お笑いYouTubeの王者『エガちゃんねる』の時代
ジャスト日本です。
noteで書くのは半年ぶりくらいでしょうか。アメブロでは不定期ですが、プロレスブログを更新していますが、noteで書く場合は何かしらの書きたいテーマが必要なのかなと思い、半年ほど更新していませんでした。
今回は、プロレスではなく、エンタメの話です。
私はプロレス考察家と名乗り、プロレスを中心にブログだけではなく、電子書籍、単行本、ネット媒体などさまざまな場所で執筆をしてきました。
ネット媒体ではプロレスだけではなく、日刊SPAさんで主にエンタメの記事を書いてきました。
春夏秋冬のドラマランキング、好きなYouTubeランキング、好きな刑事ドラマランキング、好きな医療ドラマランキング、ワーケーション、東横キッズ…。
プロレス以外の文章を書ける自信と経験を積めたのは日刊SPAさんのおかげです。本当にありがとうございます。
ここで本題に入ります。
先日、日刊SPAでこのような記事を執筆担当させていただきました。
2021年から日刊SPAさんでは「男が選ぶYouTubeが面白い芸人ベスト10」という企画を実施しているこの企画。30~49歳男性200人に対してアンケートを行い、その結果を集計してまとめた記事です。
この企画の発案者であり、執筆を担当している私は、昔からお笑いが好きだったので、毎日どのようなランキング結果になるのかを楽しみにしています。
このランキングなのですが、2021年から3年連続で江頭2:50さんのYouTubeチャンネル『エガちゃんねる』が一位を獲得しているのです。
しかも今年はサブチャンネルも含んでアンケートを取ったところ、『エガちゃんねる』のサブチャンネルである『替えのパンツ』まで3位を獲得。
このランキング結果を見ていただければ分かるかと思いますが、2022年は江頭さんは、28.5%を獲得して、2位の中田敦彦さん(11.5%)に17%も大差をつけて圧勝しているんです。
ではなぜお笑いYouTubeの世界で江頭さんのYou Tubeチャンネル『エガちゃんねる』が突き抜けて強いのか。
さまざまな意見もあると思いますが、個人的に感じている『エガちゃんねる』強さの3つの要因について、書かせていただきます。長めの文章になり、恐縮ですがもしよろしければお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
1.「伝説のお笑い芸人」江頭2:50の人間力
やはり『エガちゃんねる』のフロントマンは「伝説のお笑い芸人」江頭2:50さん。いまさら、江頭について説明するまでもないのかもしれませんが、YouTubeの江頭さんしか分からない皆さんのためにもお伝えしておきます。
江頭さんは1988年に大川興業に入社されて、上半身裸に黒タイツのスタイル、「がっぺむかつく」「取って入れて出す」などのギャグ、身体を張った過激な芸などでお笑いファンの心を掴んできた伝説のお笑い芸人。ある意味、カリスマなんですよ。1990年代に『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京)や、コンタキンテとのコンビ・男同士で『ボキャブラ天国』(フジテレビ系)などに出演。また長きに渡り、『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系)、『アメトーーク!』『「ぷっ」すま』(共にテレビ朝日系)に準レギュラーとして登場し、大きなインパクトを残してきました。
私は『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)の「江頭グランブルー」から江頭さんが好きでした。でもそこまでガッツリ、江頭さんを追っていたわけではありません。ただ、江頭さんがテレビに出ていると「何が起こるのだろう」というワクワク感があったんですよ。予定調和じゃなくて、一寸先はハプニングを地で行く芸人…それが江頭さんだったと思います。
地上波テレビではワンポイントに登場して、嵐のように現れて、爆笑を呼んで去っていくという感じなのですが、インターネットとの相性が潜在的によかった気がします。
身体を張った芸、下ネタといったイメージが強い江頭さんが違った一面を見せたのが、インターネットテレビの『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』(以下『PPP』)。地上波よりもコンプライアンスはやや緩めのインターネットだからこそ江頭さんのハードコアな芸風はピッタリだったのです。
