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打ち込み🈲の試合

バドミントンの地区対抗試合が、小学校の体育館で行われることになりました。

私は小6、スタジアムジャンバーが大流行していた頃の話です。

各子供会でチームを組んでいるので、有無を言わせぬ参加でした。

まあ、今年で子供会ともサヨウナラの学年だし、お世話になりましたってことで、ひとつ頑張りますか…と気合を入れて試合に臨んだ私の戦闘力を削いだのは、審判のオッチャンの

打ち込み(スマッシュ)は禁止です

というナゾルールでした。
おぉ〜っと。ではどうしたら決着がつくのぉ〜?

当時小6の自分は、身長が150cm程あり、ぱっと見は大人と変わらない姿形でした。腕も長めで、子供服の長袖が窮屈に感じることがよくあり、婦人服の9号サイズを着こなす事も多かったのです。
そんな子供が本気のスマッシュ…確かに相手は取れないかもしれないです。しかしそれでも試合は試合。
「打ち込み(スマッシュ)は禁止です」とはいかがなものか…。異を唱えられないまま、試合がスタートしました。

最初の試合の相手は、自分より遥かに小柄な子。
ネット越しに「お願いしますぁす!」の挨拶をしただけで、相手の腰が引けているのが分かります。〝大人対子供の試合になってしまう…“  周囲で見ている誰もがそう思ったことでしょう。
そんな空気の中、審判のオッチャンの「打ち込み(スマッシュ)は禁止です」が発表されたのです。コレは酷い(私にとっては)。

このバドミントン大会の開会式で、先に全員に周知されたことならわかるけど、今言うのは酷い…。
〝キメ”をせずに勝つのは逆に難しい。
では、どうすれば勝てるのか…。

①後方のラインギリギリに大きく打って相手を下がらせておいて、次に手前のネットスレスレにポトっと軽く打って、時間的に間に合わないようにして取りにくくする。

②左右後方の交互にひたすら大きくアウトしないギリギリに打ち、振り回すことで疲れてもらう。またたまにネットギリギリに落として取れなくする。

③相手の利き手の逆に打つ場所を決めて、スマッシュにならない速さで、足元・体側ばかりに打つ。
例えば右利きの人なら、体の左側の足元・体側にばかりシャトルがくるようにする。→ミスを誘う。

結局、スマッシュ禁止は全ての試合開始時に言い渡され、①②③を相手の身長に合わせて使い分け、ミスを誘うことで決着をつけるという、もどかしい終わり方の試合をせざるを得ませんでした。



試合の10日程前に、日用品店で安価なラケットを買ってもらっただけの割に意外とセンスがあったらしく、グングンと上手くなってしまい子供相手では負け知らずの自分。体力・持久力に少々問題はあるものの、なんとかオッチャン審判の意地悪なシバリを潜り抜けて、全勝するのでした。
でも、個人戦ではなく地区対抗試合。どんなに一人が頑張って勝ち続けてもチームとしての勝利には繋がらないのでした。

一日中頑張った記憶と、参加者全員をなるべく均等にしてあげようという大人の心配りと、でも試合じゃん、気持ちよく決めさせてよね、というモヤモヤした『わだかまり』が残ったバドミントン大会でした。