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50代オリエンティア奮闘記 ②老眼との闘い

シニアからベテランにさしかかる年齢層のオリエンティアなら、おそらく誰もが直面する大問題。走力の低下以上に競技に影響を与える身体の変化。それは、老眼による近くを見る視力の衰えではないでしょうか。。

細かい地図の情報を走りながら読み取るオリエンテーリングで、地図からの情報を正確に得られないのは厳しいことですよね。特に微地形の時は困るし(見えなくても、茶系はある程度は想像で補完できるけど)、それ以上に黒系の特徴物は道の接合部がわからなかったり、岩や崖と区別つかなくて見えなかったりするとどうしようもない。

例えば、こんなに綺麗に作図されている地図でも。。。

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老眼での3→4のレッグの見え方は下のようなイメージ。救護所を過ぎてからの黒系特徴物が道なのか岩石地なのかよくわからないまま進む感じ。あらかじめ地図から先に情報を得るより、現地で見えた特徴物から地図と照合するような走り方が多くなってしまったりすることも多い。

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で、地図から情報取れていない道の曲がりに遭遇し、あれっ?となってこんなミスをしてしまったりしてしまう。(ちゃんと地形をマクロで捉えて、方向と距離感をしっかりと認知出来ていたら、道が見えなくてもミスしないんだろうけど。。。)

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また、スプリントの時も、大縮尺ではあるけれど、それでも細かい人口造形物とか柵とか通行禁止の太い黒線とかの判別に苦労したりします。通行禁止かどうか見えなくてルートプランにしくじると致命的なことになってしまう。最近は立体交差などを活用したコースも増えていて、むしろスプリントの方が老眼で苦労したりするようになってきたかも。

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長い前振りでしたが、走力は歳をとっても自分の鍛錬である程度でカバーできるけど、老眼はトレーニングでもどうしようもない。そこで、「道具」の力に頼ることになる。これまで私が試してみたアイテム達を紹介してみようと思います。

①コンパスに拡大レンズを付属

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これは、使っている人も多くメジャーでは。長所は手軽さ。ピンポイントで見たいところを速攻で拡大してほとんどロスタイム無しで読図ができます。短所は拡大できる範囲が限られているのでロングレッグでは全体を見渡すのは難しいことでしょうか。上から太陽光の反射によったり、雨のときも見えにくくなる点も注意が必要。

②スポーツ用遠近両用グラス

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遠近両用メガネは一般的にレンズの上半分が遠く、下半分が近くを見るように設計されていると思います。私は上部分を度数無しにして、下部分だけを老眼対応にしています。(上部度数無しでも普通のメガネ屋さんで作ってくれます)普段は眼鏡をかけていない人や、コンタクトの人にも良いかも。長所は市販のフレームなのでデザインの良いものを選べること、自分用に度数をチューニングしてもらえること。また、②③⑤に共通ですが、コンパス付属レンズと違って地図全体見渡せること。短所は、やっぱりメガネは、そもそも雨に弱いことでしょうか。(個人的にはメガネは、枝にひっかかったり、レンズに汗が落ちたりで苦手です)くもり止め、メガネバンドを併用するのは必須ですね。ちなみに、普段から近眼用のメガネをしている方に聞くと、遠近両用にするよりも、細かく地図を見るときだけメガネを上にずらして裸眼で見るのが一番手っ取り早いとか。

③専用リーディンググラス

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WMOC会場で販売していたものを買いました。たくさんのヨーロッパのシニア・ベテラン選手が使っていました。真ん中がくり抜かれていて、遠くを見るときは裸眼で見ることができます。遠近両用メガネと同じようにレンズの下部分が老眼用レンズになっています。(くり抜きでなく上部分が無しになっているタイプもあります)長所は、遠くを見るときは裸眼なので雨やレンズのくもりの影響を受けないこと。短所は、それでも下のレンズ部分はくもりや雨の影響を受けること、それと見た目が少し怪しげな感じがすることでしょうか(笑)。まあ、トレーニングで街中を走るときはともかく、山でオリエンテーリングをするのに人目を気にすることは無いかもしれませんが。  私は使ったことは無いですが、これもよさそうですね。→https://www.o-ajari.com/accessory/#cc-m-product-9101379870

