生徒たちへ
みなさんこんにちは。
僕は現在体操競技部のコーチをしています。
コーチといっても本業があるので土日や祝日など休みの日に行くくらいです。
指導をしていると選手の時、自分はどんな考えで練習していたかなと思い返すことがあります。
僕は現役を引退してから3年が経ちました。選手時代の記憶が曖昧になる前にここで一度明文化しておこうと思いこの記事を書くことにしました。
僕は大した選手ではなかったですが、母校の生徒や大学の後輩達にこの記事が届き、一つでも発見や取り入れてみようと思ってくれることがあれば嬉しいです。
経歴について
僕のことを知らない方にも読んでもらいたいのでまずは選手時代の経歴や成績から書いていきます。
既に僕を知っている方は飛ばしてください。
ガンバ体操クラブ(5歳〜15歳)
・5歳から体操を始める。身体が硬くて、筋力のあるタイプでした。
・5年生、6年生の時に関西ジュニアに出場。小学生時代はほとんど試合に出ていません。
・中学時代は試合の機会は増えましたが、特に目立った成績は残せませんでした。近畿中学で予選落ちし、全日本中学に出場経験はありません。
報徳学園高等学校(15〜18歳)
・高校2年生の時にインターハイ出場。予選落ち(70位)
・高校3年生インターハイ出場、予選(40位)、決勝(39位)
福岡大学(18歳〜22歳)
・1年生全日本インカレ(82位)
・2年生全日本選手権(63位)
-5月に右膝前十字靱帯断裂・半月板損傷、再建手術をする
・3年生全日本インカレ(28位)
・4年生全日本選手権、予選(31位)、決勝(26位)
-アジア選手権(団体3位、個人6位)
-全日本インカレ(13位)
このような競技成績でした。
ジュニアや高校生の時から成績を残していたわけではありませんが、少しずつ成長してきました。
心得10カ条
選手時代に意識していたことを10個にまとめました。
意外と多くなってしまいました(笑)
それでは見ていきましょう!
心得①:まずは生活から
僕が1番大事にしていたことは練習より試合よりも日常生活です。
上手くなるためには、いかに100%に近い心身の状態で練習を積み重ねることができるか。これに尽きると思っています。
寝不足や夜更かし、食べすぎて重い、お腹が空いて集中できない等ありえません。練習する前から上手くいかない要素が多すぎます。
体調管理もそうです。風邪をひいたり体調を崩さないように、手洗いうがいを徹底し、学生の時から消毒液を常に持ち歩いていました。
食事も食べる量、食べる時間には気を遣っていました。
下記は僕が選手のときに生活で気をつけていたことです。
・睡眠時間は7時間30分
・次の日の予定が遅くても12時には就寝
・手洗いうがいの徹底、消毒液を持ち歩く
・朝食はしっかり食べる。昼食は少し(コーヒーや羊羹など)。夕食は炭水化物を少なくする(冬場や補強期間はしっかり食べるようにしていました)※これは夕方から練習がある時のリズムです
・練習の2時間前から食事を取らない
・お風呂に浸かる(疲れが溜まっているときは温冷交代浴がおすすめです。3〜5分お風呂に浸かる→1分冷水に浸かるを3〜5セットすると張っていた筋肉がめっちゃ緩みます!是非試してみてください)
・毎晩ヨーグルトを食べる(腸内環境を整えます。身体に良く、善玉菌が増えると行動力が増してポジティブになるとも言われています)
ここに書いたことは正解ではありません。まずは自分に合った食事や睡眠を見つけて、1番動きやすい状態を見つけてほしいです。
心得②:通しをやめるな
僕は1年中通し練習をしていました。
当然ですが新しく技を覚えても、通しの体力が落ちていると技を入れることはできません。
それにも関わらず、シーズンオフになると通し練習をやめる選手がよくいます。技練習と通し練習は両輪です。どちらか片方だけだと同じところをぐるぐる回ることになります。
そのおかげで僕は技覚えは遅いですが、覚えた技はすぐに通しに入れることができました。
目安としては週に2回は通すようにしていました(シーズンオフの時)
冬場に1人で通し練習はキツいです。2,3人で一緒にすることをおすすめします。
心得③:安定するまでに1ヶ月半
新しい技を通しに入れて、安定するまでには意外と時間がかかります。(ここでいう安定とは練習で成功することではなく試合で失敗しないことを指しています)
僕は新しい構成が安定するまでには約1カ月半の期間が必要でした。
ですので試合の1カ月半までに技が完成しなかった場合はその時点で構成に入れるのを諦め、通しの安定感を高めるための練習に取り掛かります。
また技を抜くことは簡単にできると思われがちですが、技を抜いたり順番を替えたりと、構成を変更する場合も同様に安定するまで時間がかかります(2~3週間は必要でした)
要するに試合の日から逆算して練習計画を立てることが重要になります。
試合の数週間前に技ができたからといって構成に入れてみたり、調子が悪いからといって試合の直前に技を抜いたりしないように、計画性をもって練習に取り組んでほしいです。
心得④:努力は実る
僕はよく緊張します。気分が悪くなるくらい緊張します。
練習や試技会ではほとんど失敗なんてしないのに、いざ試合になると失敗をしてしまう。そんなこともよくありました。
その時に恩師に言われた言葉が「努力は実る」でした。
努力は実らないことも多いです。ですが努力は実ると信じることは僕にとってすごく大切でした。
これまでどれだけ練習をしても、ノーミスを積み重ねても、試合前に不安が消えることはありませんでしたが、今までしてきた努力は実るんだと信じることで失敗をすることが減りました。