この『PPP』は私も含めて多くの皆さんが抱いていた江頭さんのイメージを変えました。
江頭さん、実はトークが抜群にうまい。
いつも『PPP』はアシスタントの早川亜希さんに「江頭さん!」 と呼ばれて、スタジオ内や観客席を暴れるオープニングが一段落してからトークに入るのですが、これが毎回、面白い。
『エガちゃんねる』で見ている皆さんには「時効だから話せる話」という動画を思い出していただければ分かるかもしれません。あの動画で話している内容が定期的に『PPP』では見れました。過激でくだらなくて面白い話がきちんと起承転結がついたトークに引き込まれてしまう。肉体芸でも、話芸でも江頭さんは我々を笑いの力で圧倒していたのです。
そんな江頭さんに転機。コンプライアンスが重視され、地上波テレビではなかなかやりたいことができにくくなり、「くだらないこと」「バカバカしいこと」「面白いこと」をテレビで表現するには制限がかかっていく現実。
自身が度々出演しては伝説を残していた『「ぷっ」すま』『めちゃイケ』『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了し、表現する場所を失います。
失意の江頭さんに手を差し伸べたのが、人気バラエティ番組『「ぷっ」すま』や『がんばれ!エガちゃんピン』を手掛けたプロダクション「ばんぺいゆ」代表・藤野義明ディレクター。
こうして2020年2月に江頭さんと藤野さんがタッグを組んで誕生したYouTubeチャンネルが『エガちゃんねる』でした。
「1年間でチャンネル登録者数100万人」を宣言し、達成したら『「ぷっ」すま』でライバル関係だった草彅剛をゲストに呼ぶ、達成しなかったらブラジリアンワックスで全身脱毛というとんでもない公約を掲げて発進。なんと開設9日目で登録者数100万人を果たしました。
江頭さんの芸風である体を張った企画をメインにしながら、未体験だったカラオケ、旅行、花火大会、ドライブ、富士山登頂など多岐にわたる動画を配信。
今まで江頭さんを応援してきたヘビーユーザーだけではなく、YouTubeを通じて好きになったライトユーザーの獲得が『エガちゃんねる』躍進の原動力となりました。
また、2011年の東日本大震災直後、被災地に自らトラックを運転して救援物資を届け、2020年の九州豪雨の際には100万円を寄付した江頭さんの笑いが、数多くの「あたおか」と呼ばれるチャンネル視聴者の心に勇気と明日を生きる活力を与えているのです。
『エガちゃんねる』のコメントには「この動画を見て泣くとは思わなかった」「病気の治療をしてますが、エガちゃんの動画を見て元気をもらってます」「冗談抜きで何度も人生を救われました」といった声が相次いでいます。
地上波テレビでは披露しなかった江頭さんの優しさや人情、心の暖かさといった一面が『エガちゃんねる』人気を支える味付けとなっている。YouTube人気により、『ガツン、とみかん』(赤城乳業)や『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』(サントリー)のwebCMキャラクターにも選ばれています。
江頭さんについて考えていくにつれて、私はプロレスラーの「インドの狂虎」タイガー・ジェット・シンに似ているなと感じました。
シンは日本プロレス史において最凶の悪役レスラー。ファンだけでなくマスコミの目が届くところでは徹底して悪役を貫き、全盛時には日本人すべてが彼に恐怖を抱き、憎んだといっても過言ではないほど悪逆無道の大暴れを繰り広げてきました。
その一方で普段のシンは寡黙で物静かで、聡明で紳士だったと言われている。また慈善活動にも積極的で、東日本大震災で被災した児童への支援活動を行い、2021年2月に慈善活動が評価され駐トロント総領事から「在外公館表彰」を授与されました。
この表と裏の顔が極端に違うのが江頭さん。クレイジーでアバンギャルドな芸風を全面に出しながら、普段は物静かで真面目で優しい。水道橋博士さん曰く「偽悪者」というのは的確な表現かもしれません。
破廉恥で狂気性に帯びた表の顔と紳士で優しい裏の顔。江頭さんの2つの顔を『エガちゃんねる』では実に巧妙にありとあらゆる手段で映像表現している印象があります。
