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完全に心が折れてる良い年した僕が、3ヶ月でさいとうなおきを倒そうと頑張る話

追記:捕捉されました


結論

結論から言うと、最初の絵がこれ↓で

最初の

最近描いた絵がこれ↓

アンジェ

倒せはせんかった。でも間違いなく上達はしたと思う。ぶっちゃけると、さいとうなおき先生が提唱する3ヶ月練習法は完遂できてません。ただ、かなり色々参考にさせていただきました。

さいとう先生の例の動画はこれ↓

僕がどんな感じで練習したのかをご説明します。

どうして絵を描こうと思ったのか。

正直なところ、僕の練習法はあんまり参考にならんと思います。

というのも、僕が現職でデザイナーであるため、知識や技術に偏りがあるからです。主にwebまわりのデザインとか、保険屋さんの資料みたいな、かた~いデザインを仕事にしています。それ故、色に関する知識は多少なりともあります。

が、絵に関しては全くダメ。素人です。

高校生くらいまではノートに落書きしたりするような、お絵描き大好きな子供でした。(下手の横好きレベルのものです。察してください)大学でデザイン系の大学に進学したものの、絵のうまい人が多すぎて挫折。ちょっとだけプログラミングを勉強してweb業界に来ました。

大学四年間、僕は一年生のときのデッサン課題以降、全く絵を描いていませんでした。そのデッサン課題ですら酷い成績で、当時教授に言われた「君には世界がこう見えてるんだね」という遠回しな台詞はいまでも忘れられません。思い出すだけで吐きそう。

そんな僕がなぜ今更トラウマだらけのイラストを描きはじめたかというと、友人の影響です。その友人は僕とは違い一般的な四年制大学に行って、趣味でイラストを描いています。この友人がめちゃくちゃ絵を練習していて、素人同然だったのに今では方方に絵の提供したりなんだり……。(しかもすごいのは、この友人は色覚異常があるにも関わらずきれいなイラストを描いてるんですよ!すごい努力)

この友人が「液タブほしいなあ」とTwitterで言っているのを発見。そういや、まだ夢と希望に満ち溢れていた頃に13万円する液タブ買ったまま放置してたなーと思い、「4万くらいで譲るよ~」と言って譲りました。そしたらその後、心の内側で「絵を描きて~~~~~~」という感情がムクムクと起き上がり、描いてみようと思い立ちました。もう液タブ無いのに

前置きの長い記事ってクソじゃないですか? そろそろクソ記事になりそうなので本題に移ります。

1日目~1ヶ月

「絵描きて~~~~~~」と思って検索をかけたら、さいとうなおき先生の動画を発見。さいとう先生って絶対に人をバカにしないじゃないですか。優しいんですよ。「絵を描く」っていうメンタルがすげー形成されていくのを感じました。マジで心強かった。

特に心強かったのが、「下手な絵でもとにかく描かんことには始まらん」という気持ちができたことです。「そうか、俺って昔は上手い絵が描きたいんじゃなくて、そもそも描くこと自体が楽しかったんだ!」と気付いて泣きました。泣いたってのは比喩じゃないです。マジでさいとう先生の動画見ながら酒片手に泣きました。年取ると涙もろくなってダメ。

けれど、完全に筆を折った僕の手元にはまずペンがなかったんですよ。信じられます? 日頃のスケジュール管理やメモを全部iPadでやっていたので、筆記用具がなかったんです。さすがに笑っちゃいました。

あるのは技術書を読むときに使うピンクの蛍光マーカーだけ。幸いにも学生時代に使っていたクロッキー帳が残っていたので、それらを使って絵を描きました。

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さいとう先生の練習法に従って、好きなイラストレーターである日向悠二先生の絵柄を参考にしながら描いています。さいとう先生の言う通り、劇薬でした。

そりゃそうですよね。その道で飯食ってるプロの絵と、ぺーぺーのド素人の自分の絵を比較してアラ探しをする作業をして、まだ心が折れない人がいたらそれはもう鉄人ですよ。軍人の素質がある。

