九九や筆算なしでかけ算を身につけると、驚くほど算数が得意になるという話(理論編)

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はじめに

突然ですが九九は言えますか?
いや正直九九言えないとそれだけで相当おバカキャラというイメージを持たれるのが日本の教育だと思う。

でもある日ふと疑問に思った。
「なぜそもそも九九ってあんなに覚えさせられたのか」


高校の数学の授業
今思うとだめな先生なんだろう、三角関数の最初の授業で公式を20個くらい黒板に書いて「とりあえずこれを覚えてもらいます」と言っていた。

同じく化学の授業
高校最初の授業で、化学反応式が100個くらい書いてあるプリントを配られて「とりあえず覚えてこい、毎回テストだ」

それと似たことをさせられているのではないか。
上2つの例には疑問を持つ人も多いのに、九九はこんなにも世の中で認められている不思議。

覚えていたら便利なのはいいけれど、覚えるばかりになっていて順番がおかしくなっていないだろうか。

同じような例としてかけ算の筆算があげられる。私は長年中学受験の算数を指導しているのだが、かけ算の筆算の意味を理解していない小学生があまりに多い。学校で意味を説明されていないのではないかと思うほど。

180×200を筆算で解く6年生は決して少なくない。下手したら180×100でも筆算だ。100をかけるときに筆算をするということは根本的におかしい。筆算がやり方の丸暗記になっている証拠。

そんな九九や筆算の丸暗記は残念ながら日本のあらゆる小学校や塾あるいは家庭でこれからも続いていくだろう。ならそれが始まる前に、しておくべき計算問題集はないか。あるいはすでにそういう暗記教育を受けてきた子の考え方を根本から変える問題集はないか。自分の子どもや教え子だけでも救えないか。そんなことを考えているうちに、今の時代、ないならば作ればいいのではないかという結論に至った。

それがこのnoteを作った経緯です。

このテキストの対象者

「九九を習う前の今だからこそちゃんとかけ算を習得するべき小学2年生以下の児童」
「九九を覚えることが算数だとだまされてしまった被害者、どうしても九九が覚えられない劣等感に悩まされている児童」
「九九は覚えたが、筆算まではまだ学習していないまだまだ十分間に合う小学4年生以下の児童」
「かけ算の面白さを教えられないまま九九を筆頭に丸暗記学習をしてしまったせいで、未だに計算ミスが多かったり基礎はいいけど応用問題ができないなんて言われてしまう小学校高学年、中学1,2年生」
「上記児童にかかわる、親はもちろん、学校の先生、塾講師。小学生に携わるすべての大人」

このテキストの目標とするところ

・九九を覚えるのがかけ算ではない、算数は暗記科目ではなくもっと自由なものだ。算数への取り組みを根本から変える

・計算は作業ではない。作業で計算しているからミスが多い、つまらない、時間もかかる、工夫できない。計算においても思考する力をつけることで計算ミスが減る、楽しくなる、工夫できるようになる、その学習方法が算数の他の単元にも活きてくる。

・暗算力が身につく。間違えないようにすべて筆算しなさいは大きな間違い。筆算は思考が少なく、そのくせ書くことが多く、間違えやすい計算。筆算が必要なシーンもあるが、とりあえず今は筆算を横に置こう。具体的には2桁×2桁のかけ算や3桁×1桁のかけ算に筆算とは違う方法を与え、間違いを劇的に減らす。

・思考停止の計算練習ではなく、常に考え続けることで、思考することを算数だと認識する。高学年の思考力につなげる。

・計算を通じて数の感覚を身につける。中学入試や高校入試で問われる数の単元に強くなる。

・矛盾するようだが、暗記しないで苦労することにより逆に自然と覚えてしまうことが多い。自然と覚えた知識は暗記を目的とした知識と違って裏付けがあり忘れにくく、忘れてもすぐに思い出すことができる。結局最終的には覚えている量は変わらず(結局九九は覚えてしまう)、出来ることには大きな差が生じている。(九九どころか2けた×2けたや3けた×1けたを自信持って正解する)


かけ算はたし算




「かけ算って九九ってやつでしょ?頑張って覚えるぞ」
そんな認識の小学生、あるいは小学生の周りの大人がたくさんいるように感じる。
繰り返すが、九九をおぼえるのがかけ算の目的じゃない。
かけ算というのは、たし算のくふう。8✕100だったら8+8+8+……を100こ計算するのがかけ算だ
かけ算を習うとそんなめんどくさい計算があっという間にできるようになる。少しでも快適に暮らすために人は学ぶのだ。

