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「個性」が売りのコンテンツで「最も個性が無い子」のおはなし

はじめに

この記事は「#跳ねろマイウェイ矢口美羽」一斉投票企画へ寄稿する記事です。


アイドルマスターシンデレラガールズは「個性」の物語でもある

どうもこんにちは、J@Qです。
皆さんは「アイドルマスターシンデレラガールズ」をプレイしていますか?
通称「デレマス」は沢山のブランドがあるアイマスシリーズの中でも最多の人数を抱えており、190人もののアイドルがこのコンテンツに集約されています。
そんな「デレマス」のキャッチコピーといえば……。

モバイル版「アイドルマスターシンデレラガールズ」、モバマス初期の広告バナーより

「変なアイドルがいっぱい登場!」などの「個性」を軸にした宣伝でした。
そうなんです!このコンテンツにはとにかく色んな子がいます。
平たく言えば年齢は9歳から31歳まで、身長は127cmから186.2cmまで居ます。現実にあるコミュニティでここまでの幅を持ちながら190人も抱えるような団体はそれこそ少ないんじゃないでしょうか?

進撃の巨人もアイドルマスターシンデレラガールズだからね

オニャンコポンもこう言っている通り、「いろんな奴がいる」という楽しさをキャラクターを多く抱えて最大限楽しめるコンテンツが「アイドルマスターシンデレラガールズ」だと私は考えます。

アイドルマスターシンデレラガールズに於ける「個性」とは具体的に何を指すのか

さて、デレマスの”個性の良さ”を説明したところで「個性」とは具体的に何を指すのでしょうか?

私が考えたデレマスに於ける「個性」は以下の項目が挙げられます。
①年齢
②身長やスタイル
③夢や経歴
④出身地
⑤見た目

①に関しては龍崎薫ちゃんや市原仁奈ちゃん、横山千佳ちゃんなどのほぼ娘の年齢に近い人もいるはずの最年少9歳組や、高橋礼子さんや柊志乃さんなど、学生にとっては干支一周分程違う最年長31歳組が目立ちます。

②の身長は最も低い127cm横山千佳ちゃんから最も高い186.2cm諸星きらりちゃんが目立ちやすく、スタイルで言えば具体的な数字も目立つ対象になりますが佐藤心さんの「ぼんっ/きゅっ/ぼんっ♪」や夢見りあむちゃんの「
でっかい/ふつう/たぶんふつう」も目立つ対象になるでしょう。

③の夢でいえば渋谷凛ちゃん、工藤忍ちゃんなどなど「トップアイドル」を目指す子は「総選挙」というイベントがある以上応援したくなる特徴ですし、経歴で言えば川島瑞樹さんの「元アナウンサー」などの目立つ職業から大石泉ちゃん・土屋亜子ちゃん・村松さくらちゃんの「幼馴染」という間柄も、身近ながらそんな3人がアイドルを目指すとなれば見る目は変わりますよね。

④の出身地はナターリアちゃん・ライラさんをはじめとした海外組や、北海道や沖縄の気候的暮らしの違い、東京が中心のコンテンツ故に東北や近畿、九州というコトバの特徴も特色になります。

⑤最後の見た目は好き好きですが、神崎蘭子ちゃんや二宮飛鳥ちゃんに於けるファッション性イヴ・サンタクロースちゃんなどの目立つ髪色もアピールポイントと言えるでしょう。

アイドルマスターシンデレラガールズで最も個性の無い子、矢口美羽。

さて、前置きが終わった所でタイトル通りのお話をしましょう。そんなデレマスで「最も個性の無い子」を私は担当しています。名前は「矢口美羽」ちゃんです。

彼女の詳細なプロフィールはこちら!

