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地獄のお嬢様ごっこ

高3の時、何故かお嬢様口調で会話するのが流行った。
何人かで普通に喋ってて、誰かが「ごきげんよう」と発したら、そこからゲーム開始。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう。あら、素敵なリボンね」
「ありがとう。昨日し○むらで買い求めましたの」
「まぁ、さすがですわね、お目が高いわ」
「ほんと、Aさんって素晴らしいセンスをお持ちね」
「お褒め頂けて嬉しいわ」
というのを、誰かが「もうやめようや」と言い出さない限り延々と続く。授業中だろうが何だろうが関係なし。
そして、みんな頑張る。「やめよう」と言い出すのは、降参・負けを意味するからだ。絶対負けたくない。
特に大変なのは体育の時間だった。
バスケでは「Bさん、わたくしにパスなさって!」
バレーでは「Cさん、次はあなたにトスを上げますわよ、よろしくてっ?」
と、いちいち面倒で、つい降参しそうになるけど耐える。
そしてお昼も「あら、美味しそう。ひとくち頂ける?」「ええ、どうぞ。うちのばあやは凄くお料理が得意ですの」
…しんどい。誰か言って…もう終わりにしようって。お願い。全員そう思ってるのに止められない。地獄。
最長で2週間くらい続いたかなぁ。終わりを迎えたのは、Aちゃんの
「家でさぁ、ボーッとテレビ観てたら弟に話しかけられてさ。つい『もう一度、仰ってくださらない?』って返しちゃって。アホみたいに笑われたんよ」が切っ掛けだった。
いま思い返してみても「くだらない」に尽きる。でも、くだらないことって楽しい。イヤだけど楽しかった。
大人では味わえない遊びだったのかもしれない。

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