春、ある男が村を建てた

男は自分を村長とし、住人を募っていた。

夏、村には大勢の住民が居た
住民たちは毎日のように夜を語り明かした。

秋、一人の住民が村を出た
住民たちは名残惜しくも別れを噛み締めた。
村を出てはいないものの、家を村に置きつつ、長らく帰ってこない者も居た。

冬、村長が村を出た
思えば前から住民と村長との仲違いは始まっていた。
村長は住民の中から一人の男を新たな村長に任命し、放棄するように村を出ていった。

冬、
新たな村長ははっきりいってこの村の村長には向いてなく、村に大した思い入れもないように思えた。

冬、一人の村の男が街で問題を起こした。
その男は村から追放される形で罰を受けたが、その事件は小さな村の評判を下げるには十分だった。

冬、
村を出入りするものはほとんどいなくなった。

冬、
村には最早片手で数えられるほどの住民しか残っていなかった。


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