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吉田正尚選手を本当に放出する場合、その穴を埋められる選手は誰?

はじめまして。初noteです。

※このnoteは結構な吉田正尚選手プロパガンダ要素を含みます。

 さて、BOSファンなら、「Yoshidaは年俸も高いから放出して、代わりにもっとホームランが打てる(もっと長打力がある)右打者を獲得しよう」という声は聞いたことがあるでしょう。
 熱烈な吉田ファンの私も、この意見には同意せざるを得ない部分もあるというのが正直なところです。ロースターに左打者が多すぎるのは事実ですし、Devers, Duran, Casas, Abreu, Yoshidaの中で年齢などを考えると放出の筆頭候補が吉田選手になってしまうのも仕方ないところかもしれません。ホームラン数についても確かに少なめです(私自身はそんな吉田選手の打撃のスタンスが大好きですが)。
 一方で、年俸はオファーされたもので選手には関係ないだろと思っていますし、そして何よりもボストンの吉田正尚選手を来年も見たいと思っていますが…

BOSの打撃陣の問題点は?

 ご存知のように、ボストンのチーム打撃成績はかなり良好です。MLB.comによると、チーム打率MLB5位(.254)、チーム出塁率8位(.320)、チームOPS5位(.749)、チームHR数8位(188)、チーム得点数10位(713)となっています(9/18時点)。こう見ると、問題点は打線が左打者に偏っている点くらいしか無いようにも思えます。
 しかし、もう一点重大な問題点があります。それはズバリ三振数です。チーム三振数は1463でワースト3位。BOSファンの方なら、ノーアウト2塁やワンアウト3塁の場面で三振したり、チャンスで連続三振といったシーンを今年は山ほど見たことでしょう。長打と引き換えにある程度三振を喫することを許容するのは悪いことではないですし、むしろ最近のトレンドだと思います。しかし、それにしてもこの三振数は少し多すぎるようです。
 Savantを覗くと、ボストンの野手のK%は軒並み平均レベルかそれ以下で、平均以上の選手は吉田選手が堂々の上位96%(12.5 K%)、あとはDanny Jansenも平均以上(18.7 K%)となっています。とはいえJansenはレギュラーではないですし今オフにFA。この状況で安易に吉田選手を放出し、HRはたくさん打てるが三振も多い右打者でその穴を埋めようとすると、三振数MLBワーストも見えてきます(ちなみに今年のワーストは9/18時点ではSEAの1523)。

吉田選手の穴を埋められる右打者は?

 本題に戻ります。ここからは候補となる選手をFanGraphsで探していきます。大前提として、吉田選手を放出してまた(ただでさえ偏ってる)左打者を獲るのはアホなので、候補は右打者で探っていきます。

 まずは吉田よりもホームランを打てるという条件から。吉田選手よりもホームランが多いというと、シーズン20本以上が一つのラインになってくるでしょうか。吉田選手の昨シーズンのHR数は15本で、今年は10本ですが、今年についてはケガによる欠場で打席数が少ないことが影響しています。HR/PAは2023年も2024年も.026と全く同じ値なので、今年もケガがなければ15本前後は打っていたでしょう。
 シーズン20本以上の右打者という条件なら山ほどいるだろうなと思いながらFanGraphsで調べてみると、予想どおり今シーズンここまで20HR以上の右打者は40人もいました。めんどくさいので敢えて名前は挙げません(おい)。

 しかし、先程も書いたようにHR数だけに注目しているとチーム三振数が爆発する可能性があります。なので次は20.0 K%以下で20本以上打っている右打者を探してみました。20%にした理由は20.0 K%がSavantだと丁度上位60%になるので、これくらいなら許容範囲かなと勝手に思ったからです。

 ところで、吉田選手のK%ってどれくらい良いのかなと思ってついでに調べてみました(脱線)。結果は350打席以上の選手の中でMLBトップ9位。流石です。条件を350打席以上にした理由は、吉田選手がケガの影響で今年まだ392打席しか立っていないからです。

350打席以上。昨日までの時点では吉田選手のwRC+は121でした(120切ってちょっと見栄え悪くなっちゃった)。

 脱線しました。それで20.0 K%以下で20本以上打っている右打者は、Witt Jr., Guerrero Jr., Machado, Bregman, Semien, William Contrerasの6人でした。わずかに条件に満たなかった選手としては、20本以上でK%が20.1-21.1の右打者が5人(Perez, Nick Castellanos, Chourio, Ryan Jeffers(MIN), Spencer Steer(CIN))、20.0 K%以下で18-19本の右打者が5人(Altuve, Springer, Paredes, Trea Turner, Will Smith)でした。一度は名前を聞いたことがある選手ばかりですね。あと調べていて驚いたのはBetts選手のHR数が17だったこと。骨折による欠場で打席数が昨シーズン(39本)の3分の2くらいであることを加味してもやや少なめのようです。

HR数だけでいいの?