かける2は2つ分



①9✕2

②78✕2

③2✕69

✕2というのは2つあるということ
9×2は9が2つあるという意味なので9+9の意味がある。だから18になる

78✕2=78+78=156だ
たし算がわかれば、かけ算もかんたんではないかな。
ただし、これを考える上でも頭が良くなるポイントがある。
78+78=70+70+8+8とすると140+16と計算がすっきりする。ぜひこれは身につけてほしいたし算の方法だ。


では2×69はどうか
2を69こ足すなんて途方もないだろう。

ここでさっき計算した9×2を考える。
これを図であらわすと
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇

よこ9個が2列ある。9+9=18
全部で18個。先ほどの計算通り。

で、ここで「視点を変えて」みる。
たて2個が9列あるとも言える。
2×9だ。結果はもちろん変わらず18個

だから実は2×9=9×2

これはかけ算の「交換法則」といってとても便利なものだ。どんな数でもかけ算の前と後を入れ替えても答えは変わらない

2✕69=69✕2=69+69=60+60+9+9=120+18=138

あと何問か練習しておこう。
④6✕2
⑤2✕11
⑥64✕2
⑦2✕238

6×2は6が2つだから6+6=12
2×11は11が2個と考えて11+11=22
64×2は64が2つで64+64=120+8=128
2×238は238が2つで238+238=400+60+16=476   


□✕2は半分こ

次は□を含む×2のかけ算に挑戦する

①□×2=8
②□×2=24
③2×□=68
④□×2=74

□が2つで8になる。
同じ数を足して8になる数を考えたらいい。
4+4=8
なので□は4

□が2つで24になる。
24を半分にしようというわけ。
24円とは20円と4円のこと
20円は10円2枚。その半分は1枚だから10
4の半分は2
だから□は12になる。
試しに
12×2をしたらちゃんと24になるとわかる。

2×□=68
□が2つで68という意味。
60円と8円を半分にする。

10円6枚の半分は3枚だから30
8の半分は4
だから34
2×34=68になる

□×2=74も同じように考えよう。
70と4をそれぞれ半分にしたらいい。
えっ、70って半分にできるのかな。
10円玉7枚だとわけられない。6枚なら分けられるのに。
10円玉6枚なら3枚と3枚なのに10円が一枚残ってしまう。
まぁいいかこの10円を全部1円に替えて1円10枚残しておこう。

残った1円10枚と4枚を組み合わせて14枚なら半分にできるじゃないか。7+7=14だから7
30と合わせて37

これが実はわり算というもの。
①②③④は
①8÷2
②24÷2
③68÷2
④74÷2
という記号で表すこともできる。

いくつか割り算を練習しておこう。

⑤98÷2(□×2=98)
⑥126÷2(□×2=63)
⑦118÷2(□×2=)
⑧214÷2

98を半分にする。
90円と8円
10円9枚は分けられない。8枚なら分けられる。4枚で40
あまった10円は8円とあわせて18円
18円なら分けられる。9円ずつ
98÷2=49になる

126÷2
126を半分にする。
126は100円1枚、10円2枚、1円6枚
100円を分けられるように10円にすると10円10枚になる
10円が12枚なら分けられる。6枚で60
残った1円6枚を半分にするから3
126÷2=63

118÷2
118を半分にする。
118は100円1枚10円1枚1円8枚
100円をすべて10円にすると10円は11枚になる
11枚は半分にすると1枚あまって5枚ずつだから50
あまった10円1枚を1円にすると1円は18枚になる
18枚は半分にすると9枚で9
118÷2=59

214÷2
214を半分にする。
214は100円2枚、10円1枚、1円4枚
100円2枚は1枚ずつしたらいいから100
10円1枚は1円10枚に替えて1円を14枚にする
1円14枚は半分にすると7枚で7
だから214÷2=107

