開業時戦力分析(堀内岳志厩舎・中村直也厩舎)

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上記記事のつづきということで、ここからは2022年新規開業の各厩舎の戦力分析を個別に見ていきたいと思います。この記事では「堀内岳志厩舎」「中村直也厩舎」の新規2厩舎を取り上げます。(上記記事のつづきになっていますので、お手数ですが上記記事を一読よろしくお願いします。)

新規開業厩舎を、「開業時戦力分析」「預託関係(馬主・生産牧場とのライン)」「当面の注目点」というテーマで一口馬主的視点も交えて深掘りしていきます。

では本題へ進めていきましょう。
まずは堀内岳志厩舎から見ていきます。

開業時戦力分析(堀内岳志厩舎)

最初に堀内岳志厩舎を含めた新規開業厩舎の戦力分布表を再掲します。

20220307‗堀内厩舎

堀内岳志厩舎の開業時戦力分析
・登録数26頭、馬房数の1.6倍の登録数(預託数)での船出です。
横並びで比較すると「馬房数の1.6倍の登録数(預託数)」が少なく感じてしまいますが、昨年(2021年)の新規開業厩舎は0.9~2.1倍の範囲でしたので、特別に1.6倍が低いわけではないと見ています。むしろ、1.6倍の規模感は馬房調整や外厩との連携など試し試しでやっていくにはほどよい規模感でプラス材料になる可能性もあるのではないかと筆者は見ています。

・3歳馬(10頭)と4歳以上馬(16頭)の登録状況から、比較的3歳馬に注力しやすい年齢分布だろうと思います。なかでも、これからの時期でプライオリティーが高いのは3歳未勝利馬だと思います。勝ち上がりを決めることが馬主や生産牧場への貢献になりますし、厩舎にとっても来年の戦力確保という意味で重要でしょう。勝ち上がるためには3歳馬に馬房数を割り当てる必要があって、そのバランスを取りやすい頭数&年齢分布なのはプラス材料だと見ています。
・その3歳馬(10頭)はすべてデビュー済(非未出走馬)の未勝利クラス馬です。さらに、5着内賞金を稼いでいるのが現時点で2頭のみです。言い換えると、3歳馬10頭中8頭が6着以下経験しかない馬ということです。現実的に見て勝ち上がりが難しい馬も入っていると思いますし、単純な勝ち上がり頭数だけではなく、勝ち上がれなかった馬の成績中身にも配慮して見ていく必要もあると思います。
※5着内賞金を稼いでいるのが次の2頭です。スクナ(総賞金387万円)、アウゲンブリック(総賞金129万円)。当記事作成時点での確認です。

・4歳以上馬(16頭)に関しても、各馬の現級所属クラスで即勝ち負けを期待できそうな馬は少なく、競走成績においては厳しいものになってしまうかもしれません。ただ、逆に言えば厩舎の腕の見せ所になる可能性もあると思います。私たち一口馬主も、表面上の厩舎成績だけではなく中身(例えば人気よりも着順が上になっているか、など)で見ていきたいと感じます。

・厩舎生え抜き世代となる2歳馬(2020年産)世代についてです。2.5倍上限枠を考えると現時点では登録枠の空きもありますし、スムーズな2歳馬の登録が可能な状況だと思います。ただ、現時点では早期特例登録馬もないためどのような馬が預託されるのかは不明です。

堀内岳志厩舎の預託関係(馬主・生産牧場とのライン)
・続いては預託関係についてです。一口馬主的な注目預託ラインとして岡田スタッド系を挙げたいです。岡田スタッド系(馬主名義ノルマンディー&岡田牧雄氏)で計3頭の預託関係を確認できます。しかも、うち2頭は以下のような転厩経緯です。
クトゥネシリカ(栗東宮厩舎→堀内岳志厩舎へ転厩)
ラマルセイエーズ(栗東森田厩舎→堀内岳志厩舎へ転厩)

引退厩舎ではない厩舎からの転厩ですし、栗東からの転厩ということでオーナーサイドの何らかの意図を感じます。今後も「岡田スタッド系×堀内岳志厩舎」は注目だと思います。

・他では永井啓弍氏から3頭の預託を確認できます。3頭とも引退厩舎からの転厩なので一時的な預託関係の可能性も否定できませんが、こういうご縁から長続きするような事例もあると思いますしここも今後の動向に注目でしょう。

堀内岳志厩舎の当面の注目点
・現有戦力から成績を残すのは簡単ではないと見ています。このため、(繰り返しになりますが)表面上の厩舎成績だけではなく中身(例えば人気よりも着順が上になっているか、など)で見ていきたいと感じます。
・別な見方をすれば、世間の注目度としては高いものにはならないと思いますし、過剰に人気する可能性は低いと思います。ということは、継続的に追って何らかの堀内岳志厩舎の優位ポイントを見つけることができれば出資チャンスもでてくると思いますし、馬券でのチャンスもでてくると思います。