 さて、今挙げた20.0 K%以下、20本以上の右打者のなかには吉田選手よりもwRC+が低い選手もいます。いくら吉田選手よりHRが打てても、wRC+が低ければ吉田選手より「(HR関係なく全体的に)打てる」とは言い切れないわけで、これでは穴が埋まったり戦力アップにつながるかは分かりません。ということで今度はwRC+にも注目してみました。
 吉田選手のwRC+が現時点で119ですから(昨日までは121だった!!!)、吉田選手より打てると確実に断言できるのは125 wRC+からでしょうか。(K%もHR数も関係なく)125 wRC+以上の右打者(350打席以上)は20人。ちなみに120-125 wRC+の右打者は5人。
 さらに20.0 K%以下で125 wRC+以上の右打者(350打席以上)は、Betts, Guerrero Jr., Witt Jr., Altuve, Trea Turner, William Contrerasの6人。20.0 K%以下で120-125 wRC+以上の右打者(350打席以上)はAlec Bohm, Jose Miranda(MIN), Machadoの3人。あと、わずかに条件に満たなかった選手が5人(下記画像)。

(20.0 K%以下、20本以上のやつも表にすればよかったですね…今気づきました、すみません。めんどくさいのでもう作りません)

結論は?

 最後です。吉田選手の穴を埋められる右打者はどんな選手か。それは、吉田選手よりも全体的に打てて、HRも打てて、三振もそれほど多くないバッターでしょう。これらの条件を数字に落とし込むと、今までの条件をすべて合わせることになります。すなわち、125 wRC+以上、20本以上、20.0 K%以下の右打者を探します。これらの条件を完全に満たす選手は3人しかいません。Bobby Witt Jr., Vladimir Guerrero Jr., William Contrerasの3人です。あと、個人的にわずかに条件に満たない選手も何人かピックアップしてみました(下記画像)。

吉田選手の穴を埋められる右打者はズバリこれだ!

終わりに

 えー…意気揚々とピックアップしてみたんですが、どの選手もMLBを代表する選手ばかりで、多くの選手が長期契約を結んでいて今オフFAの選手はいません(探した意味!)。まあ仮にFAだったとしても、このクラスの選手を獲得するにはとんでもない額のお金がかかりますが。
 しかし、これら以外の右打者だと、(少なくともある程度三振数を抑えられるバッターという条件の中では)吉田選手よりも明らかにプラスを生み出せる選手はいません。とはいえ同じくらいの打力の選手でも左右を交換できるだけでボストンにとっては結構助かるような気もしますが。
 今回調べていて痛感したのは、やっぱりある程度のコンタクト率を保ちつつ、長打力や(全体的な)打力も高めるのはかなり難しいことで、吉田選手はこれらをある程度両立できている数少ない選手のうちの一人なんだなと感じました。
 吉田選手は好調の時にはメジャートップクラスの打者の一人ですし、簡単に三振したり凡退せずに(結果アウトだったとしても)全体として良いAt Batを作れたり、状況に応じてProductive Outを生み出せることで、吉田選手が打線にいる時といない時でチームとしての打線に違いや厚みを生み出すことができるのは現地ファンも認めるところです。個人的には、来年もその打撃力でチームの勝利に貢献する、ボストン・レッドソックスの吉田正尚選手が見たいと思っています。

Limitation

 今回やった探し方は結構穴まみれでもあります。まずは、DHは打撃が全てなんだから三振なんてどうでもいい、ただ長打力(パワー・HR数)・打力だけが欲しいという意見。至極真っ当な意見だと思います。反論の余地もありません。チーム三振数の多さなんて他の野手で解決すればいいのです。ボストンのAAAには、コンタクト重視のバッティングができる選手として現在GrissomとChase Meidroth(AAAで今年550打席で12.7 K%)がいますし、ロースターにも若い選手が多く、彼らのK%は今後ある程度の改善が期待できます。吉田選手よりも(三振関係なく)ただ打てるという選手だと、130 wRC+以上の右打者(350打席以上で16人)、あるいは125 wRC+以上の右打者(20人)が補強の候補になってくるでしょうか。それでもあまり候補は多くはありませんね。
 他にも、今年の成績しか見ていないという点。今年はたまたま不調な選手や、ケガで打席数が足りない選手もいるかもしれません。また、HR, K%, wRC+のみに注目した点。他にも注目すべき指標は多分あります。そして今回はStatcast系の指標にも全く手を出していません。

※このnoteは9/18の夜から9/19の午前中に書いたもので、登場したデータは日本時間9/18の朝の試合(現地9/17の試合)終了後のデータです。

※サムネイルはレッドソックスのインスタグラムから

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