2で割るわり算を学習した。
これでどんな数も半分にできる。



✕3は3つ分

さてまたかけ算だ。
次は×3に挑戦する。

①34✕3
かけ算はいくつあるかだ。
34が3こあるってことになる。

34+34+34=30+30+30+4+4+4=90+12=102
数が多くなると大変になるけど3こならそんなにたいへんじゃない。3つ足したらいい。


練習しておこう
②9✕3
③3✕17
④3✕49

9が3個ある。9+9+9をしたらい 
9×3=27

3×17
3を17回たしても17を3回たしても答えは変わらないなら、17を3回たそうか
17+17+17だから
30+21
17×3=51

3×49
同様に49を3回たす
49+49+49だから
120+27
49×3=147

×2より一回多いけどまだまだ大丈夫。


✕4と×6と×9

×4、×6、×9を考えてみる

①17✕4
17が4つだ。
17+17+17+17だから40+28=68。

という方法でもちろん求められる。
だがこれでは数が大きくなると大変。
そこで4とはどんな数かを考えてほしい。

4個〇を並べると
〇〇〇〇
でも次のようにも並べられる
〇〇
〇〇

たてに〇が2個の列が2つ並んでいる
または
よこに〇が2個の列が2つ並んでいる

4とは2個が2セット
2×2=4になる

だから✕4は4回足してもいいけど、✕2を2回しても同じになる

17 17
17 17
たてに17が2つ、それが2列ある。
17+17=34
34が2列できるから34+34=68

2や3ならよくても数が大きくなってくるとこういった工夫が大事になる。

練習しよう
②4×25

4✕25を25が4個と考える
25 25
25 25

25が2こあるのが2セット。25+25=50 50が2こあるから50+50=100

これは余談だがプールのはしからはしまで泳ぐと25mなんだよ。それが4回で100m。よく出てくる計算だ


次は×6
③19✕6
19を6個たしたらわかるだろうけど先ほどの×4と同様に、6個という数を考えてみよう。

〇〇〇〇〇〇6個

〇〇〇
〇〇〇 これも6個

〇〇
〇〇
〇〇  これも6個だ

6個を3個のまとまりが2セットと考える
19 19
19 19
19 19

1列に19が3つある。
19+19+19=57

57が2列あるので
57+57=114 
 
かけ算を図にしてみるとよいでしょう。

④14×6
14×6は14が6個
14が2個が3セットと考える
28が3セット
28+28+28=84


⑤21×9
さてでは9はどうだろうか
9とはなにか。
〇〇〇
〇〇〇
〇〇〇
きれいに9こ並べるとこんな感じ。
3×3が9になります。
ということで
21 21 21
21 21 21
21 21 21

1列に21が3個あるから21+21+21=63
63が3セットあるから63+63+63=189

×10を学習してからだともっと他の方法があったりするけど、とりあえず今回はこれでオッケー。9が3×3のことを利用したらいい。

⑥9×17

9×17を17が9個あると考えて
17 17 17
17 17 17
17 17 17

17+17+17=51
51+51 +51=153
だから9×17=153となる。


2が2つで4
3が2つで6
3が3つで9

今まで学習したことを組み合わせて計算していくことができた。


✕8、×12、×16

①19×8はどうしようか
19 19 19 19
19 19 19 19

19が2個が4セット
だから38が4セットってわけ。

38×4をしたらいい
38が4個だから38を2個まとめたものが2セット
76が2セットだから152というわけ。
こんなふうに考えれば数が大きくなっても計算できる。

8は4×2
4は2×2だから
8=2×2×2になる。
2個のものが2セット、それが2つあると考えられる。

じゃあつぎは16
⑥35×16
16はこんな感じかな
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇

もちろん他の形でもオッケー。
〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇とか。
今回は4×4で行こうか

35 35 35 35
35 35 35 35
35 35 35 35
35 35 35 35

35が4個が4セットある。
16=4×4であることからそうなっているわけです。

35×4は70が2個だから140
140×4をしたらいい
140×4は280を2個だから560

こんなふうに数字を並べてみれば大きな数をかけるときでも足し算を使って計算できることもあるとわかる。

16=4×4
 =2×2×2×2


⑦17×12
次は12という数を考える。
12はどんな数かな。
〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇

こんな風でもいいし

〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
こっちもオッケー。今回はこっちで行こうか。

17×12だから
17 17 17 17
17 17 17 17
17 17 17 17

17が縦に3こ
17×3=17+17+17=51

51が4セット
つまり51×4

51+51=102
102が2セットだから204

今回8、16、12を考えた。
なぜこれらの数なんだろうか疑問に思ったでしょうか。×2と×3以降に扱ってきたのは、4、6、9、8、16、12
これらは全部、2と3をいくつかかけることで作ることができる数だった。

