何が泣かせるのか?

 好きな本のつづき

 第一位は、三浦綾子さん。中学ぐらいの時にはじめて「氷点」を読んで、それまでもたくさん本はよんでいたけれど、衝撃を受けた。

 小説では、なんでもあり、なんだって。全ての展開に驚いた。

 でも、面白い、悲しい、というわけではない。それは描いていない。ただ俯瞰的に日常生活で起こっていることを書いているだけ。という小説なのだが、本当に恐ろしかったし、もしも、本当にこんなことがあったら・・という内容だった。

 ですべての三浦綾子さんの本を読んだ。とにかく、泣ける。泣いて泣いて電車では読んではいけない。

 みなさんも、自分の弱いところ、感動したり泣いてしまうこと、あると思う。中学の頃三浦綾子さんの本に出合ってそれを考えるようになった。

 というのも自分があまりにも泣かなかったからだ。ほかの小説でも泣かない。全く響かなかった。外国の本も日本の本も結構読んではいたけれど、大好きな○○と別れた、亡くなった、あと何年の命、的なものが弱い人もいるだろう。

 夫は、「ルーキーズ」「スラムダンク」などの仲間で一つを成し遂げ、ケンカしたりなんやかんやのあと、優勝?してわーーーっというのに弱い。仲間が好きだから、もちろんワンピースも泣いている。彼は冷たそうだが人情に弱い。海外留学から帰ってくるときのホストファミリーとの別れも、死ぬほど泣いていたらしい。

 そっかぁ。って考えていた。母は、こどもものに弱い。だから普通のドラマで号泣する。こどもがさらわれたりおじいちゃん大好き、とかいっているだけで泣いている。

 父は勧善懲悪に弱い。そう、水戸黄門。そして桃太郎侍など。決まりきったことがすきらしい。馬鹿にしているわけではなく、辛い時代に育っているので(戦争とか)平和が好きなのだ。自分はすぐ怒るくせに

 で、私はなんだろう、なんで感動しないのだろう、と思っていたが、出会ってしまったのだ。「無償の愛」に。三浦綾子さんの「道ありき」から読んでもらえると彼女の自叙伝なので分かりやすいと思う。

 彼女の小説には必ず、無償の愛を持った人が出てくる。全ての人間にちゃんと人格がある。

 このごろの小説は、まるで一人で話しているような小説が多い。人それぞれの個性が区別できていないのだ。自分の考え方を押し付け、結果の最後の最後まで答えまで見せる、というのが今の小説。読む気がしない。

 やはり、本というのは受け取る側が感じるものであり、登場人物の中で好き嫌いが選べ、読んだ後余韻があって、このあとどうするのだろう・・(そのあとなんて無いけど)と考えるのが好き。

三浦綾子さんの本は本当に感動する。優しいのだ。心の底から優しくて恩着せがましくない。無償の愛。返ってくるものを期待していない人。

 彼女は愛する人に感化されてキリスト教信者になったけれど、宗教ものでは決してないと思う。それをきちんとかける人。

 旭川の三浦綾子美術館にもそれだけのために北海道に行った。

 小説家になりたいとも思った。でも人を感動させるものなど書けない。

 私が泣いてしまうのは親子の無償の愛ではなく、愛する他人に「見返りを期待しない人の愛情」だ。泣けて泣けて仕方ない。

ネタバレはしたくないので書かない。けれど、「泥流地帯」もよかった。

 自分が何で感動するのかを、考えてみるのも面白いと思う。

 もちろん、もらい泣きはする。もらいゲロもする。

 でも、感動するのは、無償の愛です。あなたは何ですか?

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