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BEST MUSICのDJに驚愕した。

2020年8月2日 TBSラジオ「オーディナリーミュージック」で放送されたシミュレーション・インストゥルメンタル・グループ BEST MUSICの選曲DJに驚愕したので、本日はそれについて書きます。

恥ずかしながら、それまでBEST MUSICの存在は全く知らず、今回の番組で初めて知りました。

「シミュレーション・インストゥルメンタル」とは何か?

今回の番組でBEST MUSICを紹介したサニーデイサービスの曽我部恵一さんの言葉を借りると「エレベーターミュージック」というと分かりやすいと思う。

レストランやカフェやスーパーなどでかかっている音楽のことを「エレベーターミュージック」と言い、シミュレーション・インストゥルメンタルとはそれに近い存在だと思われる。きらびやかな音楽ではなく、あまり考えずに脳内に入り込むことができる音楽ということができると思う。

BEST MUSICは2007年の1st Album「Music for Supermarket」でその音楽性を披露している。

スーパーマーケットで、J-POPの曲をチープなシンセサイザーで演奏している曲を聞いたことがあると思う。BEST MUSICの「Music for Supermarket」はそのスーパーマーケットで聞かれるチープな質感のBGMをベースにして作成されたアルバムで、タイトルもBrian Enoの「Music for Airports」のパロディだと思う。(絶対そうだけど。)

BEST MUSICの簡単な紹介はここまでにして、肝心の「オーディナリーミュージック」でのBEST MUSICのDJについて、話を移したいと思う。

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このリストが、番組でかけられた曲のリストで、全部で82曲ある。DJ形式とは言え、82曲を1時間番組でかけるのは不可能である。1曲につき1分かけられないし。でもBEST MUSICは、82曲をかけることができた。メガミックス形式で。

BEST MUSIC本人は、今回のDJの方法はメガミックスではなく、「サウンドコラージュ」と言っており、私もそう言った方がよいと思う。

曲の一部をサンプリングして、次から次へと曲をつないで聞かせていくスタイルだが、リストをみてもわかるように選曲の幅が広く、まったく予想がつかない流れで、曲が繋がれていく。

この選曲を聞いた時に思ったことをあわせてそのまま説明してしまうが、最初にNew Orderの「Blue Monday」のイントロのキックのループがずーっとかかり、「Blue Mondayか〜、(この番組のいつもの選曲と比べると)ベタだなぁ」と思ってると、そのループに、COMPLEXの「BE MY BABY」のイントロのループが重なって入ってくる。「ニューオーダーからコンプレックスってどういう振れ幅やねん?」と思ってると、BE MY BABYのイントロループからクリスタルキングの「大都会」がかかり、イントロのブレイク後、聞こえてくるのはムッシュ吉崎の♪ア〜ア〜 ではなく、美空ひばりの「川の流れのように」の♪ア〜ア〜が入ってくる、この流れで「今回は普通の選曲じゃない!」と思った。

ウケ狙いのメガミックスDJなのか、と言われると、そういう部分もあるかもしれないが、曲の数秒のフレーズのループが常軌を逸したセンスで積み重なっており、しばらく聞いていると、カオスな雰囲気と、アート性を感じさせる雰囲気が、脳内に広がる。

一番好きな箇所は、CHAGE & ASKAの「SAY YES」イントロのギター”ジャーン!”から「余計なものなど」の箇所までが延々とループされ、(この幾度のループで「SAY YES」のイントロがいかに素晴らしいかを理解できる)その間にKAN、長渕、嵐などいろいろな曲のサンプリングが縦横無尽にミックスされ、かなり混沌とした雰囲気になるところ。

後半の選曲は、さらに混沌とした雰囲気となる。邦楽、洋楽の名曲の数秒のサンプリングフレーズの掛け合わせによる、新しいグルーヴが次々と生み出される。

後半のハイライトとしては、

聖飢魔IIの「お前も蝋人形にしてやろうか!」とBON JOVIの「ショッスルーザハート!」(You Give Love a Bad Name)のコラボ。

CRAZY KEN BANDの「俺の話を聞け」とDAVID BOWIEの「UNDER PRESSURE」を組み合わせた「俺のアンダープレッシャー」という新しいフレーズ。

終盤にはサカナクション「新宝島」のサビのフレーズが、1/4倍速(たぶん)でエディットされ、新しい「新宝島」のグルーヴが聴ける。

文字で説明することは不可能だが、破壊と創造を繰り返すことによる、今まで聞いたことがないグルーヴ、サウンドコラージュを耳にすることができる。

BEST MUSICのサウンドコラージュについては、文字では伝わりきらないが、幸いSound Cloud上で、過去のラジオで放送されたDJ、サウンドコラージュを聴くことができる。(今回紹介したラジオの選曲ではありません)

残念ながら、今回ご紹介した選曲の音源を聴くことはできないが、こちらの音源を聞いてもらうとBEST MUSICのサウンドコラージュの魅力がお分かりいただけると思う。

BEST MUSICさんは2020年8月に新曲を発売しております。ジャケットも素晴らしく、シミュレーションミュージックを、ニュージャックスウィング、盆踊りミュージックで表現されています。

今日は、BEST MUSICさんの魅力が伝わればと思い、文章を書かせていただきました。最後まで長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


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