3ヶ月練習法はとにかく自分の至らなさと向き合う作業で、僕は最初の数週間で気付きました。

「あ、これ心折れるやつや」

僕はすでに手に職があり、絵を描いて生きていきたいわけでもなく、ただ「楽しいから絵を描きたい」だけなわけです。その上で「多少絵がうまく描けたらもっと楽しいだろうな」が積み重なっている状態なので、決して無理に三ヶ月で絵を上手くする必要はないということに気付きました。っていうかそう考えないと心が保てなかった。

まず、楽しむこと。次にうまくなること。この優先順位をつけて「趣味として」絵を描こうと決めました。

この辺はまず線の描き方を思い出すことに重点を置いていました。ブランクが開きすぎて、ペンで線を引く方法をこのときの僕は完全に忘れていました。その点で蛍光ペンはちょうどよく、線が太いので多少の粗が覆い隠されています。自己肯定感に低い僕にとって、この部分は大きかったように思います。

さて、3日後に黒いサインペンとボールペンを買いました。黒い線で絵を描けるようになったわけです。

アートボード 3

この辺から、もう「三ヶ月練習法」はやっていません(3日目にして終わり。本物の三日坊主) 

その代わりに意識していたことは絵を描くときは「絶対に新しいことをやること」です。これを正確に言えば「前の絵でやった良かったところを次もやること」「ダメだったところは絶対に同じやり方をしないこと」となります。

これはさいとうなおき先生も言っていた「PDCAを回す」という作業です。PDCAの回転速度はとにかく早ければ早いほどよい、というのは私も経験上よく知っていましたから、これを絵の練習に当てはめれば良い、ということをプロフェッショナルであるさいとう先生がおっしゃっていたことは大きな勇気になりました。

そして一週間後。私は押入れの奥底からとあるものを見つけます。そう、ペンタブです。

中学生だったか高校生だったかのときに、少ないお年玉を握りしめて買ったちっちゃいペンタブ。今じゃ8000円くらいでペンタブ買えますけど、当時は安くてもウン万円とかの時代です。そういう時代のすげー小さいペンタブが出てきました。押し入れから。

私は仕事で便利なのでウルトラワイドモニターっていうめっちゃ横長のモニタを持っているんですが、アスペクト比が違うのでつなげても普通には使えませんでした。ウケる。ウケねえよ。

けれど、このペンタブは私に革命を与えました。普段仕事で使っているフォトショップ(写真の加工やデザインカンプを作るときに使う)が、趣味のイラストに使えるんですよ!

思い返せば、小さな頃の僕にとってフォトショップは手の出ない高級なソフトでした。それが今では当たり前に仕事で使っていて、逆に絵を描くのに使うなんて考えてもみませんでした。子供の頃の夢がかなっとる。

で、初めて色を塗ったのがこれ。

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頑張った。色の選び方は望月けい先生を参考にしていたと思います。(色彩感覚は及びもつきません)

大学生の(下手くそではあったけど)デッサンの知識がいくつか役に立ちました。「遠くのものはコントラストを下げる」「近くのものはコントラストを上げる」「見せたいものは描き込む」「関係ない部分を描き込みすぎない」

さいとう先生も動画内でよくおっしゃっている「視線誘導」にあたると思います。これはまさに僕が仕事でやっていることです。(情報設計って言ったりする)。まさかこんな形でデザインの知識が役に立つとは……。

まだ自分で満足するような絵は描けませんでしたが、とにかく少しずつでも前進しているというのが肌で感じられて、この辺りはめちゃくちゃ楽しかった記憶があります。

アートボード 4

このくらい絵を描くのが楽しくなってくると、「ファンアートとか描いてみようかな」という感情になり、僕が個人的に好きなvtuberのファンアートをこっそりTwitterで公開しました。

これがなんか僕の人生では今までにないくらい伸びました。これをきっかけにして言葉すら通じない海外の方にフォローしていただいたりして、承認欲求満たされまくりでした。今思い出しても涙出る

さて、お気付きの通り、僕は平面的にイラストを描いています。というのも、立体的にものを描く技術が足りない自覚があり、それを画面の色でごまかそうとしているきらいが会ったからです。