④指ライト

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老眼だと、曇りの日のうす暗い林の中ではさらに地図が読みにくくなります。指ライトで照らすことで、そのような場所でも地図が見やすくなります。夜釣りなどに使うアイテムのようですが、安価なものですので一度試してみても良いかも。実は、昼のレースよりは、ナイトOの時はヘッドライトと併用すると効果絶大です。(先日のDo-Ringenのナイトでも使いました)長所は安いこと。短所は品質が微妙で故障したりすること、電池交換が頻繁に必要なことなどでしょうか。Amazonで253円+送料100円でした。検索すれば似たようなものは色々あります。https://www.amazon.co.jp/gp/product/B074JYK613/ref=ppx_yo_dt_b_search_asin_title?ie=UTF8&psc=1

⑤遠近両用コンタクト

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私は最終的にはここに落ち着きました。コンタクトの店に微地形があるO-Map(希望が丘)を持ち込み、お試しレンズで何度も見え方を試させてもらい、5つのメーカーのコンタクトを比較しました。メーカーによって微妙に構造が違うので見え方が変わります。人によるかと思いますが私が最も地図が見易かったのは、デイリーズ ・トータル1の遠近両用タイプ。すごく近くが見やすい。ただし、これはレンズが厚めで私は長時間していると目が疲れてしまいます。私は気合の入った大会の時だけこれを使い、レース直前に着けてレース後にすぐ外すようにしています。2番目によく見えるのは、1DAYアキュビューモイストの遠近。これは、そこそこ地図はよく見えるし目が疲れにくいのでバランスが良く最も使用頻度が高いです。

留意ポイントは遠くの見え方を少し犠牲にしてでも、近く見るのを重視して度数を選択すること。近眼用の度数が入る場合でも、遠くの視力は1~0.8くらいに合わせます。その上で近くは+2.50くらいにすると、地図が顔から20cmくらいでも、よく見えるようになりました。実際のレースで細かい読図をするときに自分が実際に顔に近づける距離でピントが合い良く見えるかが大事です。また、自分の効き目を近く(地図)を見るのに最適化し、他方の目を遠くを見るのにすると、遠近の両方がより見やすくなるかと思います。私の場合、右が効き目なので、右を遠0.8、左を遠1.0に合わせています。

最近は遠近両用コンタクト+拡大レンズ付きコンパスを基本にして、さらに地形が細かいテレインでは専用リーディンググラスもその上から使っています。指ライトは最近は昼は使わず、ほぼナイト専用になっています。他の皆さんが、どのような老眼対策をしていらっしゃるのかも興味があります。地図が良く見えないとオリエンテーリングの楽しさが半減してしまいますもんね。情報共有お待ちしております。


【おまけの一言】大学大会など若い方が中心で運営する大会ではM50などベテランクラスでも1:10000が使われたりすることが多いですが、テレインにもよるけど、ミドルの大会ではM50以上のクラスは1:7500にしてもらえたらなと思ったりすることが多いです。老眼でも1:7500なら判読性がだいぶ高くなり助かります。(ちなみに2019年のWMOCでは、ミドルはM35以上全クラス1:7500、ロングはM35-M60は1:10000、M65以上は1:7500でした。)シニア・ベテラン向けのIOF認定の国際大会でも年齢によって1:7500が採用されてるわけで、この縮尺でも競技性が十分あるということだと思います。是非、老眼ランナーにご配慮をお願いします(笑)

※本記事中の地図画像は、老眼ランナーを苦労させる微地形マップの代表格の「希望が丘」、2018年のKOLC大会の「千駄刈の森」の一部を使用させていただきました。

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