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映画「ファーストラブ」、窪塚洋介の演技は感動もの。

前略 由紀さんの旦那さん、真壁我聞さま

ラストシーン。
あなたの偽りのない愛の深さを感じ、
涙があふれました。

奥さまの由紀さんを優しく包み込み、守る。
幼いころに兄弟となった弟の迦葉に、受け入れる。
トラウマを抱える二人に寄り添うあなたの無償の愛に、
心を深く奪われました。

あなたのような人間になりたい。
そう思わせてくれました。


映画「ファーストラブ」あらすじ

川沿いを血まみれで歩く女子大学生が逮捕された。
殺されたのは彼女の父親。

「動機はそちらで見つけてください。」

容疑者・聖山環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。
事件を取材する公認心理士・真壁由紀(まかべ・ゆき)は、
夫・我聞(がもん)の弟である弁護士の庵野迦葉(あんの・かしょう)
とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。

二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、
由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を
感じ始めていた。

そして自分の過去を知る迦葉の存在と、
環菜の過去に触れたことをきっかけに、
由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と
向き合うことになるのだが…。


家族の愛のカタチを考えさせられる

この映画に登場する3人には共通することがある。
由紀(北川景子)も、環菜(芳根京子)も、
そして迦葉(中村倫也)も、歪んだ家族の愛を、
幼いころに感じている。
3人とも、被害者だ。

やがて成長し、由紀と迦葉は記憶の奥底に封印した。
しかし、環菜は歪んだ家族の愛から自分自身を解放するために
父親に抵抗した。そして、父親は死んでしまう。

核家族化や近所付き合いの薄れ、そしてコロナ禍。
今の日本に進行形で起きている事柄のように感じられた。

端から見れば、幸せそうな普通の家族でも、
声を出したくても出せず、自分の中に抱え込み、
苦しみにじっと耐えている人がいる家族なのかもしれない。
今の日本が抱える問題を炙り出していると感じた。


娘は父親の性癖を忌み嫌う

北川景子さん演じる由紀の過去のトラウマから
世の中のお父さんたちが気をつけなきゃいけないと
感じたことがある。

コスプレやロリータなどの性癖は、
子どもには知られてはいけない。
特に、娘には。

趣味なので、いい悪いは決してない。
違法となるようなことは当然してはいけないが、
例えば未成年者との援交とか、わいせつなどなど、
ある程度の性癖は、認められる時代になってきたと
思っていたが、偏った性癖には注意が必要のようだ。

由紀の場合は父親というよりも、母親にも問題があるが、
子どものころに知った父はロリコンという記憶が、
大人になってもなお、娘を苦しめてしまうと知ったら、
親としては知られないように細心の注意を払うべきだし、
それができないなら、我慢するしかない。

男が見て感じることと
女が見て感じることは、きっと違うだろう。
だから、由紀が抱える幼少期のトラウマは、
共感しづらいけれど、一般的に考えてみれば、
自分と同世代の幼い娘を性の対象として見る父親に対し、
「好き」とはならないことはわかる。
娘を思う気持ちがあるのなら、
「カッコイイ」と思われる父親を演出するのは絶対だろう。


窪塚洋介の演技に感動

「大切だったけど、恋愛ではなかった」

迦葉が由紀に告げた言葉だ。
別れた理由がそれだが、なかなか重い言葉だ。
率直に、切ない。
この映画全体に漂う空気感の正体は、
この言葉が表す「葛藤」なのかもしれない。


映画「ファーストラブ」を映画館で見て
最もよかったと思えたこと。
それは、窪塚洋介さんの演技を観れたことだ。

異兄弟の弟を受け入れ、妻を包み込む。
静かに、強く寄り添う「我聞」。
スクリーンに映る窪塚さんの力の抜けた
その演技には、完全に引き込まれてしまった。

子どもの頃に、迦葉を笑わせるラストシーンに
我聞の人間味が凝縮されていたと思う。

窪塚さん演じる我聞の気持ちを考えていたら、
聞こえてきた子どもの無邪気な笑い声に、
涙が止まらなくなってしまった。

#映画館って本当にいい



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