・堀内岳志師は長く二ノ宮敬宇厩舎に所属されていました。時期的に、ナカヤマフェスタやディーマジェスティが活躍されていた時期です。堀内師も二ノ宮厩舎時代に多くのご経験をされていると思います。その経験などもうまく活かして活躍馬輩出に期待です。
※堀内師がナカヤマフェスタを担当されていたことが東スポで記事になっています。
https://tospo-keiba.jp/challenge-fujii-k/10050


開業時戦力分析(中村直也厩舎)

続いては中村直也厩舎です。
こちらも中村直也厩舎を含めた新規開業厩舎の戦力分布表を再掲します。

20220307‗中村直也厩舎

中村直也厩舎の開業時戦力分析
・開業時から32頭、馬房数の2.3倍の登録数(預託数)となっています。開業時としては嘉藤貴行厩舎と並ぶ2.3倍で、2.5倍上限枠を考えると上限数に近いところまで登録枠を活用していることがわかります。
・32頭の登録数は厩舎スタート時としてはもちろん潤沢な頭数でしょうし、外厩への放牧を織り交ぜながら常に馬房が埋まることが予想されます。預託料収入が安定しそうな登録数だと思いますし、厩舎経営的視点では良い材料だと思います。
・一方、登録上限枠(馬房数×2.5倍)を考えると、すでに比較的多い登録数という見方もできると思います。早速、馬房割り当てなどで調整が求められそうで、今後の厩舎出走数や馬房回転率などは特に注目したい厩舎です。

・3歳馬(13頭)と4歳以上馬(19頭)の登録状況についてです。かなり所属クラスが分散していることがわかります。新規開業厩舎は下級クラス馬割合が高い傾向があるので、今回の中村直也厩舎の分散傾向は面白い傾向です。浅見厩舎からの転厩(転入)馬が多いことに起因するものだとは思いますが、こういうのもご縁だと思います。各クラスによって戦い方が少しずつ異なる部分もあると思いますし、そういうのを開業初期から経験積み上げできるのは中村直也厩舎の持っている運の良さかもしれません。

・厩舎生え抜き世代となる2歳馬(2020年産)世代についてです。2.5倍上限枠を考えると残り枠が多いとは言えない現状です。このため、2歳馬世代をどのように登録マネジメントをしていくのかにも注目でしょう。

中村直也厩舎の預託関係(馬主・生産牧場とのライン)
・続いては預託関係についてです。一口馬主的な注目預託ラインはロードHCでしょう。3頭(ロードアクア、ロードラズライト、ロードリスペクト)の預託関係を確認できますし、ケイアイF系中村智幸氏名義ソウルフルハートの預託も確認できます。全4頭が浅見厩舎からの転厩(転入)馬なのでタイミングが合ってのご縁の可能性もありますが、次世代にあたるキープセイク2020(ロードHC募集馬)も中村直也厩舎預託予定のようですし、一定以上の関係性があるものと見受けられます。ロードHC会員は注目でしょう。
余談ですが、同じ中村姓なのでケイアイF中村氏と親族関係にあるのかと思いましたが、師は大阪府出身で周囲に競馬関係者はいなかったという記事がありましたので、たまたまのご縁のようです。
https://www.daily.co.jp/horse/2022/03/04/0015107419.shtml

中村直也厩舎の当面の注目点
・筆者は中村直也厩舎の馬房回転率(出走数)がどのようになっていくのか非常に興味を持っています。さきほども「馬房割り当てなどで調整が求められそうで、今後の厩舎出走数や馬房回転率などは特に注目したい」と書きましたが他にも注目する理由があります。

それは、師が2007年から在籍していた小崎厩舎も、技術調教師として師が学んだ矢作厩舎も、いずれも馬房回転率が高い(出走数が多い)傾向を示す厩舎だからです。さらに言えば、所属馬の転厩元である浅見厩舎もかなり馬房回転率が高い厩舎でした。

2月いっぱいで定年解散となった浅見厩舎のスタッフ、管理馬(36頭中32頭)をほとんど引き継ぐ形でスタート(2022.03.02スポニチ記事)
https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2022/03/02/kiji/20220301s00004000587000c.html

上記のような記事も出ており、厩舎スタッフも馬房回転率が高い(出走数が多い)スタイルでの厩舎運営経験は豊富だと推測できます。
今後、師がどのような方針を打ち出すか次第の部分もありますが、ベクトルは「馬房回転率高めスタイル」で同方向を向いているように見えます。

・初出走週となった3/5・3/6で早速4頭が出走、早速さまざまなクラスへ所属馬を送り出して経験を積み上げています。
リオレ(3歳未勝利)
イッシン(橿原S 古馬3勝C)
ミヤコシスター(古馬1勝C)
ヤマニンペダラーダ(斑鳩S 古馬3勝C)
さらに、ミヤコシスター(3着)・ヤマニンペダラーダ(5着)と人気以上の着順で5着内賞金も獲得できています。

初出走週で4頭出走(14馬房で)ですので「馬房回転率高めスタイル」を踏襲していきそうな雰囲気も感じますが、まだ最初の週を終えたばかりです。引き続き動向に注目でしょう。


今回はここまでです。最後まで読んでくださりありがとうございました!
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