そのおかげで大学4年生の時は、全日本選手権予選・決勝、九州インカレ、西日本インカレ、全日本インカレ、国体予選、九州ブロック、国体とノーミスの試合ばかりを積み重ねることができました。
これまで練習さえしていれば自信は勝手に付くものだと思っていました。自信というものは積み重ねや与えられるものだという考え方です。これも一理ありますが、自分のことを信じて、自信をつかみにいくことも大切です。
練習の成果や頑張りは必ず報われます。もっと自分を信じてみてください。
心得⑤:混んでいる種目に並ばない
これもすごく意識していました。
人数が多くてどうしようもなかったり、最終種目なのに混んでいるなど仕方がないときもありますが、できるだけ人が多い種目は避けていました。
試技会や班練習など試合をイメージした練習の時は正ローテで回りますが、それ以外の時はローテは気にしません。
同じ練習時間なのに待ち時間が多いとあまりに非効率的です。
大学の時だと練習時間後半の平行棒がよく混んでいたので、一種目目に終わらせたりと工夫をしていました。
また選手が集まっている種目はよく話し声が聞こえてくる傾向があるので近寄らないようにしていました。
待ち時間は演技を振り返り、次の課題を見つけ、イメージをする時間です。
友達との楽しい雑談にその時間を奪われないようにすることも大切です。
心得⑥:正解はどっち?量より質か、質より量か
これについてはよく考えました。
結論から言うとどちらも正解でどちらも大切です。
高校生の時や大学1年生の時は質より量を大切にしていました。
練習時間や器具に飛びつく回数は周りと比較しても多かったと思います。
大学3年生くらいになると身体の痛いところが増えたり、技数が増えて何本も通しをすることができなくなってきて量より質派になりました。
このように僕は質より量から量より質に変化していったのですが、僕が伝えたいのはどちらも正解であり、用途によって使い分けるのが良いと思っています。
新しく技を覚えたい時や通しの体力を付けたい時には量が大切になってきます。
試合前の通し練習や技の減点を少なくする練習の時には質が大切です。
形を造っていく作業の時は量を、磨いていく作業の時は質を。
こんな感覚で練習をしていました。
心得⑦:向き不向きよりムキムキ
そうです!筋肉です!
体操は力任せに技を行うと美しく見えないですが、やはり筋力は必要で、いざというときに失敗から守ってくれたり、微調整ができるようになります。
補強は練習時間外や個人でしないといけないことが多いと思います。
できるなら練習後1時間は補強に時間をかけてほしいです。補強は成果が出るまでに時間がかかりますが、毎日積み重ねることで確実に強くなります。
補強は誰もが報われやすい練習です。やればやるだけ強くなります。
思い付きで補強をするのではなく、目的をもって、メニューを立てて、毎日淡々とこなしてください。
補強を怠っている人とは1年後、2年後必ず差が開くはずです。
心得⑧:弱者の戦い方を知る
世の中には天才と呼ばれる人がいます。
天才と肩を並べるにはどうすればいいか。
一つ言えることは自分は絶対に失敗をしてはいけないということです。
僕は全日本インカレで13位になりましたが、才能順やDスコア順に並べると絶対に13位ではありません。もっと低いはずです。
ではどうして13位になったり、アジア選手権に出場できたのかというと周りが失敗してくれたおかげです。
「棚からぼたもち」これが弱者の戦い方だと思っています。
体操競技はほんとに難しいです。自分よりも上手かったり才能がある人でも失敗する可能性はあります。
技を詰め込むのではなく、成功率をしっかり意識した構成で挑むべきです。
体操は一か八かの戦いではありません。
自分さえ失敗しなければ自ずと順位は上がっていきます。
心得⑨:技選びは慎重に
選手を見ていると技選びの時点で失敗している方がいます。
自分ができるかどうかではなく、減点が少ないかどうかの基準も持ってほしいです。
僕は減点されやすい技は初めから取り組まないようにしていました。(減点されやすい技でも周りと比較して上手い人は話が別です。どんどん実施してください。)
人によって技の向き不向きがあるため自分に向いてそうで、すぐに習得できそうな技を見つけて、早く構成に組み込むのが理想です。
またどれだけ楽に技ができるかを追求するのも練習の一つです。
特に覚えたての技や不安な技は力が入りがちです。
構成の10技の中で楽にできる技がいくつあるのか数えてみるのもいいでしょう。
いかに楽に、流れや動きに逆らわずに技を行えるか。
この練習を定期的に行わないと通しがきつくなる一方です。
減点が少なく、自分に向いている技を見つけてほしいです。
心得⑩:美しさは細部に
ボサボサの髪。長い爪。破れたサポーター。タンマまみれのタイツ。めっちゃ嫌いなんですよね(笑)
まぁこれは上手くなるためとかではなく性格の問題だと思いますが、そういったところにまで気を遣える選手を見るとプロだなと思います。
審判への挨拶やポーズが雑な選手も見ていて引っかかります。ロイター板に片足を乗せてポーズをしたり、鉄棒に向かって歩きながらポーズをしてる人も見たことがあります(笑)
しっかりと主審の目を見て挨拶し、きちっとポーズをする。点数には関係のない部分ですが美しさは細部に宿ります。
最後に
とんでも無く偉そうに、まるで先生かのようにつらつらと書かせていただきました(笑)
文章を書くことは得意だけど、好きじゃないなと改めて実感。
心を込めて書いたのでたくさんの人にこの記事が届くといいな。
シェアしていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた!
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