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Lady Gaga - Perfect Illusion(※9/10 追記)

見よ、この躍動感あふれるLady Gagaを。

ガガ本人も「最高のロックソング」と以前から口にしていた通り、いま波に乗りまくりなMark Ronson, Kevin Parker (Tame Inpara), BloodPopによる「Perfect Illusion」がついにドロップ。

荒野で誰にも縛られることなく、マイクに一糸まとわぬ姿でシャウトする彼女の顔は髪に隠れてハッキリとは見えないが、おそらく背景の空模様のように澄み切っているのではないか。彼女を取り巻く環境はシーンの移り変わりと同時に少なからず、いや間違いなく変化している。『Poker Face』も『Born This Way』も確かに彼女を次のステージへ導いていったし、場面場面で彼女はその瞬間、音楽シーンの中心になっていた。些細なコンプレックスも、ジェンダーな問題も、差別や暴力も、環境についても、行動と発言を繰り返すことで公の目を問題に向けさせた。そのすべてが正当化されるものではないが、Lady Gagaという存在が大きなハブとなって世界をつないでいた時期は、確かにあったと思う。

ここ(note)で取り上げる音楽には最低限”2016年”というキーワードを使うようにしている。今年は激動の年だ。SMAPも平成も『シン・ゴジラ』もFrank Oceanも、何もかもすべてが”2016年”目掛けて、過去から決められていた賽の目のごとくここに完結し、次の時代の幕開けを告げている。

ギターリフと4つ打ちビート。「Perfect Illusion」はロックだ。Lady Gagaが結果としてのロックではなく、ロックを歌うためのロックミュージックにアクセスしている。この事実は世間の目をひく求心力がKanye WestやTaylor Swiftに移り変わり、レゲェやゴスペルがトレンドとなる2016年において、彼女自身が変革の象徴の役目を終えたことを意味する。そして颯爽と3つの翼を身に付けた彼女は、次の時代に向けて羽ばたいた。ロックという風をつかんで。

これは挑戦だと思う。無謀に近いと揶揄されるような。それがロックだから、といえば確かにそうなんだが、でも、裏を返せばそれが「Lady Gagaのロック」なんだと信じたい。携わった3人も心中覚悟の想いで請け負ったわけがない。音楽史を参照し更新するR&Bのジーニアス(=Mark Ronson)、バンドやジャンル、メジャー/インディーといったボーダーラインを破壊する静かな時代の寵児 (=Kevin Parker)、それら天才と天才を掛け合わせるために必要な異才を持つ黒幕(BloodPop)。これ以上ない2016年を仕掛けたクリエイターに愛を授かったLady Gagaの未来は、ロックの地平にこそ答えがある。

※追記 (9/9)

この3つの翼にもう1枚羽根をそえる必要があったみたい。印象的なギターリフを弾くのはJosh Homme(Queens Of The Stone Age)だからだ。なるほど、Arctic Monkeysに新たな才気をもたらすことにも一役買った人物が次はLady Gagaに着地したか。

さらにこの「Perfect Illusion」リリース後「BBC Radio 1 Breakfast Show」に出演した彼女は現在制作中のニューアルバムについてコメントしている。そこでは上記4人に加えてFather John Misty, Beck, Giorgio MoroderFlorence Welchとコラボレートしていることを話している。Florence Welchとはデュエット形式でのレコーディングをしたとも(:New Lady Gaga Album Also Features Father John Misty, Beck, Florence Welch, & Josh Homme

さらにさらに、ロンドン市内のクラブで行われたMark RonsonのDJセットのオープニングアクトとしてGagaがサプライズ出演。世界初披露となった「Perfect Illusion」がまさか数百人しか入らないハコになるとは。ファンが撮影したその時の模様は以下に。


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