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緑十字機

2016年8月15日にテレ朝系列で放送された「ザ・スクープスペシャル緑十字機決死の飛行~誰も知らない"空白の7日間"~」を、今更(2017/1/27)観た

日本人は1945年8月15日の玉音放送を以って先の大戦の終戦日としているが、各戦勝国では当時の日本政府が降伏文書に調印した日、同年9月2日を終戦日とする
8月15日以降、日本国内では様々な曲折があったことは皆々の耳目にかかる通り
そのエピソードのひとつがこの番組

ポツダム宣言受諾の直後から、ソビエトの動きを制するため当時マニラに在する連合国軍最高司令部は一刻も早く日本帝国政府の正式な降伏・武装解除プロセスを完了させる必要に迫られる
そこでマッカーサーは、マニラにて降伏手順を取り纏めるべく日本から調停使節団を派遣せよと敗戦政府に要請する
その重要な空路を担う航空機は、明白に識別せられるよう白色に塗装し胴に緑の十字を描けと仔細に指示した

これが緑十字機だ

8月17日
日本が転回する混乱のさなか、東久邇宮内閣成立

8月18日未明
ソ連政府は留萌=釧路を結ぶ境界を設定し以北をソビエト駐留地域とすべく、樺太及び千島列島への侵攻を開始した
この一事を以って降伏プロセスの速やかな実施が、日本国体護持の最重要件と新内閣は認識する
折しも同日、進駐軍の準備機を厚木飛行場を占拠する反乱軍が銃撃、米乗組員1名が死亡している
新内閣が慌てて選任した軍使が帯びた使命は、

1.天皇勅使としてマッカーサーと会談せよ
2.不敬のことあらば即刻その場で自害せよ
3.国内の擾乱を鑑み可能な限り日時限の延滞を目途せよ

というもの

8月18日0700
海軍一式陸上輸送機及び一式陸上攻撃機をマッカーサーの指示通り塗り替え、木更津から緑十字機一番機に続き二番機が沖縄本島西の伊江島に向け離陸
軍使は伊江島にて米軍機に乗り換えマニラを目指す行程だ

緑十字機の飛行を察知し通行の阻害を企てる厚木反乱軍への陽動を目的として、さらに二機の囮機を発進させた

同日正午、両機は沖縄本島横の伊江島に到着
この、軍使と米軍とのランデブーは短波放送で全世界に生中継されていた

二番機は見事に着陸
しかし、上空の一番機は飛行場を旋回するだけで降りる気配がない
地上の米軍は機の反乱を疑って高射砲の照準を向けた

実は一番機のフラップに異常が発生し、着陸時の制動が効かない恐れが生じていたのだ
それでも手練の機長は強行着陸し、滑走路突端の崖から落ちそうになりながらも着陸を果たし、軍使は米軍機に乗り換えそのままマニラに向かった

深夜まで行われた会談の翌日、8月20日
軍使一行はマニラを発ち夕刻、伊江島の緑十字機に再び乗り換える
その乗り継ぎに際して米兵が、帯同の通訳に土産だと大袋いっぱいのチョコなど菓子を渡してくれた
だが離陸前のタキシングでブレーキが故障し二番機が破損してしまう

同日1830
一番機のみで伊江島を離陸、木更津到着の予定を2330と定める

ところが
この沖縄からの帰路、紀伊半島沖で未聞の異状事態に見舞われる
まさかの燃料切れを起こすのだ

機は片方のエンジンが停止したまま飛行を続けたが、ついに夜間の浜名湖沖で航行不能に陥る
鮫島海岸の長い直線的な砂浜、さらに満月が幸いし、不時着水を試みた結果、またも機長の離れ業で機首は砂浜尾部は海水という、見事なソフトランディング

一行は全員無事で日本の土を踏んだ

後日、近隣の子どもたちがその放置された機で遊ぶと、中に(米兵が呉れた)チョコやキャンディが散乱している
へえ、偉い人たちは飛行機の中でこんなの食べてたのか、と拾い集めたと云う

さて不時着水した8月21日未明

そうそうたる軍人たちが深夜、漁村の乾物屋で茶を出されながら勅使だ東京だと騒ぎたてる
漁民の先導で月明かりの漁村を歩き通し、0320、軍用トラックを徴用しまず浜松飛行場に出発する
このとき軍使一行は救援助力してくれた漁民達に向け、最敬礼した

深夜の連絡に叩き起こされた浜松飛行場は訓練施設でありまともな航空機は払底、故障中の重爆「飛龍」をその直後から必死で修理していた

そして8月21日0630飛龍の修理が完了
一行は0800に無事調布に帰投し、マッカーサー来日のプロトコルを政府に伝達した
緑十字機は鮫島の浜辺に身を横たえたまま、時と海の波間にその姿を消した

のち8月24日

反乱軍が居座る厚木に掃討命令が出される
このとき厚木の反乱軍司令がマラリア再発でせん妄状態となり真っ裸で軍刀を振り回していた
すかさず部下たちが麻酔薬を打って拘束、司令をなんと「遺棄」したらしい
つまり田舎の病院かどこかに放り込んで口を噤んだためその後消息知れず

かかる名機長と勅使を乗せた機が燃料不足などという不行き届きが果たしてあるのかというと、実は緑十字機の搭乗者のなかに氏名不詳の一名の整備員がいるのだ
機長は「事故は自分の不明」とすべての責任を取り、この整備員の氏名素性を明かさず「墓まで持っていく約束だ」と述べたと云う

…というような内容だった


えーっと

なんっだこのドラマ!!
なんでこれ映画化しねーんだよ!
ハリウッド!おいハリウッド!!!クリント・イーストウッドよお!氏ぬ前にこれ撮影しろや!
”永遠にゼロ”な映画観て泣いてる場合かよ日本人!

んで

民放のドキュメンタリーってなんでカスな効果音をいちいち入れんだボケ!!
最初から最後まで延々ゲスい音楽かけやがって!!
だからイヤなんだよ民放はよお
真実は静謐さが一番似合うんだよボケ
黙って事実だけを訥々と提示しろカスが!!

…という話。

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