藤野さんも「江頭さんと仕事をして、江頭さんのことを好きにならない人はいない」「やっぱり男としてめちゃくちゃかっこいい」と語るようにスタッフや共演者からも好感を持たれ、『エガちゃんねる』がYouTubeで大人気チャンネルとなった大きな要因は江頭さんの圧倒的人間力にあるのかなと思います。
2.地上波テレビクラスの丁寧なハイクオリティー編集
『エガちゃんねる』の躍進は、江頭さんだけではなく、藤野さんを始めとした制作陣の力によるものだと考えています。毎回、地上波テレビの特番やレギュラー番組クラスの丁寧なハイクオリティー編集が行われている動画を楽しめるのが『エガちゃんねる』の凄さだと思います。これは他のYouTubeと大きな差別化を測っているこではないかと感じます。
またYouTubeの特性も生かした企画内容にもチャレンジし、そこにテレビ番組並みの編集力で構成している『エガちゃんねる』はテレビとYouTubeのハイブリッド型に成功したチャンネルだと言えるかもしれません。
藤野さんは自身の著書『エガちゃんねる革命』(宝島社)の中で丁寧なハイクオリティー編集を実現させているヒントを明かしている。
さらに『エガちゃんねる』の編集に関わっている人間は実は少数精鋭なのです。
一般的なチャンネルであれば、トークの間を詰めたり、コメントテロップ(字幕)を入れるだけ、という編集スタイルが主流。そういう編集であれば多少の編集技術があればできると思います。でも『エガちゃんねる』の編集はそれとはだいぶ違いまして…。
そして編集スタッフの中には、日本テレビ系の『世界の果てまでイッテQ!』や『しゃべくり007』『月曜から夜ふかし』を立ち上げたディレクターも関わっているそうです。実際に地上波テレビのディレクターを務めていて編集能力もトップクラスの精鋭たちが集結しているからこそ、質の高い丁寧なハイクオリティー編集が可能になっているのです。
3.不安と混沌と鬱積が渦巻く現代社会のカウンターカルチャー
『エガちゃんねる』は2023年6月8日現在でチャンネル登録者数374万人を誇るYouTubeチャンネルです。その人気は、「あたおか」と呼ばれる多くの『エガちゃんねる』好きなファンによって支えられています。
元々江頭さんが好きだったヘビーユーザーだけではなく、YouTubeを見て江頭さんが好きになったライトユーザーの増加が374万人の大人気YouTubeチャンネルに成長したのだと思います。
その要因は藤野さんを中心としたヘビーユーザーもライトユーザーも満足してもらうためのチャンネルのブランディングによるものだと思います。
あと江頭さんの人間力と『エガちゃんねる』の面白さが、2020年から続くコロナ禍によって不安と混沌と鬱積が渦巻く現代社会におけるカウンターカルチャーになったのかもしれません。
YouTubeで江頭さんの存在を知り、「江頭さんに救われた」「エガちゃんねるを見て自殺を辞めました」というコメントが多いのがこのチャンネルの大きな特徴です。
江頭さんはよく「もし死にたくなったら、俺を見ろ!」と言われていますが、『エガちゃんねる』を見ることが生きる希望になっている多くの人たちがいるのです。
この現象はもしかしたら江頭さんも藤野さんからすると予想外だったかもしれません。
あくまでも彼らがやりたいことは、主にくだらなくてバカバカしいお笑いバラエティーだと思います。だがその一貫した姿勢が知らず知らずに癒やしになったり、オアシスになっている。それが『エガちゃんねる』で起こっている現象なのです。
クリエイティブ・ディレクターの鷺谷政明さんは自身のYou Tube『ひとり演芸協会』で『エガちゃんねる』について、このように語っています。
やはり演者・スタッフ・視聴者の三位一体となった『エガちゃんねる』は強い。お笑いYouTube王者の壁は想像以上に高いと個人的には考えています。
日刊SPAのお笑いYouTubeランキング三連覇を果たし、お笑いYouTubeの王者として突き進む『エガちゃんねる』の時代。この大人気チャンネルの快進撃はどこまで続くのでしょうか。
ひとりのお笑い好きとしては気になるところです。
最後に、今回の日刊SPAさんで書かせていただきました記事が『エガちゃんねる』さんで紹介していただきました。なんとYouTube急上昇ランキング一位を獲得するほどバズったようで大変恐縮ですが、是非ご覧ください!
【緊急動画】今回、記事になっている件について
『エガちゃんねる革命』藤野義明(宝島社)
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