承認欲求が満たされ、心に余裕がある今こそ好機と見て、「もっと挑戦的に絵を描こう」と考えました。

アートボード 5

地獄の始まりです。

iPad pro12.9インチを購入

絵を描き始めて2週間が経ちました。

仕事柄iPadがあると便利なのですが、これがもう古かったため、丁度いい機会だと思って13万するiPad proを購入しました。ちょうど冬のボーナスも入ったし。初期投資大事。

マジでこれは本当に買って良かった。また、クリスタを買おうと思っていたのですが友人に「iPadで絵を描くならProcreateが良い」と聞き、これも1200円で購入。

ペーパーライクフィルムを貼ってプロクリエイトで絵を描いているのですが、これ本当におすすめです。ペンタブや液タブで少なからず「思うように描けない」という感覚がずっとあったのですが、それが一切ありません。逆に言えば「違和感は全部僕のせい」になるということですが……。

ツールに慣れることと、新しい描き方を探すこと。並行して色々描きました。

アートボード 6

このあたりから、納得のいくものが描けずにフラストレーションが溜まっていました。所詮自分はこの程度か……。などと思ったりもしましたが、成長曲線では必ず行き止まりがあるということを知っていたので、なんとか心を保ちました

いや、嘘です。保ててない

アートボード 7

もうボロボロです。自分がなぜ絵を描いてるのかマジでわかりませんでした。上達してる感じもせず、自己肯定感がめちゃくちゃでした。何描いても下手に感じるし、前に描いた絵を見たりすると発狂しそうでした。

この完全に死んでいる状況でも、絵を描くこと自体は続けられたのはさいとうなおき先生の動画のおかげです。これはマジ。さいとう先生の動画はメンタルに効きます。いずれ癌にも効くようになると思う。

「僕は楽しいから絵を描いている」という状態が続いたのは間違いなくさいとう先生の動画のおかげ。プロイラストレーターの直々の言葉をいただきながら練習できるなんて本当にいい時代だ……。

アートボード 8

こうして若干の自我を取り戻し、「あれ、なんか良い感じに描けてるんじゃね?」という錯覚が湧き上がってきました。錯覚だけど。

1ヶ月~2ヶ月

縦セタおっぱい

この辺りで実家から取り寄せた画集を見たり、上手い人の絵を見て研究することに対する心理障壁がかなり無くなりました。今までは上手い人の絵を見ると心が痛くなっていたんですよね。

というのも、もともと絵を描いていたのに大学で一回腐っていた、という事実が見えちゃったりするからですね。特に若い子とかがめちゃくちゃ上手い絵を描いてるのを見ると、より自分が惨めになったりしてきつかった。

しかも、大学時代の友人が実はTwitterでイラストを描いていたことを知ったのもこの頃でした。そんな素振り一切見せてなかった友人が、1万いいねとかもらってるタイプの神絵師だったんですよ。しかも彼は全然イラストとか関係ない専門領域なんですよね。

僕が腐ってた間に、しっかり絵を描いていた人が、めちゃくちゃ近くにいた。マジで心折れそうでした。いや多分一回折れました。

それでも描き続けられたのはやっぱりさいとう先生のおかげなんですよ。下手で心も弱くて何一つ成し遂げられない僕が、「それはそれで仕方ない」「絵は楽しいから描く」というメンタルセットでいられたのは本当にさいとう先生のおかげだと思います。感謝したいです。今度スパチャします。まあさいとう先生は僕のことなんか知らないんですけど。