彼女を先程の具体的な個性に合わせて紹介していきます。
①年齢は14歳(おそらく中学二年生)で普通、それに加えてデレマス14歳組の個性はただでさえ強いので少し埋もれてしまいがちになります。

②身長やスタイルは150cmで小さめデレマスでは標準的な体型となります。
U149という149cm以下のアイドルがクローズアップされるコミックスが発表された時に頭を抱えたのを覚えていますw(とはいえ年齢的に小学生がメインのコミックスへの出演はそもそも難しいですが。)
標準的な体型、といいましたが彼女はスタイルがいい方です。しかし14歳という年齢の以上、あまりスタイルを全面的に押し出す仕事は任せない方針でもあるはずです。ナターリアちゃんや神崎蘭子ちゃんのような同年齢でも突出したスタイルの例は別として。

水着の仕事も2度あれど、「セクシー」ではなく「元気!」という印象が強いはず。


④出身地は千葉!……うん、筆者が千葉県民なので言いますが「他の地域に比べたら薄味」と言う事に留めておきましょう。
最後に⑤見た目ですが、黒髪&お団子は現実でもかなり居るラインでしょうし、ファッションも目立つ方ではありませんね。

こういう子、持っているケータイをスマホに代えればどこかで見た事ありませんか???

はい、③を一旦飛ばしましたが、彼女はどうでしょう。「個性」が無い子だと私は思います。こればっかりは嘘はつけません。
「おいおい!総選挙中に担当プロデューサーがネガキャンとかあり得ないだろ!」と思ったそこの貴方!ブラウザバックと引用RTはまだにしてください。

矢口美羽はアイドルマスターシンデレラガールズの11年間で何を掴んだか。

確かに彼女は「個性」がありません。しかし、私は矢口美羽を「アイドルマスターシンデレラガールズの11年間で最も個性が成長したアイドル」と断言します。誰に何と言われようが、矢口美羽が一番おもしれー女だと私は疑いません。それを高らかに主張する理由はこちらのカードです。

2020年8月10日実装の「はつらつムードメーカー」矢口美羽

「面白すぎる、なんなんだこのタスキは!」と叫んだことを覚えています。このように、「普通の中学二年生」には誰も着られない衣装を彼女は引っ提げて登場したのです。これは彼女に何らかの「個性」がある事を証明しているのではないでしょうか。

この記事では、「個性」が売りのコンテンツで「最も個性が無い子」が、どのようにしてタスキを付けるまでに「個性」を身に着けていったかをおはなしします。

「個性の無い子」の14歳までの人生

ここからは先程飛ばした③の話を中心にお話します。
さて皆さん、いきなりですが中学生の頃に「夢」ってありましたか?私は小学生の頃に「プロ野球選手」と高らかに宣言した事を中学生になって必死に忘れようとしていたことを覚えていますw
小学校という地域の小さいコミュニティーからさらに範囲が広がった中学校に行って自信を無くす、なんてよくある事ですよね。
それを跳ねのけてヒーローを目指す南条光ちゃんや自らの趣味の世界を更に広げる池袋晶葉ちゃんはだからこそアイドルとして輝くわけですが、矢口美羽は残念ながら何かを目指して、アイドルに昔からなりたくてアイドルを志望したわけではありません。このセリフをご覧ください。

デレステのノーマルカードの特訓コミュより抜粋
カッコいい先生って誰ですかくわしく

「将来の夢に同じことを書いたことが無い」。皆さんも経験がありませんか?何となく好きになったものを夢にしてみて直ぐに忘れたり、趣味や特技という欄に書く事が分からなくて迷ったり。この点においてはアイドルではない私達と何ら変わらない経歴を持っていると言えるでしょう。

そんな彼女がアイドルを目指した理由とは!?というとこちらです。

デレステのメモリアルコミュ①より抜粋

ハッキリ言いますと、この時点ではアイドルという夢も先程の先生のように「何となく好きになったものを夢にしている」のと僕は変わらないんじゃないかな、と思います。友達との思い出が夢になる、何ら珍しい話じゃありませんよね(LIVEでアイドルに憧れたんじゃないんかい!というツッコミどころはありますが・・・)
さてここで、本日で二周年を迎えたSSRカードの特訓前を軸にお話ししましょう。

矢口美羽と「友達」の関係

このカードが実装された際に特に目立ったのは「友達」の存在です。恐らく校門前?で変なポーズをしている彼女達はいわゆる「モブ」であるはずなのですが、今回はビジュアルまでハッキリ書かれています。

