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SILENT HILL: The Short Message

2024年にKONAMIから無料配信されたゲーム。

朝食を作りながらState of Playを観ていたところ、サイレントヒルの新作で、この後すぐに配信です!と告知された。帰宅後早速プレイしてみたが…。

サイレントヒルとの出会いは小学六年生の頃。ゲーム好きの友人が、どこから手に入れたのかサイレントヒルの体験版をくれた事だった。当時はバイオハザード2を従兄弟から借りて遊んでいたが、それさえも1人で遊ぶのは怖くて弟に隣に居てもらってプレイしていた。そんな子供にとってサイレントヒルは…滑稽に映った。ヘボいグラフィックに腰のひけた体勢で鉄パイプを振り回すおっさん主人公。なんだかよくわからない敵クリーチャーは違和感こそあれ、ゾンビの持つ分かりやすい恐怖感と比較するとシュールでさえあり、体験版に収録されていた市街地のステージでは、バイオの劣化版ゲームだなぁという感想を抱いた。
しばらくほったらかした後に、もう一つの体験版ステージである学校をプレイした。
これがもう、心底怖かった。
背景まで3Dなので、主人公の手持ちライトで暗闇を探索する恐怖は本当に自分がそこに閉じ込められているように感じられたし、敵の接近を知らせるラジオノイズが常に嫌な緊張を強いてくる。
学校ステージをプレイした事で一気に恐ろしすぎるゲームという評価を下し、サイレントヒル体験版はゲーム棚に封印されたのだった。
中学生になり、製品版を購入してなんとかクリアした。その頃には、安っぽく見えたグラフィックも、正体不明の敵クリーチャーも、その全てがサイレントヒル世界を構築するのに最善の表現である事が理解できた。
そのままの勢いでシリーズの新作が出るたびにプレイしていたが、4で舞台がサイレントヒルから離れた事で自分の中で何かが冷めた。そっち行っちゃうの?という気持ちになった。

その後もシリーズは続いた。舞台もサイレントヒルに戻ってきた。でも、何かが決定的に失われたような気がしてシリーズを追う事はしなくなった。それは過剰になった裏世界の表現のせいかもしれないし、アクション偏重になった事が原因かもしれない。ついぞサイレントヒルの看板をつけた別のゲームだ、という印象は覆る事は無かった。

その後P.T.が俄かに世間を騒がせるまで、サイレントヒルを思い出すことも無かった。幸運にもP.T.はオンタイムで遊べた。かなり怖かったし、ついに期待できる形で新作が出そうだという思いも抱いたが、それも叶わぬ夢となり再びシリーズは沈黙を続けることとなった。

沈黙が破られることとなったのは2022年。サイレントヒル2のリメイクと、新作サイレントヒルfが発表された。ジェイムスの顔が大きく変わっているリメイクのトレーラー、和の要素を取り入れたfのトレーラーどちらも興奮を呼ぶものでは無かったが、かつて愛したシリーズの復活には期待を寄せずにはいられない。

前置きが長くなったが、SILENT HILL: The Short Messageをプレイした感想を書いていく。
今回の登場人物は全員ティーンエイジャーの少女。主人公アニタはグラフィティライターの友人マヤから呼び出され、同年代の自殺者が多数出ている廃墟のマンションを訪れる。ふと気がつくとその廃墟の一室で横たわっていたアニタは、マヤを探すべく廃墟のマンションを探索する、というのがストーリーライン。

ゲーム自体はステージを歩き回って情報を集めるだけなのでゲームプレイ要素は薄い。全体的な廃墟の雰囲気と、最後のチェイスパートのゲームバランスは結構良かったと思う。
ただ、全体を通しての感想は「がっかり」だった。ゲームの後半、サイレントヒルとの繋がりを明示するファイルが手に入る。その内容を読んだ時に大きな失望を感じた。個人的なトラウマをトリガーとして世界が変容するのはシリーズに一貫した要素ではあるが、それがサイレントヒルを舞台にして起こる事が不可欠ではないのか。それが一般的な現象として世界のどこでも起きるのであればもはやシリーズとしての意味は損なわれているだろう。

入り込めなかったので、度々出てくる警告もなんだかKONAMIのから騒ぎに感じてしまった。

リリース後のインタビューを読むと、この短編はあくまでも単独で存在するものであり今後の他作品にリンクしないと明言されていた。が、2リメイクは別としても、完全新作のサイレントヒルfは日本要素、女子高生、花のクリーチャーイメージと、現時点では本作との連続性を感じざるを得ない。

この方向性でいくのであれば、シリーズの今後は自分にとっては魅力的には映らないかも知れない。ともあれ、また素晴らしく恐ろしい体験をサイレントヒルで味わえることを願ってやまない。

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