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スキージャンプのルール〜高梨沙羅の失格〜

BS1でいい感じの時間に放送されていた、スキージャンプ 女子ワールドカップ。

高梨沙羅は1本目に会心のジャンプを決め、勝利を手中にしていただけに「失格」というのはインパクトがあり、派手にニュースになりました。

規定違反の失格」非常に印象が悪く思えますが、個人的にDNF(ゴールできなかった、ジャンプを終えられなかった)という印象が強いです。

スキージャンプのルール

大前提として

スキージャンプ競技は多くの道具を使います。そして、その一つ一つに多かれ少なかれルールがあります。頭のてっぺんからスキーの先まで、ルールでがんじがらめなのです。

そして失格になることは多々あります。ワールドカップでは、3〜4試合に1回は確実に誰かが失格になります。それだけ日常茶飯事です。

#アルペンスキーの片反てきなイメージ

特に多いのが、今回のジャンプスーツによる失格。たまにスキーの長さ違反やジャンプシューズによる失格も見られます。

道具に関するルールはこちらに載っています↓

ジャンプスーツのルール

冒頭に「DNF(ゴールできなかった)という印象を持っている」と書きました。

それはなぜか。

現在、大会ではマテリアル関連のダブルチェックを行っているからです。

大前提として国際大会に出場する全ての選手が、事前に身長、股下の長さ、腕の長さを登録しています。登録していなければ出場できません。

そしてジャンプを飛ぶ直前、順番の3〜5人前で全ての選手を対象にスーツを着用した状態で、股下の長さを計測します。この時に登録した股下の長さより、短く計測されると失格となりジャンプを飛ぶことすら許されません。

#私もW杯で失格しました

次に飛び終えた直後に、運営にセレクションされた人(選び方はランダム)が別室に連れて行かれ、スーツの大きさや通気量、靴の大きさや厚さ、体重などを計測されます。

#だいたいどれか一つ

ジャンプは2本勝負なので、これを2回繰り返す選手もいます。

このように、大会ではスーツの計測から始まり、最後の計測を終えるまでが一連の流れであり

この間に失格となる場合は、イメージ的には「チェックポイントを通過できませんでしたよ」という風に私は考えています。

また飛ぶ直前の股下計測。

同じスーツを着ていても、意図的に股下の位置を引き下げれば簡単に登録値を下回ります。

#2センチくらい簡単に下がる

最近は減りましたが、このルールができた当初は1試合で10人以上失格になったりしました。

多くの選手が一度は経験しているはずです。

#最近は減った

#新人はたまにやらかす

高梨沙羅の失格

今回は「飛び終えた直後の計測」で太もものサイズが大きかったため失格となったようです。

予選で伊藤有希も同じ理由で失格になっているので、チーム全体でギリギリを攻めた結果なのでしょう。

女子は今年、太もも部分のカットが変更されたので、そういう面も含めて厳しく見られたのではないでしょうか。

チーム全体としては、ワールドカップの1勝よりも世界選手権でのメダルを目指しているので、良いトライであり、事前に失格になるラインがわかったので良かったのではないでしょうか。

おそらく、メーカー、本人、コーチ陣もそう言った「ギリギリである」ことを把握して試合に臨んでいるので、同じように考えているはずです。

また、今回の高梨沙羅の失格というのは、伊藤有希の失格を受けての玉突き事故のようなもので、特段気にすることはありません。

昨年ノルウェー男子チームは1試合でほぼ全員失格になった事もあります。勝利を掴むためにはそれだけの、チャレンジや失敗が必要なのです。

むしろ、この2人の失格によって「絶対失格にならないスーツ」などで勝負に出てしまうと、それこそ「日本チーム」が戦えなくなります。

特に高梨、伊藤は日本代表としての立場を脅かされることはありません。積極的に色々試して欲しいですね。

#チャンスが少ない国内選手だと事情が変わります

ジャンプスーツのせめぎ合い

ジャンプスーツの性能で5m〜10mくらい平気で変わってしまうのがジャンプスーツです。

ルールの中で、どれだけ工夫を施し有利なスーツを作れるかによって、勝負の行方を左右します。

失格になるかならないかギリギリのスーツ」は考え方によっては「ズル」と捉えられますし、見方を変えれば「工夫、努力」と捉えられます。

サッカーで言うところに「ファウルをもらう技術」みたいな感じですかね。

#ちょっと違うか

日本チームもジャンプスーツのために多額のコストをかけ、ノルウェー人を雇ったりするなど最善を尽くしています。

ある意味「失格にならないスーツ」を着ている選手は1人もいないと思います。失格にならないために、股下の計測方法や計測のために体を膨らませる練習など

さまざまな「工夫」が施されています。

日本潰し

前述しましたが、今回のは「玉突き事故」ですかね。日本チーム全体として戦略を持って、ルールに通るか通らないかのギリギリだったと思います。

なので、致し方ないとしか言いようがないです。

ただ、失格者が出る日は複数人出ることが多いので「厳しく見る日」があるのは事実だと思います。
#この日も予選含めて4人失格

#国の差別はありません

また「ルールの解釈の相違」から、思わぬ失格があるのも事実です。

全く話題になっていませんが、女子複合のコンチネンタルカップで中村安寿が失格になった理由は「いちゃもんレベル」だと思ってます 笑

#個人の感想

#ルール解釈の相違

私自身も、ルールの規定内であったのにも関わらず、コンチネンタルカップの初戦で失格になりかけました。

#ちゃんとルールブック読んでたので反論しました

いつかの渡部暁斗さんの「ノルディック複合という競技存続のためにドイツの勝利でよかった」という旨のインタビューを読みました。

#記事を見つけられませんでした

競技の発展、存続のためにはヨーロッパの選手が勝つ必要もある。日本人が勝っても日本の会社がスポンサーとしてFISにつき、お金が落ちるわけではありません。

そういった、無視できない「資本主義社会の現実」があるのも事実です。

「日本潰し」なんていう事実はありませんが、高梨沙羅のおかげで、事あるごとに話題に上がり、「日本潰し」という形でスキージャンプやノルディック複合に目を向けてもらえるだけ良い事ですね。

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