見出し画像

【VALORANT】なぜFNATICのリテイクは最強なのか

英語のVALORANT解説動画で興味深いものを視聴したので、日本コミュニティ向けに書いていこうと思います。


FNCの強み


1. 守り側の勝率58%(2023年度の国際大会に出場したチームにおいて一位)
2. リテイク成功率 42% (同じく世界一位)

VCT史上初の国際大会二連覇を遂げたFNCですが、彼らの強みは守り、そしてリテイクにあるようです。

以降、FNCのリテイクについて分析されたものを解説していきます。


FNCのリテイク

リテイクには3つのフェーズがあります。

1. 準備フェーズ
ラウンド開始前にあらかじめどのサイトを人数をかけて守り、どのサイトをリテイクするか決めておく

2. リテイクの準備
相手がリテイクする側のサイトに進行したとき、もう片方のサイトにいるプレイヤーがリテイクサイトにローテする
 
3. リテイク執行
実際にリテイクサイトにアビリティを使い相手の人数を削り、爆弾を解除する

では、FNCは他のチームに比べて如何なる点で優れているのでしょうか


FNCの優れている点

2023年度のVCTにおいて、FNCはプレイした守備側のプレイ数のうち、64%の割合でリテイクをしており、国際大会に参加したチームの中では9番目で、それほど多くないと言えます。

にもかかわらず、リテイク成功率が一位であるということは、「どのサイトを」「どれくらいの時間をかけて」リテイクをするのかという判断力が、他のチームより優れていると言えるのではないでしょうか。


WHERE - どのサイトをリテイクするのか


結論から言うと、FNCのリテイクサイトは、それ以前のラウンド或いは試合で与えた印象に関係しています。

例1

VCT MASTERS TOKYO FNC (Def) vs PRX (Atk) MAP1 LOTUS RND 5

例えば、1ラウンド目でAメインを人数をかけて強く当たり、Aメインは守りが堅いという印象を植え付けることができます。
この印象がFNCのリテイクに大きく有利に働きます。


VCT MASTERS TOKYO FNC vs PRX MAP1 LOTUS RND 6

次のラウンドでは、AサイトのFNCの選手は引ききってリテイクの準備を既に始め、リテイクを勘づかれないようフェイドのプラウラーを使い存在をアピールします。

その結果、PRXはAサイトの掌握に以下のアビリティを使用します。

1. ゲッコーウルト
2. レイズのペイント弾
3. スカイのトレイルブレイザー(犬)
4. ゲッコーのウィングマン
5. ゲッコーのディジー
6. レイズウルト
7. オーメンのパラノイア
8. ゲッコーのモッシュピット

だいぶ極端な例かもしれませんが、PRXはFNCのリテイクに対して返せるアビリティが殆どないことは明らかで、FNCに十分な有利を与えます。

例2

VCT MASTERS TOKYO FNC vs EG MAP 2 FRACTURE RND 15

こちらはまた別の例で、FNCはAメインを3人で強めに当たりその印象を植え付けます。


VCT MASTERS TOKYO FNC vs EG MAP 2 FRACTURE RND 17

その後のラウンドでは、FNCはまずAメインの奥にスモークを炊くことでEGにプッシュを警戒させ、詰め待ちの体制を取らせます。

その間に、Bメインやパラボラなどのエリアを丁寧にクリアリングし、A攻めを確定させ早くローテする時間が生まれるのです。

例3

VCT 2023 KICKOFF FNC vs FURIA MAP 2 ASCENT RND 1

これはFNCがFURIA戦でみせたKAY/Oのナイフとオーメンのスモークを使い二人でAメインをプッシュする序盤の作戦で、Bサイトにリテイクセットアップを施しています。


VCT 2023 KICKOFF FNC vs LOUD MAP 1 ASCENT RND 1

同大会の決勝でのLOUD戦では、同じようにKAY/OナイフをAメインに刺すことでAメインへの圧を匂わせます。

逆にこれを受けてLOUDは前回のFURIA戦の配置のように、Bがリテイクサイトであると読んでミッドを通じてAサイトを掌握しようとします。うまくいけばAメインをプッシュしている敵を挟めるかもしれません。