逆に言うと分解すると2と3だけであらわされる数だ。
かけ算は分解を意識するとすごく解きやすくなる。

ただ中には2と3だけでは分解できない数もたくさんある。17とか。そういった数はどう考えていくのかという話が次からの話だ。


✕10、×2桁全般

今回は一気に世界が広がる計算
そのために必要な計算はあと一つある。
×10です。

①14×10
②27×10

10という数がなにか考えます。
10は半分にすると5になるので
〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇
こんなふうにあらわせますね。

14×10なので
14 14 14 14 14
14 14 14 14 14
たてに14が2つ、それが5セットあります。
14が2つで28
28+28+28+28+28=140

27×10も同様に
27 27 27 27 27
27 27 27 27 27

たてに27が2つ、それが5セットあります。
27が2つで54
54+54+54+54+54=270

さてここで結果をまとめると
14×10=140
27×10=270

一番下に0が一つ増えただけだとわかります。
×10は最後の位に0をつけたすだけ、これはとても大切です。

確認問題
③89×10
④715×10

こんな計算もまともに足す必要がない。けたがひとつかわるだけ
89×10=890
715×10=7150となる。


さてではこれを応用する。
実はもう驚くほど世界が広がっている。

⑤37×13
37が13個ある。
13がどんな数か分かればいいが×10を知ってしまうととても簡単になる。

13個は10個と3個
だから37が10個のセットと37が3個のセットにわけて考えてしまおう。
37が10個
37×10=370
37が3個
37×3=37+37+37=111
370+111=481となる

さて練習しよう

⑥44×12
44が12個は44が10個と2個
44が10個で440
44が2個で88
あわせて528となる

ところで×12といえば組み合わせて3個が4セットという方法でも求められた
44×12は
44 44 44 44
44 44 44 44
44 44 44 44

44がたてに3個あるから44+44+44=132
132が4セットあるから132+132=264 264+264=528

今回の方法とは違うけどこちらの方法でもオッケー。ただどちらか片方ではなく両方身につけたい。


算数とは答えまでの道が一つではないものだ。だからいろんな解き方で答えが出る。そのいろんな方法を考えることこそが一番大切。なにか一つではなく色んな回り道ほしてほしい。その回り道はすべて圧倒的な力へとつながっていく。

話を戻す。10の位が変わっても計算することができる

⑦48×23
48が23個ある
48が20個と48が3個
48×20と48×3

48×20
20個とは2個が10セット
だから48が2個あるものを10セットにしたらいい
48が2個で96 10セットで960

48 ×3
48が3個は問題なく48+48+48=144
960+144=1104
だから48×23=1104


では練習
⑧51×32
51が32個
51が30個と51が2個

51が30個とは51を3個まとめたものを10セット
51が3個で153 153が10セットで1530

51が2個で102

1530+102=1632
たがら51×23=1632

この計算は小学校でもちゃんと学習する。「筆算」といいます。
筆算と全然形がちがう?いや全く同じ話をしているんですよ。もし違うと感じたなら筆算を意味もわからず使っていたのではないでしょうか。

筆算を知らない人が、筆算を習ったときに、なんだ普通のかけ算と変わらないじゃんと思ってほしい。


筆算の仕方が覚えられない、大いに結構。
やり方を覚えるのは算数の本当の形ではない。
算数は自分の知っていることを上手に使う教科。
この筆算は頭を使っただろう。
頭の中の知っていることを組み合わせて計算することのほうが筆算のやり方をただ覚えるよりずっと大切だ。



✕5、×9

今回は×10を使ってさらに広がる世界を実感できる×5、×9を紹介する。

①49×5
5という数はどんな数か。
いろいろあるだろうがここで使いたいのは5は10の半分だということ

なら49が5個あるというのは、49を10個セットにしたものを、半分にしたらいいと考えられる。
49×10=490
490÷2
400の半分は200
90の半分は45
だから49×5=245

÷2が慣れないうちはこれより5回足したほうが速いだろう。でもこの計算は絶対に役に立つ。いろんな方法ができることはとても大切。ぜひ練習してほしい。

②16×5
③78×5
④94×5

16が5個なので16が10個の半分
16×10=160
160÷2=80

78×5
78×10=780
780÷2=390

94×5
94×10=940
940÷2=470

これらの計算をするときに例えばこんなことを思いついたらさらにいい。
「半分にするのって最初でもよくない?」

つまり16×5を8×10にしてしまう。78×5を39×10にしてしまう。94×5を47×10にしてしまう。
これは最初の数が半分にできるとき限定。ただ計算が少しラクになる。道は一つじゃない。いろいろ探してほしい。

