いたずら
今日は1ヶ月くらいぶりに祖母の家に泊まりに来ました。
今まで連絡すらまともにしなかったのになぜ急に祖母の家に訪ねたのか、理由はこれといってありません。
強いて言うならば、無性に祖母の顔が見たくなった、というところでしょうか。
あと自由に使えるお金があんまりないからタカろうと思ったくらいかな。
祖母の家に着きました。物語でも現実でも親戚というのはたくさんの食物で出迎えてくれるものです。
戻してしまうほど詰め込んだお腹に
「これも食うか?」
「こんなんあるぞ 食うか」
「半分食えよ」
「具合悪いんか?」
何度も問い詰めてきます。
『お腹いっぱい、これ以上食べれない。明日にでも食べるよ』
何度も応えました。
が、目に付いたもの全て食わそうとするためいい加減次こそ同じ事聞かれたら怒ろう。そう思っているとおもむろに灰色の帽子をかぶり
「この帽子いいだろ。2000円なのが1000円になってた。ガハハッ」
そう言うと帽子をかぶったまま風呂に入りに行きました。
疲れました。
「寝る前にここの電気消せよ夜更かしすんなよ腹減ったらこれ食え暖かくして寝ろそんじゃおやすみ」
私は一日を終える準備を済まし、明日の仕事に備えて眠ろうとしました。
リビングを通りすがると机の上に放置された祖母の携帯になぜだか目が留まりました。
「0歩」
この表記はほぼ全ての様々な機種の携帯に、
何故かもれなく入っている便利機能のひとつ
万歩計です。
私は思い出しました、
祖母は外出する度にやたらと万歩計の数字を自慢してくる事を。
(この携帯はどの程度動かしたら1歩ってカウントをするようにできてるんだろう)
正直知った所でクソほどどうでもいいですが、ただただ気になったので軽く振ってみようと思いました。
1、2歩程度なら許されるだろう(?)と思い、
一度軽く振ってみました。
「0歩」
なるほど、祖母の携帯はそこそこ古い機種です。
きちんと振ってあげないと反応しないのでしょう。しゅっと振りました。
「0歩」
?
反応が鈍いんだろうか……。
思い切ってえいっと振ってみました。
えいっ!!
「9歩」
声が出ました。私はそれぞれ1度だけ振ったはずなんだけど。
「9歩」
なんで?びっくりしちゃった。
古いからなのか?きちんと彼なりの計算の上で出した数なのか?なんにせよ不正解です。
私も祖母も1歩も動いてない。
全ては私の掌の上なんだよ。
はい。
とにかく私はなんとなく罪を犯したような気持ちになりました。
万歩計を見せ付けて
「こんな歩いた!ガハハッ」
と笑う祖母の顔を思い出しいたたまれなくなってしまいました。
しかし、その時一種の悟りのようなものが私に降りてきたのです。
この9歩は嘘の9歩、私だけが知る秘密の9歩。いつか祖母がこれまでの合計歩数を自慢しに来ても、それは嘘の9歩で上塗りされた嘘の歩数だと。
そう考えたらなんだかおかしくなってきました。
そうだ!これはいたずらだ。
かなりささやかないたずら。
私だけがおかしくて私だけが悪い、自己完結したいたずら。
なによりこれによって誰も困ることなんてない!
よくよく考えたら私は人生で一度でもいいからいたずらをしてみたかった。
私はこれまでの人生のうち「いたずら」をしたことがありません。
というより、「いたずら」と称して嫌がらせばかりしていました。なぜなら善悪の区別が普通の人よりも長い間ついてなかったから。
ほどよい「いたずら」もあったかもしれないけど、覚えてない。思い出すのは人を悲しませたり怒られたりしたことばかりで……
嫌な気分になってしまう。なっちゃった。
いたずらはそういうものだといえばお終いだけど、少なくともやりたいことはそういうことじゃなかった。私が面白いことは人が傷つくことなのか?
自分のユーモアに自信が持てず「いたずら」という発想が人生から長らく消えていました。
自分が「いたずら」をしたことが嬉しかった。
偶然とはいえ、私は生まれて初めて自覚をもって無害な「いたずら」をしたんだ。嬉しくて嬉しくて寝る前に日記に記そうと思いました。
明日は祖母は何歩歩くんだろうか……私だけが本当の数を知れる。そんなことが面白く感じてきてしまい、共有したかったんです。ほんとに思いつきで書いちゃったけど大丈夫かな。共有の日記でやること?もう個人ブログとかやってみようかな。怖くなってきた……
というかこれを書くのに2時間くらいかけてる
明日6時起きなんですけど(現在4:00)
いい加減寝ます。お疲れ様でした。
私の万歩計の歩数もいじられてたらウケるな。
私は初めて酒場交換日記を書きました。
マギー&ゲリーです。
下痢と呼ばれてます。(病的な便秘です)
私みたいなものぐさは強制されないと文なんて書けませんでした。
面白い機会をくれてありがとうございました。
多分期待されてたのってこういうことじゃないよね。ごめんね!
はりきっていたら長くなってしまいました。
「祖母が持ってる携帯の万歩計の数を勝手に増やしましたピッピロピー」を伝えるだけでさえこんなに時間がかかってしまう人生ってなんなんでしょうか。
私は命のある短い間にどれだけの事を後世に伝えられるのでしょうか。
というか存在していて大丈夫なんでしょうか。
人生の不安を後書きとしてここから逃げたいと思います。読み返してたら正気に戻ってきました。恥ずかしいのでさよなら。わー
作業用BGM 『Best O'boingo』
oingoboingoの人気曲が17曲入った計1時間16分のアルバム。多分2週したよね。
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