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レーザートーニング?

こんにちは。じょんサラン皮ふ科です。
本日はレーザートーニングの話をしてみたいと思います。

このポストの内容は

「この治療が良いです」とかの内容ではありません。


原理を簡単に説明し、皆さんがレーザートーニングに関してある程度分かったうえで選んでいただきと思い、本記事を作成します。

まず、忙しい方のための3行でまとめます。

1.レーザートーニングの原理は弱い力を繰り返して皮膚に当てることで治療効果が出る
2.あえて特定の機器(1064nm Nd:YAG)を使うのはメラニンに対する吸収度が低いからである
3.比較的に安全な治療であるが、メラニン細胞の活動性(AMC)によっては増悪する場合もある。

シミで悩んでいる方は皮膚科(美容皮膚科)で「レーザートーニング」という言葉を一度は見たことがあると思います。

なんとなく、レーザーを当てるだろう...ということは想像できますが、いざ、普通の「スポット照射」というレーザーもあったりして、混乱することもあるのではないかと思います。

まず、簡単に説明すると、レーザー(光もそうですが)は波長(ウェーブ)を持っていて、波長の長さによってよく吸収される部位や皮膚のどの深さまで届くのが決まります。

【長い波長 a と短い波長 b の例】

詳しい話をすると物理学の授業みたいになるのでここでは省略し、一般的に「レーザートーニング」だと Nd:YAG Qスイッチレーザーを用いて行うことが多いです。

レーザーの種類と吸収度

上の絵をみると、Nd:YAGはメラニン(melanin)に対する吸収度が低いですね。
うん?メラニンにあまり吸収されないなら効果もないのでは?と思いやすいですが、メラニンに対する吸収度が高すぎる治療をすると効果は良いものの、色素沈着やかさぶたができるリスクも上がってきます。
(そうさせないのがレーザーを使用する医師の役目ですが、実践ではそう簡単ではありません)

この色素沈着やかさぶたは時間の経過とスキンケアによって改善しますが、かなりの時間がかかることと、シミを治すために時間と金銭を使ってレーザー治療を受けたのにむしろシミが増えたという問題もありますね。

なのでレーザートーニングは、メラニン吸収度が低い、かつ、皮膚の深いところまでとどく波長をもつ Nd:YAGレーザーを利用して、

「弱く!でも弱い分、副作用を抑えながら頻度を増やして!」
というスタンスでゆっくりシミを消していく戦略です。

先生の中では、
「やはりシミは早く治してあげないと!」と思い、なるべく少ない回数(できれば1回で)の治療を好む方もいるし、

逆に
「治療のために来た人を治療で困らせるのは望んでない」とのことでトーニングを好む方もいます。

どちらが正しいのかはまだ決まってないです。
(どちらの意見も一理あるので私的にはここで何が正しいのかは言えないです)

ただし、いかに弱いレーザーとは言え、皮膚に刺激を与えるのは同じなので、回数が増えれば増えるほど、トーニングを長くすれば長くするほど、色素沈着のリスクと逆に白く色抜けしてしまう‘脱色斑‘の出現可能性は高くなっていきます。

つまり、万能の治療ではありません。

一部の人では、メラニン細胞(色素細胞)の活動性(Activity of melanocytes、AMC)が高い人もいて、1,2回だけのトーニングでも色素沈着が出てくる人もいます。
 ※ 肝斑がしっかりある人はAMCが高い可能性があります。

残念ながら、患者さんのAMCが高いのか高くないのかはレーザーを当てる前に見極めるのは難しく、してみないと分からないことが多いです。
(その理由もあって、レーザーの治療前の同意書には必ず色素沈着の話が入ります)

1,2回のトーニングで色素沈着が出てしまった(いわゆるシミが濃くなった)場合は、内服(ビタミンC、トラネキシウムなど)や、外用(ハイドロキノンなど)、皮膚基底膜の改善治療(Needle RFなど)の治療に方針を変えるのが正しい判断です。

レーザー治療後、明らかにシミが濃くなっているのにずっと同じ治療を繰り返すこともしばしば見ます。

トーニングは効果が出るまである程度の回数が必要であるため、間違ってるとは言えませんが、ずっと同じ治療ばかりだったら一度は考え直した方が良いかも知れません。

本日はレーザートーニングに関してものすごく簡単に説明しました。

ありがとうございました。



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