さてでは次は×9について、×9は再登場だが×10を知った上で見るとまた違った一面が見える。

⑤72×9
72 72 72
72 72 72
72 72 72
として72が3個が3セット。
素晴らしい解き方です。

ただ今回はこれとは違うことをする。×10を使いたい。
72×9は72が9個あるということ。

ということは72が10個より1個分少なくなる。
72×10=720
これより72が一個分少ないなら720−72 =648となる。

練習する。
⑥36×9
⑦55×9

36が9個なら10個より1個少ない。
36×10=360
360−36=324

55×9
55×10=550
550−55=495

×9はとても簡単になってしまった。


×5と×9はこれだけでも強力だがまだ続きがある
⑧48×15
15は5と同じく2つでキリが良くなる。
15は30の半分だ。
なら48が30個の半分あると思ってもいい。
48を先に半分にしてしまうとさらにラク
48÷2=24
24×3=72
72×10=720なので
48×15=720となる。

72×25
25個は50個の半分
72を50個の半分になる。
先に72を半分にして
36を50個とすることができる。
36を50個は36を5個が10セット
36を5個は36を10個の半分
18を10個が10セット
1800となる。

式だと
72×25=36×50=36×5×10=18×10×10
というわけ


×9の計算にもまだ先がある。
⑨71×19
19個をどう扱うか
10個と9個に分けて計算することもできる。それも素晴らしい解き方だ。だが今回はそうではなく
「19は20より1小さい数だ」ということを使う

71×19
71が20個あるより1個分少ない
71×20=142×10=1420
1420−71=1349

1個小さいを意識するとこんなにも計算がラクになっていく。

46×29
46が29個は
46が30個より1個分少ない。
46×30=138×10=1380
1380−46=1334

×10を先に知ることでこんなにも世界が広がるのなら九九丸暗記、筆算丸暗記より前にできること、やるべきことがたくさんあるのではないか。


×1けた総まとめ

ここまででかけ算はおおよそできるようになった。
小学校だと1けた×1けたの計算結果を暗記する。ならそれらの計算は最低限できないといけない。いままでの内容で十分以上にできることを確認しておこう。

・2
2つあるから足し算したらいい。
34×2=34+34=68
756×2=756+756=1512

半分にすると元の数になるか確認しよう。
68÷2=34
1512÷2=756

・3
×2同様に足し算ですぐに解ける
54×3=54+54+54=162
678×3=678+678+678=2034


・4
〇〇
〇〇
2個分が2セットある。2×2=4の利用
56×4
56 56
56 56
上の図をイメージすると、56+56=112 112+112=224

・5
5は10のちょうど半分になる数のことを利用する。
67×5=67×10÷2=670÷2=335
これは様々なところで応用できるとても使いやすい計算方法

・6
〇〇
〇〇
〇〇
3個分を2セット
または2個分を3セットで考えれる
78×6
78 78
78 78
78 78
上の図のイメージで78+78+78=234 234+234=468

ちなみに×5を使う方法もある
6個というのは5個と1個
78を5個は78×5=78×10÷2=390
78はあと1個あるから 390+78=468

どちらが好きでもいいが、どちらも理解したい


・7
実は初登場×7
7個を10個には3個足りないと考えてもいいし
7個を5個より2個多いと考えてもいい。
7は4や6のように〇を並べると一列にしかならべられないのでそのまま足す以外の方法を考えると5や10の利用がよさそう。
98×7
10個あるとすると98×10=980
3個多いので98×3=98+98+98=294
980−294=686

または
5個と2個に分ける
5個98×5=98×10÷2=490
2個98×2=98+98=196
490+196=686


・8
〇〇〇〇
〇〇〇〇
2×4=8をつかう
91×8
91 91 91 91
91 91 91 91
上の図のように91が2個が4セット
91×2=91+91=182
182が4セットだから182+182=364 364+364=728