しかし、実はキルジョイのアビリティの配置的にこのラウンドはAがリテイクサイトなんですよね。


VCT 2023 KICKOFF FNC vs LOUD MAP 1 ASCENT RND 1

LOUDがサイトに進行したときにはFNCの選手は完全に引ききっており、リテイクの準備に入っています。

FNCはLOUDが前回のFURIA戦で与えた印象を植え付けられていると読み、それが有利に働くような配置に変え、その結果ラウンドは完璧なリテイクで取得しました。

結論

繰り返しになりますが、FNCのリテイクサイトは、それ以前のラウンド或いは試合で与えた印象に関係しています。

前ラウンドで強くプッシュしたエリアのサイトをリテイクサイトに変えたりすることで様々な有利を得てリテイクの成功率を上げるのがFNCの戦い方です。


WHEN - どれくらいの時間でリテイクするのか


https://www.youtube.com/watch?v=jryPAZQce6M&t=717s

これは国際大会に出場したチームにおける「スパイクが設置されてから解除するまでの時間」と「リテイクの成功率」の関係を図示したものです。

興味深いことに、解除までの時間が長いほどリテイクの勝率が高くなるという相関関係が見られます。

ではFNCは具体的にはどのようなことに解除までの時間を割いているのでしょうか。


結論:リテイクに必要なエリアの掌握

これに尽きます。特にFNCは、リテイクが成功することを確約するためにリテイク前にサイトに寄る段階で多くの時間とアビリティを割きます。


VCT 2023 KICKOFF FNC vs LOUD MAP 1 ASCENT RND 1

先ほどのLOUD戦をもう一度見てみます。LOUDのA攻めが確定した後、FNCのBにいた選手は注意深くAに寄り、更にはラークがよくいるツリーやキャットウォークなどのエリアを人数とリソースを割いてクリアリングしていきます。

実際上の場面では、ツリーをソーヴァのリコンボルトを使ってクリアし、その後ショックボルトをキャットウォークに打つとともにキルジョイとジェットが挟み、ラークの可能性を消します。

サイトリテイク時に最初に打つことが多いリコンボルトをこの段階で使うのが特徴的だと言えます。


VCT MASTERS TOKYO FNC vs EG MAP 2 SPLIT RND 11

EG戦のスプリットの一場面です。A攻めが確定した後に、スカイのウルトをAサイト自体ではなく、Aヘブンに使ってレイズを引かせ、エリアを掌握しています。

また、守りのレイズは大回りで裏どりをする形でAサイトに寄っています。もともとAサイトを守っていたブリーチとサイファーは味方が寄るまでにAスクリーンなどのCT側を死守しています。

したがって、FNCは多くのアビリティと時間を使ってサイトのリテイクの配置につくためのエリアを丁寧に取得しているのです。


おまけ リテイク執行時のスキルの使い方


VCT MASTERS TOKYO FNC vs EG MAP 2 FRACTURE RND 17

動画で紹介されていたFNCのリテイク時のスモークです。

攻撃のソーヴァとブリムストーンのウルトが溜まっており、設置後に奥まで引いていることを利用して、Aメインの奥にスモークを炊くことでブリーチを孤立させ挟みうちしています。

普段ならAサイトの手前や解除のためにスパイクにスモークを使うところを、この状況では奥側に炊く判断を瞬時にとれたところも、FNCの根本的な上手さを示しているのではないでしょうか。


まとめ


FNCのリテイク成功率の高さの要因として、「どのサイトを」「どれくらいの時間をかけて」リテイクするのか、の判断の高さが挙げられることを紹介しました。

実際、理解をすること自体は難しくない内容ですが、このようなことを徹底して、瞬時に判断できるチームはそうそういないのではないでしょうか。他にも、まだ見つかっていないFNCのリテイク成功術の要因があるかもしれませんね。

ここまでの内容は全てアメリカのVALORANT考察系YoutuberのPlatoon氏(https://www.youtube.com/@platoonval)の動画(https://www.youtube.com/watch?v=jryPAZQce6M)で紹介されているものです。
ここに載せた内容以外にも、FNCミクロ面での優れている点、FNCのリテイク術への対抗策(動画時間11:56~)などが解説されているので是非見てみてください!


この記事が参加している募集

VALORANTを熱く語る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?