今夜、ロマンス劇場で

1日遅れではあるが、昨晩話題となっていた映画を見た。

「今夜、ロマンス劇場で」

プラトニック・ラブの真髄を見た、という感想を抱いた。
作品で描かれている時代の邦画では、考えられないようなストーリーや結末が印象的だった。

一筋縄ではない、決してハッピーエンドとは言えないような結末。
ストーリーで描かれている、触れられないからこその葛藤や寂寥。
それらを乗り越えたことを彷彿とさせる結末。
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以上が私の胸を打った。

様々な名映画のオマージュを、作中に散りばめているところも遊び心があって面白いと感じた。
例えば冒頭の、元々ヒロインが居た映画の世界。きっとあれはオズの魔法使いのオマージュだろう。
ヒロインが飛び出してくるのも、ローマの休日のオードリーヘップバーンを彷彿とさせる。
落雷がきっかけで、ヒロインが現実世界に飛び出してくるのは、これはバック・トゥ・ザ・フューチャーのオマージュではないだろうか。

これら様々なオマージュが登場したり、作中で邦画がTVに敗北していく様を描いたり、しかし主人公はやはり映画というものに携わるように一生涯を過ごしたり。
数え出すと枚挙に暇がないが、脚本家が主人公に自身を朧気ながら投影していることが感じ取れた。
そして、作中でも触れられていたが、日の目を見ることがなかった様々な作品たちの、ある種レクイエム的な存在となる映画ではないだろうか。

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