×10を使ってもいい
91×8は91が10個より2個分少ない
91×10=910
91×2=91+91=182
910−182=728 


・9
×10を使おうか
123×9
123が10個より1個分少ない
123×10=1230
これより123少ないから1230−123=1107

9を
〇〇〇
〇〇〇
〇〇〇
3×3と考えてもよく、その場合
123 123 123
123 123 123
123 123 123
上の図のように123×3=123+123+123=369
これが3セットあるから369+369+369=1107

以上のように×2〜×9を計算できる。
ただこれはあくまで一例に過ぎず他にいくらだってやり方はある。
例えば98×7を7が98個と考えて、7が100個より2個分少ないとすることもできる。

九九や筆算もひとつの武器に過ぎない。もちろんそれで解いてもいいしそうでなくてもいい。一番いいのは普段から様々な方法を試して、うまく組み合わせて使いこなすこと。人の3倍のパターンで勉強していれば3倍以上の力がつく。誰にも負けない計算力は試行錯誤の上に身についてくる。

×1けたをマスターしたら100マス計算2ケタ×1ケタ編なんかをつくってみると効果的です。

11から19について

かけ算自体は×10までわかればどんな計算もすることができる。ただ数それぞれの特徴を考えるともっと他の解き方が見えてくる。そちらの方が早いこともそれが役に立つことも多い。今回は11〜19について考えてみる。

11
10個分より1個多い数。
234×11
234×10=2340
2340+234=2574

筆算で2340と234を足してみるとけたが一つだけずれているような形になる。
これがわかっていると暗算でも計算しやすい


12
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
3×4=12を利用してみると
43×12=43×3×4
43×3=129だから
129×4
129×2=258 258×2=516

10個と2個でも考えられるがどちらでも計算できるのが目標。

13
7や11と同じようにかけ算の形に分けることができない。
10個分より3個分多いことを使う。
64×13
64×10=640
64×3=192
640+192=832


14
半分にすることができる。7×2=14
36×14=36×7×2
36×7は
36×10=360
36×3=108
360−108=252
252×2=504

15
〇〇〇
〇〇〇
〇〇〇
〇〇〇
〇〇〇
5×3=15の利用という方法がある
91×15=91×5×3
91×5=91×10÷2
910÷2=455
455×3=1365

また1の位が5の場合、キリのいい数の半分になることも利用できる。
ここでは30÷2=15

91×15=91×30÷2
91×30=91×3×10
91×3=273×10=2730
2730÷2=1365


16
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
4×4=16つまり2×2×2×2=16が利用できる
49×16なら
49×2×2×2×2
=98×2×2×2
=196×2×2
=392×2
=784


17
この数も11や13と同様にかけ算では分けられない数なので10か20と比べるのが簡単。

93×17
93×20より93×3小さくなる
93×20=93×2×10=186×10=1860
93×3=279
1860−279=1581


18
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇〇〇〇
9×2=18を利用してみる
29×18=29×9×2
29×9は
29×10よりも29小さくなる
290−29=261
261×2=522

もちろん20個分から2個分の違いを考えてもいいし、使えるのであれば、29が30と1違うことを利用するのも手。どの方法でも正解だし、いろんな方法で出来ることが一番大切です。


19
13、17同様にかけ算では分けられない数だが20に近いので計算はしやすい。
72×19
72×20よりも72小さくなる
72×20=1440
1440−72=1368


算数はやり方に寛容な教科です。
どんな方法であれ考え方が正しければ正解です。なら算数を学習するみなさんはテストのときはまだしも、練習するときは様々な方法を試してみるべきです。一番いい計算方法は問題によって違います。いろんな視点から数を見られるようにしましょう。

おまけ
11、13、17、19のようにかけ算で分解できない数を素数といいます。
19より大きい素数は、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、97…と続いていきます。逆にいうとそれ以外の100より小さい数はすべて分解できるわけです。また学習しますが、出てきた数についてはどんな数なのか考えるようにしたい。


素因数分解を学習する前に、かけ算での分解を練習してみる。わり算を学習する前に、この数は何でできているのか、かけ算で探してみる。

こうした試行錯誤が後に強い応用力につながります。安易にすべて先に教えてしまうとその試行錯誤が奪われてしまう。

未来ある小学生には、ぜひ試行錯誤する隙間を残しておいてあげたい。それが算数の一番面白くて本質的なところ、そこを経験できないのはとてももったいないですよ。


ここから書きかけ

どうせ覚えるなら平方数を


平方数との差を意識すると暗算力があがる

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