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第19期大分リーグ~初配信を終えて ③~

https://youtu.be/-q9qiIcG9kA

決勝戦、最終戦 東3局

親番を迎えた高田は42500持ちの一人浮き

現実的な優勝条件は、9万点を超えてくるとあと一歩となる感じでまだ遠い

他3人はほぼ横並びである

そして、ここで岩村にこの配牌が舞い降りた

最終戦T3岩村配牌

第一ツモが9だった岩村は大人しく1から切り出し、すぐさま下山からでた白をポン

最終戦東3岩村白ポン

さらに

最終戦東3 下山打北

北まで打ち出され、すぐに7待ちの聴牌

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7は山に3枚

この場面、最後の親番というわけではないので、高田からでさえ、なかなかドラの發は切り出されにくい状況なので、自力で暗刻にした場合どうするのか?さらなる打点アップも期待されるが・・・

ここで、岩村が逡巡の間合いで⑨を空切りする

最終戦東3 岩村⑨ スライド

5巡目に打ち出された⑧はツモ切りなため、手牌から打ち出された⑨の意味はスライドが予測される

別のケースでは、聴牌していない状況でのドラをつかんで⑨の対子落とし

その場合、形も悪さも、打点の低さも匂わせる

スライドの場合は、打点の低さまで考えられ、対戦相手にとっては多少攻めやすさが上がる

最終戦の大接戦、親の高田は追い詰められた状況でもあり、岩村が2副露となれば守備力が多少低下していることもあり、機とみて全員アガリをめざしてくるに違いない

【経験と技術】

この舞台で、迷わず繰り出せるこの技術こそが岩村義久という長年培ってきた打ち手のひとつの能力

この⑨の一打の意味を理解してくれる3人だと判断し、細かい技術であるが、効果的な高打点の出アガリ率を上げるという見事な技を披露したのである

最終戦冷静さが光る岩村に対し他3者は思惑通り現物を合わせつつ手を崩すことなく進行させた

服部は、15巡目に聴牌

最終戦東3 服部 さばき

親の高田は、丁寧にうち回しフリテン聴牌

最終戦東3 親 高田 フリテン聴牌

下山は、手が進まない状況の中ドラを掴み撤退

9巡目にドラを暗刻にした岩村は、9が2枚切れともあり8待ちの選択

最終戦東3 岩村 ドラ発暗刻

⑨のスライドがさらに浮彫となり、いよいよ聴牌は濃厚か?

だが、1が第1打に切られているだけに、打点は相当読みづらい

最終手出しが9なだけに、簡単に8は打ち出されそうにないので、変化を考えておきたいところ

この決定打ともなりそうな状況を岩村は冷静に判断し、残りツモ番2回の状況で、待ち望んでいた場に安くなったマンズへの変化、中でも絶好ともいえる四待ちへ変えた

最終戦東3 岩村 四へ待ち変え

四は服部が副露を入れるタイミングで切られた牌だ

最終手番、静かに山に手を伸ばし手元に牌を手繰り寄せた

最終戦東3結果


見事な2000.4000のアガリだ

優勝への手ごたえを感じざるをえない

これで、岩村が原点を超え、大きく優勝へ近づいた


かに思えた

だがしかし、ここに待ったをかけたのが

大分屈指のエース
通称【ライアン下山】である

この決勝、幾度となく視聴者や相手を魅了するアガリを繰り広げてきた

なんとか喰らいつき、優勝への道標を見失っていない下山が東4局岩村の親番でステルス砲を打ち出す

最終戦東4局 下山聴牌

高田が、マンズの一色仕掛けをして目立っており、ここに八をぶつけた下山は聴牌濃厚だが、岩村は下山の闇テンの判断に捕まってしまった

最終戦東4岩村 放銃

最終戦東4 下山あがり

しかし、本当に強いなライアン

優勝という欲が強ければ強いほどリーチをしたくなる

ましてや、親が追いかけている岩村

確かに冷静に考えると待ち牌は両面とはいえ、場に4枚放たれていて、ツモあがりよりロンあがりが期待持てる

岩村から得た直取りはハードパンチがクリーンヒットした形だ

ここで冷静にこの選択ができるのが大分のエース

岩村に負けない引き出しの数々を繰り出してきた下山

この二人の争いに嫉妬さえ生まれてくる

そして、南入

あきらめない、服部高田が場を支配する形となるが結果的にオーラスまで進むこととなった

下山の持ち点は20500 岩村が28300 その差7800

親の岩村は伏せれば優勝(早くて高い聴牌は上がると相手の条件がかなり厳しくなるのであがる可能性はある)

