は2018年まで存在しませんでしたし、オープンソースカンファレンスは2020はオンライン開催になってしまいました。一般人が出展できる会がほとんどなく、上のような公開施設もこの時点で私は知りませんでした。私の視点から述べればこっちのものづくりが盛り上がっているかは測定不能で、隣接領域にいる私がそう感じている時点で、こちらが盛り上がっているといいがたい状態だろうと思います。私のTLには福岡のエンジニアカフェのニュースの方が頻繁に流れてきている状態なので、むしろそちらの方が熱量観測のしやすさを感じています。
 原因もいくつか思い当たるものがありますが後日書くかもしれません。根深い問題だと思っています。これからオンライン化が浸透して今回のNT札幌のようにインドからでも登壇できる時代になりますので、他の地域に道民が登場できる方法を教えていくアプローチも取っていこうと思っています。

まとめ

 「札幌とものづくり」のセッションに呼ばれたはずだったんですが、ふたを開ければ「札幌以外とも場づくり」になっていました。コロナのせいで地元との密接な活動ができないので自然な流れだと思っていますが、今後とも楽しめる状態が続けばいいなと思います。

(2020/12/31 4494字
 2021/1/1 5360字)

本記事は、#DevRel Advent Calendar 2020 の12/26日担当分の記事として公開しようと思っていたのですが、なんと26日はもうアドベント後だったのでそもそも欄が無かったのでした。びっくりだよ!