スマートリアン覚醒前夜

齋藤飛鳥というアイドルがいる。

ご存じ、国民的アイドルグループ、乃木坂46のエース格だ。齋藤は今や数少ない乃木坂一期生のひとりだが、実はグループ創成期はそれほど目立つ存在ではなかった。

乃木坂46はシングル毎に選抜メンバー制を敷いているが、齋藤は10枚目のシングルまで選抜メンバーとアンダーメンバー(選抜に漏れたメンバー)を行ったり来たりしていた。中心メンバーであることを意味する、いわゆる“福神”(選抜メンバーフォーメーションの2列目まで)に入ったのは、13枚目シングルが初めてだった。このとき、既にデビューから3年と8ヶ月が経過していた。
その後は28枚目現在まで福神の座を譲ることはなく、この間、3作品ではセンターも務めた。白石麻衣が卒業した今、ファン以外からも知られる乃木坂の顔となっている。デビュー当時、齋藤飛鳥の現在の立ち位置を想像できたファンは少なかったのではないだろうか。


スマートリアンという競走馬がいる。

現在キャリア13戦。もし彼女が齋藤飛鳥になり得る存在だとすれば、そろそろ福神入りの頃合いだ。

前走は京成杯AHに出走し、9番人気4着の激走を見せた。実は密かにそのポテンシャルに注目していた私は、ギリギリまでスマートリアンの馬券購入を検討していた。最終追い切りで坂路自己ベストを更新(たぶん)、覚醒のサインを感じていたからだ。最終的に印を打たなかったのは、高速馬場の中山マイル戦という舞台はやや適性とズレているだろうと判断したからだった。結果はあわや馬券内の4着。あのメンバー相手に適性外の舞台にも関わらず好走したのだとすれば、覚醒の瞬間はすぐ目の前まで来てるのではないだろうか?

過去のレース映像を見ればわかるが、正直あまり見栄えのする馬ではない。走り方のせいだろうか。お世辞にもかっこいい走り方ではない。馬体や走法については疎いので何とも言えないが、単純にまだまだ走りが下手くそで伸び代を残しているようにも映る(知らんけど)。
思えば、今では乃木坂の中でダンスが上手いメンバーの一人とされている齋藤飛鳥も、デビュー直後のくすぶっていた時代の映像を見るとあまりダンスが上手な印象は受けない。成長しながら、どこかで覚醒したのだろう。


来たる今週末の府中牝馬ステークス。覚醒を証明する舞台は東京1800mだ。同舞台は、昨年のスイートピーS(L)でデゼルから0.3差の2着という実績があるが、これは3歳時のもので特に評価はしない。
個人的にスマートリアンのベストレースだと思うのは4走前。ファルコニアと同着だった難波S(阪神1800)。このときばかりは割と上手に踊っているように見える。彼女が最も輝ける舞台は良馬場スローペースの1800mというのが私の見立てだ。だとすれば、近3走はマイルだったり道悪だったりハイペースだったりと完全に適性外。にも関わらず好走したのだとすれば、覚醒前夜どころか既に覚醒している可能性すらある。

では、仮に彼女が覚醒していたとして。得意とするレース展開になったとして。果たしてマジックキャッスルやデゼルやドナアトラエンテと勝負になるのか?

それはわからない。わからないけど私は買う。なぜなら、すべてが分かってからでは遅いから。

橋本奈々未や松村沙友理や星野みなみより先に齋藤飛鳥が乃木坂46のセンターに立つことを、10年前に一体誰が予想できたと言うのか

齋藤飛鳥が齋藤飛鳥になる前に買わなければ何も意味がないのだ!


そして私は言いたい!「売れる前から推してたよ」と!

この瞬間を無駄にはしない
人生あっという間だ
周りなんか関係ない
そうだ 何を言われてもいい
やりたいことをやるんだ
ジコチューだっていいじゃないか マイウェイ

みんなに合わせるだけじゃ
生きてる意味も価値もないだろう
やりたいことをやれ
ジコチューでいこう

乃木坂46 『ジコチューで行こう!』(齋藤飛鳥センター楽曲)より



今回は自分が感じ取った覚醒のサインを信じてみることにする。ジコチューな予想だと言われても。

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