[センター・オブ・ストリート]城ヶ崎美嘉

[センター・オブ・ストリート]城ヶ崎美嘉というカードを持ちだすと違いは分かります。美嘉ちゃんは紛れもないカリスマで後ろの憧れる高校生たちは霞むように目などが無く簡略化して描かれている事が分かります。

では、矢口美羽の友達は何故ビジュアルまではっきり書かれているのでしょうか?私が思うに理由は二つあります。

①かけがえのない友達である事の証明
②三人は同じラインに立っているという比喩

まずは①かけがえのない友達である事の証明 について。この二枚のカードを例に挙げて話します。

[おともだちキャロル]赤城みりあ
[我龍天征]向井拓海

先程、美嘉ちゃんの例を出して所謂「モブ」は細かく描かれないとお話しましたが例外があります。それは「友達」です。
この赤城みりあちゃんのカードは彼女がプロデューサーのお迎えが来るまでの時間で友達と仲良く話している事を示し、向井拓海ちゃんのカードでも拓海ちゃんが屋上で黄昏ている際に友達が部活動をサボって(言及アリ)、彼女と話をしに行くという「かけがえのない友達」の存在が伺えます。
という訳で矢口美羽の友達のお二人もこの例のように、それだけ美羽にとってかけがえのない存在であることが伺えます。美羽がアイドルを志すきっかけになったライブに行ったのも恐らくこの3人、そりゃあ思い入れは深いでしょう。

劇場でもなかよし!

そして、②の三人は同じラインに立っているという比喩 のお話。
「ぶっちゃけこのカードで目立ってるのって美羽じゃなくて後ろのちょっと日焼けしてる子じゃない???」という声があるくらいに周りが目立つカードでもあった特訓前。私は「特訓前」というだけあって、この姿は矢口美羽の学校での様子をそのまま切り取ったカードであると思っています。
先ほども言いましたが、「矢口美羽はアイドルマスターシンデレラガールズ最も個性の無い子」であり、「学校でもそんなに目立つタイプではないんじゃないか?」という所まで推測します。

今までの矢口美羽と友達の話をまとめると「矢口美羽の友達はかけがえのない存在であり、それぞれがどの学校にもいるちょっと目立つグループの一人」であると私は結論付けます。

アイドルになるのは夢物語だった彼女が友達と喜びを分かち合っている所、見たいですよね……。

友達と離れた矢口美羽はアイドルになっていく。

その後、矢口美羽はアイドルのオーディションに合格し何とかアイドルになりました。すると、オーディションの先に待っていたのは先程も申し上げた通り、「アイドルマスターシンデレラガールズ」という個性の塊集団です。全員が何らかの武器を持っています。
そんな世界へ矢口美羽が持っていった武器は「クラスのムードメーカー」という肩書でした。
あまりにもキツすぎる!!!
あの世界でその肩書一つじゃどうしようもありません。それこそもっと目立つアイドルならサブの武器として持っているくらいの個性でしょう。
そこで矢口美羽とプロデューサーは彼女自身の個性を見つける為に必死にインプットをする事になります。

モバマスのシンデレラヒストリー「跳ねろ、みうさぎ!」より抜粋

美羽はこのように自主勉として他のアイドルの映像(この時は上田鈴帆ちゃん、本田未央ちゃん、高垣楓さん)を見て学び、プロデューサーはサンセットノスタルジー(他メンバーは本田未央ちゃん・松山久美子さん)というユニットで年齢層の違うアイドルを組ませてみたり、ハワイや川に連れて行ったり……。

モバマス、ノーマル矢口美羽の台詞より抜粋

このように時折友達と離れていってしまう寂しさを吐露しつつ、矢口美羽は必死にアイドルとして奮闘します。

[悩めるお年頃]矢口美羽

悩めるお年頃というカードでは真剣にこのウサギの着ぐるみを着るか着ないかで悩んでいる描写がありますが、アイドルになって個性を探している途中のカードとして見るとこの真剣な表情の理由も伝わってくると思います。