女子高生になりたい

成人男性がメンタルをやられると、「JKになりたいなあ」と妄想するようになります。冗談だと思われるかも知れないんですが、マジですよ。僕は嘘をつきません。

世の中にはそういう需要を満たすようなものがあって、「診断メーカー」というやつです。これに「あなたを女子高校生化してみたー」というやつがあります。

これで放課後にタピオカを飲むJKと化した自分を想像して自我を保っていたんですが、この雑な絵の塗りが、なんだか気に入ってしまいました。

色選びなのか、なんなのか。ともかく、このとき僕の脳髄に何かが走りました。

「あれ、この塗り方行けるんじゃね?」

JKになった自分を描く、という強い原動力もあり、今までにない推進力で絵を描きました。

ぼく

あ、来た。

心が折れて、JKになったら何か解決した気がしました。ちょっと言語化できていないのですが、今まで破ろうとしても敗れなかった何かを突き抜けた感覚がありました。

ただ、ここで問題に突き当たって、それが「線画が目立ちすぎじゃね?」という点。色の塗り方だけを変えたせいで、線の汚さが妙に悪目立ちしてしまっています。

なんか上手く行ったはずなのに、まだ何かが違う。心が折れそうです。心弱すぎじゃね? と思うかも知れませんが、一度筆を折っている成人男性の心が強いわけがないだろ、と声を大にして言いたい。人間は筆を折ってから心が折れるんじゃなく、心が折れたから筆を折るんですよ。覚えといてください。

まず、このときの僕は「何がダメなのかわからない」という状態になっていました。

線が悪目立ちしている、という状態の解決策は色々ある気がします。線が太すぎるとか、線がそもそも下手だとか、色トレスが下手とか。

でも僕は余裕がなかったので斜め上の結論を出します。

線、描かなきゃ良いのでは?

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それで描いたのかこれです。

ラフのまま色をのせて、そのまま厚塗りで描いています。けれど今度は全体がのっぺりした印象になってしまいました。僕の脳裏によぎるのは学生時代の教授の言葉。「明度設計のできんやつにデザインはできん」そうです。明度設計が出来ていません。だいたい視線誘導も失敗しています。見てほしいのは顔のはずなのに、爆発に目が言ってしまいます。

髪の白いキャラクターで、しかも色白。だとしたら、背景を暗くして顔を見てもらわなければならないはず。もう基本すらできてねえのか僕は。

と、思う反面。意外とキャラクターそのものは描けていることに気付きます。そう。線画を描かないというアプローチ自体は間違っていなかったんです。

僕が絵を描き始めたころ「線の描き方を思い出すこと」を目的にしていたと言いました。

違ったんです。そもそも僕は「線を書くことがめちゃくちゃ下手」だったんです! 今までこれに気付いてなかったんですよ。やばくないですか? そりゃそうなんですよ。僕、今までの人生できれいな線を一発で描く練習なんかしたこと無いんだから!

これに気付いた僕は、一つの可能性に思い至ることができました。「線画を描くのではなく、下書きを消しゴムで削って、きれいな線を見つけ出すことができれば僕でも綺麗な線が描けるのでは?」

僕はデッサンもまともにできない学生でしたが、それはデッサンの練習なんかしたことがなかったから。きれいな線を描く練習なんてしたことがなかったから。

そんな僕でも、間違いなく練習したと言えることがあります。鉛筆でノートに絵を描いていた頃、僕は「ペン入れ」なんてしていませんでした。鉛筆で絵を描いて、上手くかけなかったら消して、また描く。つまり、鉛筆と消しゴムで、線を「削り出す」描き方です。

こんな突拍子もないアイディアに確信を持てたのは、実はこの動画のおかげです。

プロクリエイトの使い方、そもそも勉強したことがなかったんですよ。そこで、今までも練習中に見ていた魔王様の動画を見てみることにしました。

ですが、プロクリエイトの使い方そのものよりも「あ、これは僕もやってる」「これはやってなかった!」と、自分の作業工程そのものをメタ認知できたことが大きかったように思います。

つまり「そもそも何がダメなのかわからない」という状況から、「明確にこれはオッケー!」という場所がいくつか判明したんです。

だからこそ、線の描き方そのものを考えることができたんだと思います。

アンジェ

Twitterのリンクは絵を描いたときのタイムラプスです。こんな感じで、ラフから直接線画を削り出しました。手間はかかっていますが、僕にとっては何よりもきれいな線を描けるやり方でした。

2ヶ月~3ヶ月

ここまで書いて、私は重要な事実に気が付きました。僕が初めて描いた絵のツイートを見てください。

12月17日です。

……あれ、まだ2ヶ月しか経ってないのでは?

まだ一ヶ月残っていることが判明したので、頑張ってさいとう先生を倒そうと思います。

読んでいただき、ありがとうございました。



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↓「3ヶ月もどうやって練習を続けたのか」を記事にしました。

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