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底知れぬRiiberの能力 〜コンバインドW杯 団体戦 Lillehammer〜

五輪前、唯一の団体戦がノルウェーのLillehammerで行われました。

日本チームはリレハンメル五輪以来の団体メダルを目指しているので

貴重な実戦の場

五輪の前哨戦ということもあってか、各国の思惑が垣間見れた気がします。

何より、レース単体として

優勝争いと3位争いが白熱しており、私が見てきた中で一番楽しむことができたレースでした。

雪がちらついた前半ジャンプ

チームで見ると現在最強なのは、Rukaで表彰台を独占したドイツ。

一方でノルウェー開催の団体戦で簡単に負けられないのが

現役最強のRiiber率いるノルウェー。

この2カ国に食い下がるのがオーストリアと日本という縮図になっています。

そうした中で、ジャンプでトップに立ったのがドイツ。

雪が降りしきる中で、4人が安定した飛躍を見せて

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地元ノルウェーに21秒差をつける事に成功しました。

ただ、このドイツの布陣

現在のランキング上位から選んだと思うのですが

どちらかというと、前半ジャンプに寄せた布陣になっています。

個人的に、ネームバリューで見るとノルウェーの方が走力があるので

降雪がある難しいコンディションを考えると

セーフティリードと呼べるものではありませんでした。

ゴール前500mの激闘

後半スタートリスト↓

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ドイツは1走にFrenzelを持ってきて、アンカーにGeigerという

1走でリードを広げる事によって、ノルウェーに優勝を諦てもらう差をつける。

たとえ追いつかれたとしても、コンバインド界最速のGeigerに勝負を決めてもらうという

2段構えの作戦。

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一方でノルウェーはチーム内では走力が劣るBjoernstadをどこで走らせるかが鍵となる中で

シンプルに遅い順に並べて、Bjoernstadを1走に持ってきました。

一歩間違えば1走で勝負が決まってしまいかねないという

ノルウェーにとっては難しい状況となりました。

実際に、ドイツの作戦どおり

1走のFrenzelがマージンを広げて42秒差に。。。

しかし、ここから走力のあるノルウェーの2走Oftebroが猛チャージを見せると

3走のGraabakが、この日の最速タイムで走り切り

ドイツに追いつく事に成功。

最強Riiberと最速Geigerのマッチレースとなる展開に。。。

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地元で負けられないRiiberは、いつものように得意のコバンザメ戦法

それに対して、Geigerは「わかっていたよ」とばかりにスピードを上げ

真っ向勝負を挑み、振るい落としにかかりました。

1周目は相当早いペースでしたが、やはり振るい落とされないRiiber

これを見て2周目はややペースを落とし、ラストスプリントに備えるGeiger

ラスト500m地点を過ぎたところで、一気にギヤチェンジをかけて

Riiberが後ろから飛び出すと、しっかりGeigerも反応して後ろにピタリと着きました。

ここまでは、Geigerも想定の範囲内だったでしょう。

問題はここから

前に出たRiiberを抜きにかかろうと、ギヤチェンジしてスピードを上げますが

このGeigerのアタックに対して

Riiberがアタックに反応して微妙に進路を塞ぎながらペースアップし

Geigerをトップスピードに乗せ切らさず、ポジションをキープし続けました。

この攻防を私が見た限りで2〜3回。

このポジション争いに敗れ、ペースを狂わされたGeiger

微妙にフォームを崩し、疲労感がガクッときたのか

スタジアムに入った直後のRiiberのアタックについていけず

ジリジリと離されていき

ゴール前ストレートに入る直前のカーブで勝負が決しました。

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Riiberの走力

元々はジャンプでリードし、粘り、逃げ切るスタイルだったRiiber。

ちなみに4年前の平昌五輪では、前半トップだったものの粘りきれずにメダルを逃しています。

そうした中で、粘れるようになり、最後には地力をつけたRiiber。

速くて、スプリント力があるのは知っていましたが

今回見せたのは、試合巧者な姿と圧巻のスキーコントロール。

勝負を決めた、バックストレート前のカーブでの減速しないスキー捌きと

複数回にわたるGeigerのアタック阻止に私は絶句しました。

地元Lillehammerというのもあったかもしれませんが

あのGeiger相手に、ラスト500mでは1度も主導権を渡さず圧勝した事になります。

ジャンプ、走力、レース運びと完璧なコンバインド選手と化しているRiiber。

コンバインド選手が力勝負をしたら

「絶対に勝ち目がないな」という事を印象づけるレースとなりました。

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今日のレースを踏まえて

今後走力のある選手がRiiberと戦う場合にどんなレース運びをするのか注目です。

そもそも、走力のある選手がRiiberと同じくらいにスタートできる機会がほとんどないですが。。。

特に力勝負を挑んで負けたドイツ。

五輪ではどのようにして挑むのか注目です。

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日本とオーストリアの話は明日にします。









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