下山は、岩村から4500以上1600.3200以上

服部は、三倍満以上のアガリ

高田は、ダブル役満のアガリ

事実上、岩村と下山の争いとなる

下山の配牌

オーラス下山手牌

ドラがまだ山に4枚十分な材料が整っているようにも思える

対して岩村は、配牌で高い、早いが見込め無いと決断

オーラス岩村3巡江目

丁寧な進行で、降りを進めていく

祈りをこめつつ、山に手を伸ばし手を進めていく下山が聴牌したのが13巡目

オーラス下山聴牌

服部、高田の手は残念ながら手じまいなだけあり、ツモアガリのみだが、六が山に1枚

岩村、下山ともにオーラスを迎えた時点であとはやることが限られ、結果を待つ状況

下山の執念の聴牌

あとは山のどこにアガリ牌が眠っているか?だけである

岩村の優勝が8割弱下山の優勝が2割強といったところなのに

不思議とこのリーチをみると五分に近い状況に見えてしまう

それだけ、今回の決勝というステージのストーリーのクライマックスが華やかであることを示しているのだろう

この残り数巡が異常に長く感じる

固唾を呑む実況解説


「うぁ~」


それは最後のツモ番にいた岩村が持ってきた六を見ての発狂だった

優勝決定瞬間



長きに6時間半に渡った大分リーグ初配信

第19期大分リーグの優勝者が決定した瞬間であった


優勝「岩村 義久」



彼とは他団体所属だったこともあり、私は深く交流がなかった

そのため、実はあまり経歴も知らず、対局前にアンケートを聞いたあとに驚いた

RMU長崎が年間リーグを行った際、Aリーグ7回開催で岡澤さんが3連覇、岩村さんが3連覇、そして岡澤さんが奪還して終わったとのことだった

ほかにも、獲得しているタイトルはあるようだ

そんな方が、大分リーグに参加してくれているとは、つゆ知らず申し訳ないなと思ったし、もっとたくさん打ちたいと思った

以前私がアメブロでブログを書いていたころ、時折コメントをくださり、とても麻雀に対して真摯に向き合っている方だということが印象には残っていたが…

実は、この優勝の後に東3局の發がドラの場面、⑨を手出しの場面の解説の私と浜上が岩村さんの意図を汲み取れなかったこともあり、LINEを頂いた

すごく丁寧に教えてくださった

そのラインもあったことと、岩村さんへの激励をすぐにこのnoteに書き記そうと思った

岩村さんは今回優勝したからというわけではなく、大分リーグに参加して本当に良かったと思っていると仰ってくださった

その言葉がこれまでの9年間を肯定してくれているように感じた


帰りの車中惜しくも敗れた下山は反省しきりだった

下山は大分の代表プロとして、勝ちに拘り続けた覚悟して挑んだ決勝
この1回目の配信で1番勝ちたかったはずだ

もう既に大分の下山矢野柿添はこのあたりの大分代表で出ていくという自覚は持ってくれていると思うが、それを引っ張っているのは下山の存在

我々3人が不甲斐ないから下山に託すしかなかった

下山が口を開いた

車中「あの南よくなかったですね~」と呟いたのだ

それは、岩村の親の連荘中終盤に切った南のことである

開始1時間14分ごろ

https://youtu.be/-q9qiIcG9kA

実は1回戦モニターを追えず、彼の聴牌がフリテンだと気が付いていなかったし、まだ話すのに必死だった

今回、noteを投稿するうえで、何度も対局を見返した

やはり、下山にとってミスといえばその一打の選択だったように思える

一旦手牌に止めた南をあの形で打ち出す下山をあまり見たことがない

だが、自ら強引にこじ開けた部分が多かった下山の技術は秀でていた

優勝した岩村もミスがなかったというわけではないが、組み立てのうまさと大事な局面でのアガリ逃しは全くなく、隙も少なかった

特に細かな技術に長けていたし、公式ルールにしっかり適応していたように思える

我々大分地区の選手たちにとって起点でもある、今回の配信対局

大切な仲間たちによって支えられ、作られた
そして素晴らしき選手たちによって対局が行われることとなり素晴らしい起点となった

それぞれがスキルアップを図り今後へむけ励んでいきたいと思う

拙い文章ではございましたが、最後までご覧いただきありがとうございました


日本プロ麻雀連盟九州本部
TEAM 大分  バイキング塚本

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