矢口美羽の努力を周りが認める

そうして彼女が努力をするうちに、周りのアイドルや関係者は彼女の良さを認めるようになります。その良さは二つあると思います。
まずは①友達が大好き という点。
アイドルになっても彼女は中学校の友達を連絡を取って励まし合っている事が確認されています。

こうして励まし合えるのは彼女の「趣味:メール」が活きていますよね。
そして友達は中学校のみには留まりません。

「加奈ちゃんさん」と呼ぶこともある年上の今井加奈ちゃんや師匠と呼ぶ高垣楓さん、同年齢に近い所で言えば"幸せを届ける"仲間のブエナスエルテの二人。その他沢山のアイドルと交流があって学びの機会があるのは初期登場の美羽だからこその特権ですよね。

次に②クラスのムードメーカーという特徴ですが、アイドル活動を続けていくと彼女はクラスに留まる存在ではなくなっていきます。彼女は事務所の盛り上げ役でもあり、バラエティー番組でも切り札として数えられるくらいのムードメーカーに成長しました。

先程の友達を大事にする姿勢が周りに広がり、ファンからすれば「滑っていても頑張っている事が魅力」と捉えて貰ったり、アイドル同士で美羽の事を応援してくれる子がいるレベルにまで彼女の努力は"微笑ましい迷走"として位置づけられています。会場の雰囲気を変えるアイドルとして、画面的に目立つアイドルでは無くても彼女は信頼されているのです。

個性を見つけようとして必死に頑張る中で矢口美羽が見つけた「個性」とは

さて話も終盤に差し掛かります。結局矢口美羽が見つけた結論は一体何でしょうか?彼女はこう話します。

[悩めるお年頃]のデレステ特訓後コミュより抜粋

そう、「大好きなものを大切に自分で歩んでいく」という結論です。
先程まで私が話した「個性」が一切無い、という話は嘘っぱちです。タイトルも誇大広告です。彼女には個性がありますね。
①友達が大好き
②クラスのムードメーカー

という2つです。
矢口美羽は最初から個性を持っていました。それに私も美羽も気付いていなかっただけなのです。

[はつらつムードメーカー]矢口美羽

そして2020年8月10日に実装されたSSR衣装の特訓後には[はつらつムードメーカー]という名前が付けられて皆さんの手にも届く初のSSRカードとなりました。1枚目のSSRは「アイドルの名刺」という側面が強い以上、このカードこそが2011年から2020年まで彼女が築いたアイドル像と言えるでしょう。この衣装は恐らく、アイドルになったばかりの彼女に着せても説得力の全くない衣装であったでしょう。

しかし、「勢い全開なアイドル」として知られて「ギャグちみう☆」としてムードを作り、「今日はきめます!」と気合いを入れて「トーク1番を目指して頑張ります!」というタスキを背負う事に最早何の違和感もない唯一のアイドルとして彼女は輝いています。

矢口美羽はアイドルマスターシンデレラガールズで唯一の個性を持ったアイドルだと私は断言します。

矢口美羽の11年間は始まりでしかない

モバマスより8月8日に通知されたお知らせより。

さて、この記事を書いている途中に記事内で「モバマス」と呼称していた「アイドルマスターシンデレラガールズ」はサービスの終了を発表しました。普通のゲームであれば彼女達の物語はここで終わり。矢口美羽に至ってはボイスもつかずに総選挙でも結果を残せず、悲しい結果と言えるでしょう。
しかし!アイドルマスターシンデレラガールズにはその意思を引き継ぐ「アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ」というアプリがあり、アイドルマスターシンデレラガールズが綴った矢口美羽の物語はスターライトステージで変わらず描かれます。

彼女が取り組んだ全てに意味があり、また形を変えて我々を楽しませ続ける事でしょう。

「はつらつムードメーカー」がこれからも自らの道を跳ねられるように、その道を用意する為に、現在行われている「Stage for Cinderella Aグループ」にて皆様の一票をよろしくお願いします。
最後は矢口美羽の台詞で締めます、それでは!

各画像はモバマスのシンデレラヒストリー、「楽しい迷走」より抜粋

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